部屋探しをする際に目安となる家賃や物件の綺麗さ、広さなどに気を取られますがその物件が都市ガスなのかプロパンガスなのかという問題は非常に重要です。
「都市ガスのほうが値段が安い」と言われていますが、本当にプロパンガスよりも優れているのか。
今回は都市ガスとプロパンガスどっちのほうがいいのかメリットとデメリットをそれぞれ比較し一人暮らしに優れているのはどちらなのかまとめてみました!
目次
プロパンガスより都市ガスのほうが確実に良い
結論から言うとプロパンガスよりも都市ガスのほうが間違いなく総合的に優れているので、どっちかの物件で迷ったら都市ガス物件を選びましょう。
細かい違いについてまずは表でまとめてみました。
項目 | 都市ガス | プロパンガス |
---|---|---|
料金 | 安い | 高い(約1.5倍~2倍) |
料金区分 | 公共料金 | 自由料金 |
火力 | 弱い | 強い |
熱量 | 約11,000kcal | 約24,000kcal |
原料 | メタン天然ガス | プロパン・ブタン液体石油ガス |
重さ | 空気より軽い | 空気より重い |
保証金 | なし | あり |
立会い | あり | あり |
都市ガスというのはその名の通り東京や大阪近郊などの都市部にしかありません。
都市ガスは大きなタンクがあり、そのタンクを地中の配管によって各家庭、各物件に配給されているような状態です。
当然、配管を設置していない物件では都市ガスを使うことはできないので、プロパンガスを利用することになります。
一方、プロパンガスというのはガスボンベごとに運搬が可能なので比較的ローコストで設置設備を整えることができます。
都市ガスは配管を整備するのにかなりの費用がかかるので未だに大家もプロパンガスを選択することが多いですが、最近では入居者の都市ガス需要が高まっていることから年々都市ガスは増加傾向にあります。
実際に賃貸物件として借りる上でどういう違いがあるのかを比較してみました。
料金はプロパンガスのほうが約1.5倍高い
2021年9月の東京ガス都市ガス料金単価と一般社団法人プロパンガス消費者協会によるプロパンガスの料金単価について比較してみました。(東京都の場合)
項目 | 都市ガス | プロパンガス |
---|---|---|
基本料金 | 約759円 | 約1,500円 |
1㎥あたり | 約145円 | 約208円 |
20㎥使用時 | 約2,900円 | 約4,160円 |
1ヶ月の目安合計 | 約3,659円 | 約5,660円 |
料金は圧倒的に都市ガスのほうが安いです。
都市ガスもプロパンガスも料金自由化に伴いガス会社によって単価料金が異なるのであくまで参考値ですが、世間的に言われている都市ガスのほうが安いというのは間違いありません。
プロパンから都市ガスになったんやけど、こんな安いんwww
半額以下やが?え?間違って無いよな?笑笑— たっぴーyu3 (@tappy_yu3) September 10, 2021
比較してみてみるとまず基本料金からしてプロパンガスは都市ガスの1.5倍~2倍近いことがわかります。
都市ガスは配管が整備されていれば人件費を極限に抑えて配給できるのに対して、プロパンガスはガスボンベを定期的に交換する人件費がかかるので単価的にどうしても高くなってしまいます。
アパート巡りして初めて知った。
プロパンガスだと都市ガスより、基本料・使用料のランニングコストが倍以上かかるらしい。
では何故そんな家を作るのかというのは、家主側は、都市ガスより安く建築できるメリットがあるからだそうだ。— れいし (@kaiosu_reishi) June 9, 2021
また、熱量もプロパンガスのほうが上なので当然料金は高くなっています。例えるなら内容量の違う似たようなお菓子と同じ。
中身が詰まっているものは単価も高くなってしまうのでプロパンガスのほうが単価が高いというわけです。
僕は実際に都市ガスでもプロパンガスの物件にも住んだことがありますが、都市ガスは一人暮らしなら2,000円台になることもざらにあります。
一方でプロパンガスの場合は同じぐらいの使用量でも毎月4,000円台~5,000円台でした。
