築年数と防音性の関係とは?古いアパートのほうが音は響きやすい?

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部屋を借りる時に防音性を考えて、アパートではなくマンションに決める方も多いと思います。

マンションの最大の魅力はなんといっても防音性。

しかし、住んでみると騒音が気になることもよくあります。

今回は築年数と防音性の関係について紹介していきます。

古い物件と新しい物件で悩んでいる人や防音性を重視している人は参考にしてみてください。

築年数は防音性に関係する?

古いアパートやマンションのほうが新築物件に比べて防音性も低いような印象を持ちますが、結論から言うと築年数は多少なりとも防音性に関係があります。

築年数の古い物件のほうが新築・築浅物件に比べると防音性が低い傾向があります。

築浅物件のほうが防音性が優れている理由は大きく分けて2つあります。

建築基準法の改正で耐震性が向上しているため

建物を建築する際には必ず建築基準法という法律に乗っ取って建設する必要がありますが、この建築基準法は定期的に改正されています。

1981年に建設基準法が大きく改正されて耐震性の基準値が変わりました。

年代における耐震性の違い
  • 1981年未満(旧耐震):「震度5程度の中規模の地震で大きな損傷を受けないこと」が基準
  • 1981年以降(新耐震):「震度6程度の大規模な地震で建物の倒壊や損傷を受けないこと」が基準

耐震性はいわば建物の強度です。

強度が高ければ高いほど厚みを持たせたり、使う資材が変わるため防音性にも多少なりとも影響をもたらせます。

建築基準法によれば壁の厚さに対しての基準値は設けられていませんが、床の厚さ(スラブ)は下限値が設けられていて古い建物だと120mmで最近のものは150mm前後と言われています。

スラブ厚

実は昔、一般的なスラブ厚は120mmでしたが、近年は150mmが標準です。また分譲マンションや優良住宅などは遮音性を確保する目的で、スラブ厚を180以上とします。

参照:http://kentiku-kouzou.jp/tekkinkonkurito-surabuatu.html

床が厚くなればなるほど当然遮音性はあがります。

足音もそうですが、話し声などは結局振動音なので床から壁に伝わることもあります。

つまり、築年数の古い建物のほうが傾向としては若干防音性が低いということになります。

2023年の現在は【築年数が42年以上】であれば旧耐震基準の建物で【築年数が42年未満】であれば新耐震基準の建物なので見分けるのは簡単です。

築40年前後で防音性が変わると覚えておきましょう。

もちろんこれはあくまで傾向ですので、絶対に築年数が古い=防音性も低いとは限りません。

僕が最初に住んだ木造アパートは大家が建築士だったこともあり自分で建築したそうで、通常の賃貸物件よりも壁を厚くしたり、床に良い素材を使用したそうです。

壁を厚くしたり、良い素材を使えばそれだけ建築コストもあがるので大手の不動産会社はいかに基準値を満たして建築コストを下げられるかを考えています。

例えばレオパレスは壁が薄いと言われていますが、まさにこのパターン。

建設コストを削りに削った結果壁が薄くて生活音が普通に聞こえるレベルという悲惨さです。

レオパレスは建築基準法に違反していることも問題になったぐらいなので例外かもしれませんが、建設コストを削減している物件は壁が薄いので例え新築だろうと注意すべき。

木造は築20年以内が目安

木造は2000年の6月に建築基準法がさらに改正されています。

鉄骨造やRC造など他の構造は関係ありません。

2000年の改正内容
  • 地盤調査が事実上の義務化
  • 金物仕様が事実上の義務化
  • 耐力壁の配置にバランス規定が定められる

耐震等級1級の取得が必須となったため、さらに耐震性が強化されています。

耐震等級1級というのは「震度6~7程度に対しても倒壊や崩壊しない」というレベルのでかなり強い地震が起こったとしても安心して生活できます。

2000年の改正によって木造であっても振動を感じにくいようになるため、日常的には大通り沿いの物件がトラック等の車が通ったときに揺れを感じることが少なくなっています。

