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一人暮らしをしていてもそうそう起こることではないですが、稀に勝手に大家が部屋に入ってくることがあります。
部屋の合鍵を使って鍵を開け、部屋に侵入するというちょっと怖い話です。
僕自身も今までで一度だけそいったことがあったので今回はニッチな話になりますが、自分が借りている部屋に大家が勝手に入ることは罪にならないのかについて調べてみましたのでご紹介していきます。
目次
大家が勝手に入るのは法律的に罪になる?
基本的にたとえ大家であろうと無断で鍵を開けて、部屋に侵入するのは刑法130条の住居侵入の罪に問われるので犯罪です。
いわゆる『不要侵入』に該当します。
【刑法130条】
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
大家は物件のオーナーではありますが、借主に部屋を貸した時点でその部屋の占有権が借主に渡っているため勝手に入ることは許されないというわけです。
大家が勝手に入ることは『住居侵入罪』はもちろん、私物が無くなれば『窃盗罪』、物が壊れていれば『器物損壊罪』に問われる可能性があります。
ただし、例外的に勝手に部屋に入って良いとされている場合もあります。
例外1.緊急を要する修繕が必要な場合(民法第606条第2項)
簡単に言えば『建物や設備の修繕がどうしても必要となった場合、その修繕義務が大家にはあるため部屋に入ることを拒むことができない』という内容です。
ただし、この条項は修繕義務についてであり原則として『緊急を要する場合』をのぞいて入居者への承諾・通知が必要となります。
設備修繕なら必ず『修繕するので○○日に部屋に入ってもいいか』という連絡をしなければプライバシーの侵害や不法侵入とみなされます。
ちなみに緊急というのは『放置していると建物に大きな損傷をもたらす』ような状況を指します。
例えば雨漏りが見つかり2階のお部屋の人が放置して1階にまで浸水すれば建物維持に関わる問題となるため、即日対応しなければなりません。
例外2.緊急時の人命救助措置(民法698条)
【民法698条】
管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。
簡単に説明すると『入居者が身体的な危機や他人の財産などに危害が及んでいる場合に限り、その機器や危害から大家が強引に鍵を開けたり窓ガラスを割ったとしても、それによって生じた損害への責任は取る必要がなく、賠償責任も負う必要がない』ということです。
例えば入居者の部屋から煙があがり、火事になっていることに気付いた大家が一大事に気付いて、持っているマスターキーで鍵を開けて部屋に侵入したとしても『不法侵入』とはならず、部屋のものを壊してしまっても損害を賠償する責任もありません。
火事はかなり緊急性を要する例となりますが、それ以外にも大家が勝手に入っても問題ないケースはいくつかあります。
- ガスのニオイが近隣にまで漂っていて、火事になるリスクがある場合
- 入居者への連絡が全くつかず、部屋で死亡している可能性がある場合
- 外から見て部屋が荒れた状態、窓ガラスは割れた状態など明らかに”異常事態”だと確認できるケース
緊急でその部屋に入らなければならない正当な理由を見つけられない時点でアウトです。
具体的な例としてはこういった緊急を要する場合に限ります。
逆に緊急性がなければ大家であっても勝手に部屋に入ることはNGなので「緊急性が乏しい」と客観的に思われればNGです。
- 新たに部屋を借りたい人に間取りを見せるため
- エアコンが壊れた
- ガラス窓が割れた
- お湯が出ない
緊急性が乏しい場合は必ず入居者に許可を取る必要が出るため、上記の例で勝手に入るのはNGとなります。
部屋に大家が勝手に侵入してきた話
僕が体験したのは一人暮らしを始めて3年ほど経った日のことです。
入居した時に「何かトラブルがあったら仲介業者ではなく私の電話しなさい」と言ってくれた少し世話焼きなおじいさんが大家さんでした。
ある日、友人と家で遊んでいたところトイレの水がいつまでも止まらなくなり、自力で直そうと思ったのですがそれでもやはりだめだったので大家に連絡。
数十分後にインターホンが鳴りました。
ただ、僕はインターホン=NHK受信料などの営業訪問という認識があるので少し無視をしてしまいました。
すると大家は合鍵を使って鍵を開け、部屋内に侵入。
結局、トイレを直してもらっただけで僕が悪いので何も言いませんでしたが、いきなり鍵を使って侵入されたときは何事かと思ってかなりびっくりした記憶があります。