感覚的にも2倍以上料金に差があると感じています。
火力はプロパンガスが上だが家庭用では同じ
単純な火力だけで言えばプロパンガスのほうが都市ガスより約2.2倍の熱量があるので強いのはプロパンガスです。
ただし、火力が強いからといってプロパンガスのほうがお湯を早く沸かせられるわけでも、調理がしやすいわけでもありません。
都市ガスはプロパンガスと同じ火力を出すためにガスを噴出するノズル部分が大きくなっています。
逆にプロパンガスは火力が出過ぎるので調節するために一度に噴出するガスのノズル部分は小さくなっています。
カロリー計算すれば同じになるよう調整されています、同じ量のガスで比較すれば確かにLPGは強力ですがガス量が少なく出るようにノズルが細くなっているのです。
プロパンガスのほうが一度に放出するガスの量が少なくても都市ガスと同じだけの火力が出せるという表現が正しいですね。
つまり、通常の賃貸物件では都市ガスでもプロパンガスでも同じということです。
もちろん中華料理屋等の器具はノズル部分の制限がないためプロパンガスを使用して強い火力を出すことが可能ですが、通常の賃貸ではそこまでの火力が求められていないので制限されているといった状態です。
保証金の有無で比較
都市ガスの場合は保証金が必要ありませんが、プロパンガスの場合は利用時にガス会社に5,000円~1万円程度の保証金を支払う必要があります。
この保証金というのはプロパンガス会社が行っている未払い金の対策です。
もし仮に入居者がガスを未払いする場合は保証金からガスの使用料金がそのまま引かれます。
利用者が未払いでそのまま転居してしまうと追うことができず、そのまま料金を踏み倒されることになってしまうので保証金という制度を設けています。
一方、都市ガスの場合はほとんどが保証金を必要としていません。
比較すると都市ガスのほうが手間がない分優れていると言えますが、保証金なので退去する際には払った保証金は全額返金されます。
物件の多さは圧倒的にプロパンガス
都市ガスは供給するために配管が必要となるため、大家にとって初期費用が高いことがデメリットとなっています。
戸建てだと都市ガスを長期的に使ってメリットが多いので総数で見るとプロパンガスよりも都市ガスが主流になりつつありますが、賃貸物件の場合はコストの高さからプロパンガスが主に使われています。
プロパンガスの場合はガスボンベを設置するだけですぐに供給が可能でなおかつどの物件でも設置することが比較的容易なので全国的に見るとプロパンガスの物件のほうが圧倒的に多いです。
都市ガスはその名の通り都市部に配管が集中しているので東京近郊の物件は都市ガスが比較的多いです。
地方は配管が通っていないためほとんどはいまだにプロパンガスとなっています。
都市ガスのメリットとデメリットまとめ
- 料金が安い
- 保証金が基本的に不要なので貯金がなくても問題なし
都市ガスを選ぶ最大のメリットはなんといっても料金の安さです。
賃貸物件の場合は家賃の高さばかり条件で設定して都市ガスかプロパンガスかを見る人は少ないですが、最大で2倍ぐらいの差が出るので部屋探しの条件に都市ガスを含めたほうが良いぐらい生活に違いが出る部分です。
- 配管経由なので災害時の復旧がかなり遅い
- 物件は都内近郊に多く、地方に少ない
デメリットとしては配管を伝って供給していることで急な災害時に復旧まで時間がかかることです。
例えば地震が起きたときにガスコンロはおろか、お風呂にすら入れないといった状態が数日続いてしまう可能性が挙げられます。
プロパンガスのメリットとデメリットまとめ
- 災害時の復旧が早い
- 未払いになっても保証金のおかげで急に供給停止されることがない
- 物件数が多いのでそのほかの条件が良い物件を見つけやすい
プロパンガスを使って日常的にメリットをもたらすというシーンは非常に少ないです。
よく【火力が高いからプロパンガスのほうが調理しやすい】という話もありますが、上記で説明した通り通常の賃貸物件では同じ都市ガスと同じ出力なので違いを感じることはできません。