耐震性の強化により遮音性能も高まっているので、築20年以内の木造住宅はそれ以前よりも防音性が高い傾向があります。

木造自体の防音性はもともと低いのでそこまで差は感じないかもしれませんが、少しでもマシな物件を選ぶなら築20年以内を目安に探してみましょう。

技術の向上によるもの

今の建築技術は昔と比べても当然あがっており、同じコストでも効率的に防音性を高める技術が備わっています。

スラブ厚を変えなくても防音性の向上が見込めたり、独自の技術により内壁の遮音性を高めて隣りの音がなるべく聞こえないように取り組んでいるハウスメーカーも増えています。

ハウスメーカー防音システム採用年月
シャーメゾンシャイド50
シャイド55
2011年
大和リビングサイレントハイブリットスラブ502012年
東建コーポレーションTKS50
TKS55
2013年
ミサワホーム床制御ダンパー2008年
セキスイハイム床制御ダンパー2011年
レオパレス21ノンサウンドシステム2013年
へーベルメゾンANR(旭化成ノイズリダクション)フロア2018年
大東建託ノイズレスフロア2011年

大手のハウスメーカーを調べてみると2011年前後の時期から防音システムを採用していることがわかります。

昔の技術では防音システムを施工することはコスト的な面から見ても難しかったようですが、現在の技術であれば賃貸物件でも施工が可能となっています。

さらに具体的な例として【大東建託】と【シャーメゾン】の施工方法を紹介していきます。

大東建託:ノイズレスシステムの導入(2011年以降)

大東建託では2011年6月以降に建設された物件に「ノイズレスフロア」という独自の技術を導入しています。

床の遮音性能はJIS規格によりL値で表すことができます。

ノイズレスフロアの場合、ALCパネルや十分な吸音材を組み込むことにより、木造でありながら「LH-55(LL-40)」相当の遮音性能を実現しています。

これはRC造に近しい数値です。

遮音等級建物構造音の聞こえ方
L-35 日常生活で気になるような音はほぼ聞こえない
L-40鉄筋鉄骨コンクリート造防音性が高く外からの音も軽減される
L-45 子供の泣き声や走り回る音は多少聞こえる
L-50鉄筋コンクリート造子供の泣き声や走り回る音は聞こえる
L-55ノイズレスフロア洗濯機や掃除機は少し聞こえるが気にならない
L-60重量鉄骨造足音やドアの開閉音など振動を伴う音が聞こえる
L-65軽量鉄骨造多少音量は軽減されるが生活音はほぼ聞こえる
L-70 生活音はほとんど筒抜け
L-75木造生活音は筒抜けで小さな音まで聞こえる

また、内壁も通常の施工方法では音が響きやすいので千鳥配列にしています。

千鳥配置というのは遮音性を向上したいときに使用される施工方法で、壁を固定する木材が互いの壁に接しないよう配置されるため直接音が隣りまで響きにくくなります。

千鳥配置にすることによって「Rr-55(D-55)」相当の遮音性能を誇ります。

D値やR値はL値とは違い、高くなればなるほど防音性能も高くなります。

透過損失とは音が通り抜けたときに遮音してくれるdb(デシベル数)のことで、例えばD-40(R-40)の壁に50dbの音がぶつかると、隣に聞こえる音は50-40=10dbとなります。

大東建託の標準仕様の壁はR-45相当となっているため、築年数の古い物件よりも10db程度防音性が向上していることがわかります。

シャーメゾン:シャイドシステムの導入(2011年以降)

積水ハウスグループであるシャーメゾンでは2011年以降シャイドシステムを標準仕様としています。

もともとシャーメゾン自体防音性が高いと言われている建設方法でしたが、シャイドシステムの導入後はより高い防音性になっています。

シャイドシステムには標準仕様である「シャイド55」と軽量床衝撃音を4分の1程度軽減する「シャイド55軽量床衝撃音対策仕様」、業界最高水準の遮音性能である「シャイド50」があります。

シャイド55であれば本来聞こえる軽量鉄骨造の物件の約2分の1の音量になります。

シャイド50の場合は鉄筋コンクリート造の床厚と同程度の遮音性となります。

軽量衝撃音(LL値)に関しては「シャイド55」がLL-55、「軽量床衝撃音対策仕様」と「シャイド50」はLL-45未満となっていて、遮音等級はJIS規格で特級となっています。

