敷金と定額補修費の違いとは?余った分は返金されるのか

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一人暮らしをしている人にとって、やはり部屋の退去の費用、クリーニング代というのは気になって仕方ないですよね。

僕自身も引っ越しの時期が近づくと「退去にいくらかかかるのか」を気にし始めてしまいます。

今回はそんな退去費用が0で済むという噂の定額補修費プランとはいったいなんなのか、お得なのかについてまとめてみました!

定額補修費とは?

敷金と定額補修費の違い

定額補修費のは退去時のクリーニング代が定額になるというもの。

入居時にこのプランに加入している方は退去時のクリーニング代を払う必要がないものです。

定額補修費とは、クリーニング費や経年劣化の際の修繕費として、入居時にご負担頂くものです。退去時の返金はありませんが、故意・過失による汚損・破損がなければ、追加費用は発生しません!敷金・保証金から実費精算される一般的な方法よりも、分かりやすくて安心です。

引用:http://www.ju-tas.jp/point/icost.html

別名では「修繕補修分担金」、あるいは「定額補修分担金」とも呼ばれています。

僕自身が加入した際は退去時までこの定額補修費プランについて全く認識しておらず、退去する時期に改めて賃貸借契約書を見ていてこの項目でお金を払っていることに初めて気づきました。

「本当にそれ以上のお金は払う必要がないのか?」と不安になりますが、故意による過失がない限りは基本的に定額となります。

特約で定めた補修分担金は、原状回復費用として使用し、その費用が受領した金額よりかさんだとしても、それ以上の費用は賃借人に請求しないとしている。また、たとえ原状回復費用が受領の補修金を下回り、賃借人の費用負担がない場合でも、補修分担金は賃借人に返還しないとしている。ただし、賃借人の故意・過失で生じた費用については、定額補修分担金特約によりあらかじめ預かっている補修金とは別に、請求するとのことである。

引用元:不動産流通推進センター

例えば壁に大きな穴を開けてしまったり、窓ガラスを割ったり設備を故意によって故障させていない限りは追加でお金を払う必要は一切ありません。

よくある壁やフローリングの傷は範囲内なので追加料金を取られる心配はありません。

普通に生活していて多少ついた傷程度は全く問題がなく、水垢とかエアコン、換気扇のクリーニング代も込々で定額になっているので基本的に追加徴収はないと考えて良いようです。

しかし、この定額補修費はなんとも曖昧な線引きなので、管理会社によって対応が違うのも事実です。

敷金と定額補修費プランの違い

敷金は部屋を借りるための保証金のようなもので、借主負担部分の修繕費を差し引いた額が返金されるのが一般的です。

定額補修費プランの場合は修繕費用を定額としているため基本的には返金されないという違いがあります。

建物の賃貸借契約において、退去後の回復費用等に充てるため一定の金額をあらかじめ負担することを特約する場合の当該負担金をいう。この負担金は敷金と違って返還されることはない。

引用:https://smtrc.jp/useful/glossary/detail/n/2762

ただし、自然消耗で生じた傷や汚れについては貸主が負担するという国土交通省が定めたガイドラインがあるので定額補修費に満たない金額だった場合はたとえ特約に記述があっても返金しなければなりません。

判例でも、「修理・回復費用は定額補修分担金で賄い、修理・回復費用が同分担金を上回った場合でも下回った場合でも賃借人に返還しない(ただし、賃借人の故意・過失による損傷は除く)」、「入居の長短にかかわらず返還しない」とした定額補修分担金特約が消費者契約法第10条(【参照条文】参照)により、消費者に不利な特約として無効とされ、賃借人の返還請求が容認されたものがある

引用元:不動産流通推進センター

消費者契約法第10条では『消費者の利益を一方的に害する条項の無効』とされていて、払う必要のない費用まで負担させた場合は抵触する特約は無効となるといった定めがあります。

第 10 条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)

つまり、余った分は基本的には返金することなるので実際の扱いとしてはほぼ同じ意味となっています。

定額補修費プランは敷金も取られる?

定額補修費がついている部屋の場合、敷金を取ることは基本的にありません。

しかし、中には敷金がついている上に定額補修費もついているというのが例外的に存在するようです。

この場合、最初の敷金は退去時に返ってきます。

もし、あまりにも部屋が汚い状態だった場合は定額補修費と別に敷金から減らすこともあるようですが、これは本当に例外です。

もしこういう物件に住んでいて、敷金が返ってこないことがあればしっかりと抗議してください。

修繕費用はそれほどかかっていないのに敷金を着服している恐れもあります。

敷金と定額補修費プランどっちがお得?