挙げるとすればガスボンベ単位で取り替え可能なので、災害時の普及も早く影響も受けにくいことぐらいです。
それと全国的に見ればまだまだプロパンガス物件のほうが圧倒的に多いので、ガス以外の部分で条件の良い物件が見つけやすいという利点もあります。
- 料金が割高
- お風呂に浸かるのが躊躇われる
- 自由料金なので単価の高いガス会社も存在する
プロパンガスの最大のデメリットは料金に関する点です。
都市ガスよりも高いのはもちろん、プロパンガスには法的ガイドラインというものが存在しないため言うなれば言い値でそのガスの金額が決まってしまいます。
ガス会社によっては相場よりも明らかに単価が高かったりして、知らずにそのガス会社と契約しているということもあり得ます。
プロパンガスの物件に住む場合はガス会社をしっかりと比較して使用しないと高額になってしまうというわけです。
都市ガスとプロパンガス物件の見分け方
普段気にしていない人にとっては物件情報を見てもよくわからなかったり、内見しただけじゃ判断できないこともあります。
都市ガスとプロパンガスの見分け方は意外と簡単で3通りあるのでご紹介します。
物件情報で見分ける
都市ガスなのかプロパンガスかは物件情報に必ず記載があります。
例えばホームズで検索したときはこんな感じ。
【都市ガス】
【プロパンガス】
基本的に都心に近ければ都市ガスを使っている可能性が高くなり、逆に地方だと配管が通っていないためプロパンガスを使用している可能性が高くなります。
もちろん都市ガスを使える地域だったとしても大家が「プロパンガスを使用する」という意向であればプロパンガス物件となってしまいます。
すでに入居している場合は自分の物件名で検索をかけてみると設備についての情報を得ることが可能です。
入居の際にもらった資料にも記載されています。
ガス漏れ警報器で見分ける
どの物件にもガス漏れ警報器というものが設置されていますが、都市ガスとプロパンガスでは設置場所が違います。
都市ガスの場合はガス自体が空気よりも軽いのでキッチン内の天井付近の壁に取り付けてあります。
一方、プロパンガスは空気よりも重いために床に近い壁際に設置されています。
供給方法で見分ける
部屋に入らなくても物件の敷地内で見るだけで見分けることができます。
プロパンガスの場合は供給方法がガスボンベなので必ず物件横にガスボンベを設置するスペースが設けられています。
一方、都市ガスの場合は地下のパイプを通って部屋に供給されているのでガスボンベはありません。
結論:一人暮らしなら都市ガスがおすすめ
都市ガスとプロパンガスを色んな角度から比較してみましたが、永住するわけではないので一人暮らしなら間違いなく料金単価の安い都市ガスのほうがおすすめです。
プロパンガスのメリットなど一人暮らしにない。
— みゆ (@nmb_chkkk) June 16, 2021
都市ガスはよく火力の低さが指摘されていますが、器具を介するとどちらも同程度ですし、生活の質が変わらないのであればどう考えても料金が安いほうが良いですからね。
【都市ガスが特におすすめの人】
- 高頻度でお風呂に浸かりたい人(ガス使用量が高いため)
- 友達とルームシェアや恋人と同棲したい人
- 希望する家賃に見合う部屋が見つからない人(ガス料金が安い分家賃に回せる)
- 自炊する機会の多い人
使えば使うほど単価が安い分都市ガスのほうがより明確に料金に差が出るので、友達と一緒に住んだり同棲するカップルなんかは都市ガスがおすすめです。
また、お風呂を沸かしたりシャワーを浴びる時のガス使用量が多いので浴槽に浸かりたい人とかはプロパンガスにするとかなり高額な請求をされることになるのでプロパンガスは避けるべきです。
都市ガスにする=料金がプロパンガスの半額ぐらいになるのでそのぶんのお金を設定家賃に回してより条件に合うところに住めるというのも利点ですね。
ちなみに都市ガスとプロパンガスでは専用のガスコンロタイプに違いがあるので、ガスコンロが設置されていない場合はタイプに合わせたコンロを自分で用意する必要があります。


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