今回の問題を法律上のルールに当てはめるなら不法侵入には当たらない可能性が高いです。
- 修繕問題に対して”入居者自ら”大家に連絡を取り『許可』を出していた
- 修繕に対しての日時に指定はなかったが、即日直すことが告げられていた
最終的に大家がマスターキーを開けて勝手に入ってきたものの、事前に連絡を取り修繕をお願いしていることを考えると、大家の行為が問題だったとは言えません。
ただし、修繕依頼後、日時の指定が全くないにも関わらず『1週間後』など自分がいない日に勝手に入ると問題となる可能性が高いです。
判例では『予定日の前日に大家が勝手に侵入して設備を直した』という問題に対して大家は債務不履行及び不法行為を認め、賃借人への慰謝料支払いを余儀なくされています。
→賃貸人が賃借人に無断で賃貸建物に立ち入った場合、賃借人から契約の解除ができるか。
調べてみると、意外と大家が勝手に部屋に入ってくることはあるようです。
部屋のお湯が出なくなり修理を頼んだところ、
「ほっとけばまた出るようになるかもしれないから、修理する必要はない」と突っぱねられました。
その日の夕方外出中に電話が来て、「今あんたの部屋に入ったけど、お湯出たから」と言われました。
結局お湯が出なくなる度に「ほっとけば出る」と修理を断られ、1週間お湯が出なくなるまで放置されました・・・
修理に来た業者さんに聞いたところ、他のところで使っていた中古品の給湯器を取り付けていたそうで、いつ壊れてもおかしくないものだったそうです。とどめは、休みの日にお風呂に入っていたらチャイムが鳴って、
誰か来る約束もないし・・・と不思議に思ってタオルを巻いて覗き穴から覗こうとしたら、大家さんが合い鍵を使って部屋を開けようとしていました。
幸いチェーンをかけていたので部屋は開けられませんでしたが、
用件を聞くと「この下の部屋に入居したい男の子がいるから、あんたの部屋みせようと思った」だそうです。参照元:知恵袋
ある飲食店に就職していてその店が部屋を借りてくれてましたが
休みの日に鍵をかけて寝ていたら合鍵でドアを開けて探し物をする大家がいました。
何か用かと聞くとあわてて逃げるように出て行ってしまいました。参照元:知恵袋
企業が運営、管理している物件ならまず起こりえないことですが、個人で所有していて物件自体に思い入れがある等だと自分のものという気持ちが強くなるので勝手に入ってしまうことも。
大家が勝手に部屋に入ってくる主な理由
具体的にどういった理由で大家が勝手に入ってくるのかまとめてみました。
設備不良の修繕
一番多いのがこれ。
僕の場合はこちらから連絡してきてもらった(鍵は勝手に開けられたが)のでまだ良かったですが「あ、火災報知器交換しなければ」とか思い立って勝手に行動してくることもあります。
自分が留守にしている間に設備不良をしれっと直しにくることもあるようです。
冒頭で説明した通り、緊急を要する問題ではないため入居者に事前に許可を取っていなければ不法侵入に当たります。
室内の様子が気になったため
例えば隣人が泥棒に入られてしまったりボヤ騒ぎが起きた等ですぐに部屋の様子を確認しなければならないといった状況があげられます。
火事は緊急を要する問題であるため勝手に大家が入ったとしても問題にはなりません。
上記の場合、大家から事前に連絡があった上で許可を得て部屋への侵入をしているので規約違反には該当しない可能性が高いでしょう。
『心配だから』という明確な理由がなくいきなり来て、部屋に入る行為は信頼を損なう問題であり、場合によっては賠償金を払う必要があります。
普通なら「勝手に入ってはダメ」だとわかりますが、おじいちゃん大家さんとかだと細かいところを気にしないのでこういうお節介もしてくることがあるようです。
自分がオーナーだから入ってもいいと思っている
これも昔の考えの人がやりがちな行動です。自分が所有している物件を貸している状態となるので大家としては「自分の所有物件だから勝手に入っても良いだろう」と思っているわけです。
興味本位で入ってみたり、先ほど紹介したように親切心でベランダ等の片づけを行ったり部屋を綺麗に使っているかどうか確かめたりするちょっとヤバめな大家も中にはいるようです。
大家が絶対に合鍵を持っているとは限らない
自分が所有している物件なので緊急性がある場合にすぐに部屋を開けるためにも合鍵を持つこと自体はごく自然なことです。
ただ、大家だからといって絶対に合鍵を持っているとは限りません。