定額補修費がいくらかによって変わりますが余剰分が返金される前提であればどちらも変わりません。

敷金は余剰分が必ず返金されますが、少しの傷でも借主負担であればそれは敷金から引かれるものになってしまいます。

一方、定額補修費プランは余剰分が必ず返金されるとも限りませんが、多少の傷であれば補修費が定額なので追加で請求されることもありません。

一人暮らしの退去費用相場は約5万円と言われています。

間取り退去費用の平均額
ワンルーム/1K/1DK/1LDK49,980円
2K/2DK/2LDK79,924円
3DK/3LDK/4K~4LDK90,139円

定額補修費の余剰分が返金されない前提で考えるとすれば約5万円未満なら定額補修費のほうがお得。それ以上なら敷金を払った方がお得です。

ただし、しっかりとした管理会社なら余剰分も細かく計算して返金してくれるので定額補修費のほうが安心かつお得ということになります。

退去費用がいくらになるかわからないという不安や『足元を見て高い費用を請求されないか』という不安を考えるなら、最初から定額となっている定額補修費のほうが精神的な意味でもメリットは大きいです。

定額補修費プランのメリット

わざわざ定額補修費の物件を狙うことはありませんが、住みたい物件が敷金ではなく定額補修費だったときのメリットについてまずは紹介していきます。

退去費について考える必要がなくなる

定額補修費プランの場合、基本的に入居前に前払いすることになるので退去時にハウスクリーニング代が請求されることはありません。

通常の物件だと例え敷金を払っていたとしても「足りるかな?」とか「追加で払わないといけないかな?」と不安になることもあると思います。

敷金0円物件の場合はどのぐらいの退去費なのか一切わからないので、貯金をしておくにしてもいくら余分にお金を持っておけばいいのかわからないというのがデメリットとしてあります。

定額補修費プランは普通に生活していただけなら追加で請求されることはまずあり得ないので退去時も安心して引っ越すことができます。

故意に部屋を荒らさない限りは問題ありません。

立ち合いが不要なのでラク

立ち合いは本来ハウスクリーニング代がいくらになるか、どこを修繕するのかを見るために行うものです。

定額補修費プランの場合は傷が多くても少なくても一定額なので立ち合いを行う必要がありません。

もちろん退去した後に部屋を見てあまりにもひどいようなら追加請求がないわけではないですが、基本的には退去して終わりという非常にラクなものになっています。

立ち合いって数分で終わるけど結構面倒。

すでに引っ越し先が決まっていて入居しているのに立ち合いのためにわざわざその部屋に戻らななければなりませんからね。

近距離の引っ越しならまだしも距離のある引っ越しは戻るのも大変だし、帰るのも一苦労なのでそういった煩わしさがないのはかなりのメリットです。

ちなみに鍵は後日郵送するかポストに入れておけばOK。

僕の場合は後日封筒が送られてきて「この中に入れて送ってください」という感じで郵送しました。

定額補修費プランのデメリット

定額補修費のデメリットについても見ていきます。

初期費用が少し高くなる

定額補修費プランの場合は敷金と同じような感じで退去費ではなく初期費用に含まれることがほとんどです。

敷金1ヶ月の物件と比較すると同じか少し安いですが、敷金0円物件のようなとにかく初期費用を安く済ませたいという人にとってはデメリットです。

当然敷金のように退去費として使われるので先払いか後払いかの差でしかありませんが「引っ越し費用に余裕がない」という人にとってはデメリットです。

それこそ今住んでいる物件の家賃が高くて安いところに引っ越す時に初期費用が高いと払うのもきつくなってしまいます。

余剰分を返金しない大家もいる

定額補修費というのは余剰分が返金されない場合があります。

”定額”となっているので余剰分は返金してもらえないような気もしますが、ガイドラインや判例を見る限りは返金しなければアウトです。

僕の場合はしっかりと返金されました。

定額補修費代として入居時に44,000円(家賃1か月分)払い、退去費にかかったクリーニング代は37,000円です。

余った7,000円分は退去後に指定の銀行口座に振り込まれたのを確認済みです。

大阪地裁の裁判によれば「余り過ぎたお金は原則として返金しなければならない」という判決がありました。

この裁判について簡単に説明すると定額補修費が16万円で特約に「返金はしないよ」ということが書かれていたんですが「それじゃ本来大家が負担すべき通常損耗代とかも負担してることになるよね?さすがにそれはおかしいからダメだよ」という判決で無効になったようです。

本件特約は消費者たるXが賃料の支払いという態様の中で負担する通常損耗部分の回復費用以外に本来負担しなくてもいい通常損耗部分の回復費用の負担を強いるものであり、民放が規定する場合に比して消費者の義務を荷重している特約といえる。

参照:京都地裁判例

しっかりとガイドラインを守っている管理会社ならばちゃんと返金されるようですが、適正の料金の場合は返金されないこともあるってことです。

例えば今回の例だと16万円なんておかしな金額だから無効にされていましたが、これが6万円とかだったら常識の範囲内ということになるので仮に余剰分が少しあっても返金されない可能性があるということになります。

まとめ

MEMO
  • 定額補修費プランは退去費用が定額になるというプラン
  • 原則としては余剰分は返金する必要があるが、そこまで金額が変わらない場合は返金してくれない場合もある
  • 敷金と定額補修費の取り扱いはほとんど同じ
  • よほど汚さない限りは退去時に高額請求されることがないのが定額補修費の強み

個人的には定額補修費プランは余計な心配をしない分、かなりオトクに感じました。

敷金との違いは実際ほとんどありませんが、定額補修費はある意味ぼったくりや高額請求をされることがないということです。

「退去費はだいたいこのぐらいだから最初に払っておいて」というものなので住んでいる側としては安心できます。

僕が過去に住んだ物件で1件目は敷金があったのに追加で5万円請求されました。

2件目は定額補修費プランに加入していたためか、追加で請求されることはなく約7千円の返金がありました。

見積もりも細かくぼったくられないのが定額補修費の良さなのかなという印象です。

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