このように築浅物件は古い物件に比べると総じて防音性が高くなっていることが確認できます。

築40年の鉄筋コンクリート造に住んでみた

以前、築48年の鉄筋コンクリート造に1年間ほど住んでいましたが、結論から言えば隣人からの話し声や生活音が聞こえてくることは一切ありませんでした。

築40年以上の鉄筋コンクリート造は建築基準法の改正の関係で築浅よりも防音性は低い傾向があるのは事実ですが、だからとってうるさいとは限らないようです。

住んでいた物件の内壁構造はGL工法。

簡単に説明するとコンクリートの上にGLボンドと呼ばれる特殊な接着剤を等間隔で塗り、その上に石膏ボードを張り付けている壁のことです。

壁をノックしてなぜか空洞があるような音が出るのはコンクリートと石膏ボードの間に隙間があるためです。

GL工法は遮音性に優れているものの、石膏ボードのせいで太鼓現象という音の振動が周りに伝わっていく現象が起きやすい性質があります。

近年でも良く使われる工法なので、技術的な部分に差がない場合もあるということです。

ただ、僕が住んだ古い物件は和室を洋室にリフォームした物件だったためか、歩くと部屋全体が揺れるような感覚がありました。

施工方法に不備があったのかは定かではありませんが、コストを抑えたリフォームによって従来よりも防音性が低くなっている可能性は否定できません。

幸い、上階はリフォームされていなかったためか足音は聞こえてきませんでしたが、住んでしばらくはかなり不安でした。

防音性の高い物件を見分ける方法

防音性の高い物件を見分ける方法は色々とあります。

部屋探しをする時の目安として考えてください。

建物の構造で判断する

新築工事

木造>軽量鉄骨造>重量鉄骨造>RC造の順番で防音性は高くなります。

遮音性はL値で示されており、値が高ければ高いほど音が聞こえやすくなります。

これは日本建築学会が調査した建物の遮音性と等級の関係性です。

遮音等級建物構造音の聞こえ方
L-35 日常生活で気になるような音はほぼ聞こえない
L-40鉄筋鉄骨コンクリート造防音性が高く外からの音も軽減される
L-45 子供の泣き声や走り回る音は多少聞こえる
L-50鉄筋コンクリート造子供の泣き声や走り回る音は聞こえる
L-55 洗濯機や掃除機は少し聞こえるが気にならない
L-60重量鉄骨造足音やドアの開閉音など振動を伴う音が聞こえる
L-65軽量鉄骨造多少音量は軽減されるが生活音はほぼ聞こえる
L-70 生活音はほとんど筒抜け
L-75木造生活音は筒抜けで小さな音まで聞こえる

遮音等級では木造が最低レベル。

木造アパートは家賃が安く初めて一人暮らしをする人が選びがちな構造ですが、当然その分防音性は低いです。

逆に鉄筋コンクリートマンションは家賃が高い反面防音性は高いと言われています。

物件には【鉄骨造】とだけかかれたものも存在しますが、軽量鉄骨アパートと重量鉄骨マンションの2つに分けることができます。

若干防音性に違いはあるものの不動産屋に言わせれば鉄骨造に音の違いはほとんど変わらないとのこと。

防音性を求めるならやはり鉄筋コンクリートマンションが一番です。

間取りを見てみる

参照:https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chintai/fr_room/bouon/

ワンルームや1Kのような一人暮らし用物件でも間取りは物件によって異なります。

壁自体が薄かったとしても間取り次第では通常よりも防音性が高い場合があります。

例えば隣人との間にちょうどクローゼットや浴室が備わっているような物件は音が伝わりにくいです。

隣人が幸いでもある程度はクローゼット部分で遮音されるので自分の部屋までは届きにくくなるため。

床の素材を確認する

賃貸で使われる床の材質にはいくつか種類があります。

材質遮音性
フローリング
クッションフロア
フロアタイル
カーペット

内見を何回も行っているような営業マンであれば部屋を見ただけで防音性が高いかどうか判断できますが、素人目に良い床の素材を使っているか、それとも格安コストの素材なのかというのは判断することは難しいと言われています。