例えばすべて管理会社に任せてしまっている場合はもし緊急性の事情があっても大家ではなく管理会社が対処することになるので大家の手を煩わせることはありません。
それと大家がいても管理会社は仲介業者とそれほど連携が取れているとは限りません。
例えば僕が最初に住んでいたアパートは大家が管理していましたが仲介業者も同様に管理しているような物件でした。
大家と少し仲良くなって空いている物件を見せてほしいとお願いしたところ「退去した時に毎回鍵は変えるんだけど、変更した鍵は渡してもらえない」と嘆いていました。
大家・管理会社のいずれかは合鍵を持っていますが、大家が必ず鍵を持っているとは限らないので鍵を無くしてしまった時に大家に頼っても意味がないこともあります。
部屋に勝手に入られた時の対処方法
大家に勝手に部屋に入られた場合はどうすれば良いのか。
管理会社や不動産に相談してみる
不動産の場合はただ仲介しただけで入居してからは一切関わっていない可能性もありますが、管理にも携わっている場合は連絡してみましょう。
また、管理会社であれば物件を管理・運営する責任があるのでこういったトラブル時に管理会社側から言ってくれる可能性が高いです。
大家個人で運営している物件というのは非常に少なく、不動産が広告で募集をしている限りはどこかしらに繋がりがあります。
相談することで大家との関係を悪化せずに対処してもらえるのでおすすめです。
内鍵をかける癖をつける
1度だけなら住居侵入罪という認識がなく、たまたま自分が持っていた鍵をつかって入ってしまった可能性があります。
入られた後に何か盗まれたとかなら話は変わってきますが、なるべく穏便に済ませたいのであればそれ以降に侵入されないようにしたほうが良いです。
例えば家にいる間は内鍵やチェーンロックをつけるように意識したり、スマホでロックが開錠されるような電子錠を取り付けるのも有効な方法です。
消費生活センターに相談してみる
大家が直接管理していて管理会社に任せていない物件は相談窓口もありません。
ただ全国の生活に関するトラブルに対しての相談窓口は設けられているため『どこに相談したらいいかわからない』という場合はおすすめです。
運営企業 | 独立行政法人 国民生活センター |
---|---|
対応エリア | 全国 |
利用料 | 無料 |
消費者ホットライン | 188(誰もがアクセスしやすい窓口) |
平日バックアップ相談 | 03-3446-1623(相談窓口に繋がらない場合) |
相談内容 | 商品やサービスなど消費生活全般に関する苦情や問合せ |
貸主に対しての問題、退去費のトラブルなども気軽に相談することができるのでおすすめです。
警察に連絡してみる
大家が勝手に部屋に入る行為は安否確認等をのぞいて『住居侵入罪』に該当するため立派な犯罪です。
警察に連絡して実際に事件として取り扱ってもらうのは大変ですが、明確な証拠があれば実際に動いてもらうことは可能です。
何度も大家が勝手に入ってくるようなら証拠を集めておきましょう。
- 不在時の部屋の様子を撮影しておく
- 勝手に入ったことを認める録音データを撮っておく
証拠はなく、悩まされているようなら『被害届』を出すことで今後問題が起きたときに現行犯で逮捕してもらいやすくなります。
ただし、大家と対立する行動となるため今後住みづらくなるといったリスクもあります。
大家の侵入はよくあることなのか
僕は約10年ほど一人暮らしをしていますが、大家が合鍵を使って部屋に入ってきたのは1度だけです。
そのぐらい稀なことだと思ってください。
- 仲介業者を挟まずに直接契約した物件
- 家賃が安いアパート
- 大家がちょっと個性的なおじさんやおばさん
家賃が高くて大家が管理会社に任せているような物件だったりマンションなら勝手に入ってくることは滅多にありません。
逆に大家自身が自分で管理したいと考えている、いわゆる愛着のある物件だったり所有しているアパートが1棟のみとかだと入ってくる可能性もあります。
大家とどれだけ距離が近いかにもよりますけどね。
まとめ
難しい問題ですが、できれば穏便に済ませたいところです。
大家もそこまで法律的知識があるわけでもないので「不法侵入」という認識がないのだと思います。
さすがに何度も入られたりして我慢ならないようなら直接注意したり、警察に連絡するなどして対応してください。それでもだめなら引っ越すしか今のところは手がありませんね。
鍵を勝手に変えても問題はありませんが、退去の際に鍵交換代として請求させる可能性はあります。
少しでも参考になれば幸いです。
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