素人が確認できるのはせいぜい音が響きやすいかどうかぐらいです。

内見時に床の素材を直接手で触ってみましょう。

フローリングにもさまざまな種類があり、吸音性に優れているものは適度に弾力があり、わかりやすく言えば柔らかいです。

逆に触っても全く反発力がないような硬い素材というのは良くあるフローリングのタイプで、音がもろに響く性質があります。

隣人とのドアの距離を確認する

隣の部屋とのドアとドアの間隔がどの程度開いているかで壁の厚さを測ることができます。

通常隣の部屋とは対照的な造りになっています。101号室が左側にキッチンがあるなら102号室は右側にキッチンがある・・・というような造りです。

この対照的な造りのおかげでドアとドアの隙間というのは壁のみになっていることがわかります。

上記で挙げている壁の厚さを元にどの程度間隔があるかチェックすることで防音性の目安になります。

不動産屋に判断してもらう

素人では判断しようにも限界があるので、専門の知識を持った不動産屋に内壁の厚い物件のみを選んでもらうというのも1つのやり方です。

不動産屋はその物件で騒音トラブルになったことがあるかどうかや、いつ入居していつ退去したのかまで把握しているので、比較的トラブルにになりにくい物件を探してくれます。

ただし、不動産屋は物件数自体が少なく、営業がしつこい場合は無駄な時間を過ごす羽目になるリスクがあるのがデメリットです。

おすすめなのはイエプラのようなネットで部屋を探してもらえるサイトを使うこと。

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騒音トラブルで悩まされている場合の対策

すでに防音性の低いアパートやマンションに住んでしまっている場合はいくら原因を知っていても意味はありません。

できる対策は3つ。

隣人がうるさい時の対処法
  • 管理会社や大家に連絡する
  • 警察に通報する
  • 直接上の階の住人に文句を言う

管理会社や大家に連絡する

騒音トラブルというのはどの賃貸物件でも起こりえる問題です。

まずは管理会社に連絡して「騒音で悩まされている。対処してほしい」と伝えましょう。

しっかりとした管理会社であれば即座に直接騒いでいる相手に対して連絡をして注意してくれます。

その他にも手紙を出す等のなんらかの措置を講じてくれる可能性があるのでまずは管理会社に相談が一番。

警察に通報する

管理会社に相談しても全く状況が改善されないのであれば警察に通報するというのも手。

警察は事件の有無にかかわらず通報された場合は何らかの行動を示さなければならないため騒音トラブルも動いてくれます。

正確には騒音トラブルは民事不介入なので警察ができることは直接訪問して注意するぐらいしかありませんが、警察がきたことによって常識のある人なら確実に静かになります。

直接住人に文句を言う

勇気がある場合は直接文句を言いにくいのも方法の1つです。

通常、騒いでいたりする場合は隣人に迷惑がかかっているとは思ってもみません。

そもそも壁が薄いかどうかって隣人からの騒音で初めて気づくものなので、気づいていないことのほうが多いんですよね。

直接苦情を言うことで音が聞こえている、迷惑していることを伝えることができます。

ただし、厄介な隣人だと余計な火種になる可能性もあるので注意してください。

他にも隣人がうるさい時の対処法についてまとめてみたので参考にしてみてください。

自分が騒音トラブルの原因の場合

もし、自分自身が騒音トラブルの原因となっている場合は対策をしておかなくてはなりません。

足音等が原因の場合は床に厚手のカーペットを敷いたり、防音マットを敷くだけでもだいぶ効果があります。

壁と違い床の防音はそれほどコストもかからず、難しいことではないのでトラブルになる前に対策を講じておきましょう。

おすすめの防音対策については「簡単音漏れ防音対策方法まとめ」にて紹介しているのでチェックしてみてください。

まとめ

MEMO
  • 築年数は防音性に多少なりとも関係している
  • 木造なら築20年以内、それ以外は築41年以内の物件のほうが防音性が高い傾向がある
  • 防音性は壁や床に使われる素材によって同じ構造でも違いがある

築年数が古いからと言って必ずしも防音性が低いとは限りませんが、古い物件を選ぶ際には一応注意しておきたい部分です。

昔のほうが建築基準法が緩かった半面、バブル期に建設された物件というのはコスト削減して建設しているほうが少なかったりするので今の新築よりも防音性が高いこともありますからね。

どうしても心配なら鉄筋コンクリートマンションや分譲賃貸を選べば問題ありません。

少しでも参考になれば幸いです。

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