賃貸アパートでカビだらけだと退去費用はいくらかかる?

湿度の高い物件や日当たりの悪い部屋というのは、普通に過ごしていてもカビが生えてしまいやすい環境です。

「カビだらけだから引っ越したい」と思っても、そのカビの費用は負担しなければならないのか、それとも大家が費用を持ってくれるのかも気になるところ。

今回は賃貸アパートでカビだらけになってしまった場合、退去費用はいくらかかるのか紹介していきます!

賃貸アパートでカビだらけだと退去費用はいくらかかる?

賃貸アパートにカビが生えてしまったときの退去費用は、それほどひどくない場合だと基本的にハウスクリーニング費用のみで済みます。

全体的なハウスクリーニング費用の相場は約32,000円ほどで、本来であれば貸主負担となりますが、特約を設けることで入居者に負担してもらうことができます。

ハウスクリーニングの内容はキッチンやトイレ、浴室等に水割りの洗浄消毒やフローリングのワックスがけ、エアコンの内部洗浄等が含まれます。

つまり、ちょっとしたカビ程度であればこの基本的なハウスクリーニング費用のみで収まるというわけです。

ただし、アパートの部屋全体がカビだらけで通常の清掃では賄えない状態だとさらに専門的な清掃が必要になります。

清掃カ所ごとの相場費用をまとめてみました。

場所費用相場
浴室のカビ・水垢5,000円~20,000円
シンクのカビ・油汚れ10,000円~20,000円
トイレのカビ・水垢5,000円~10,000円
窓サッシのカビ・汚れ10,000円~20,000円
壁紙のカビ・汚れ900円/㎡
エアコンのカビ・汚れ10,000円~13,000円

経年劣化等の建物の状態や住んでいる期間によって負担軽減されるので、上記の金額をすべて負担するわけではありません。

カビ汚れは誰が負担するの?

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」には結露を放置したことで拡大したカビ、シミ(賃貸人に通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合等はすべて賃借人(入居者)の負担としているようです。

カビの原因が建物にあったとしてもカビ発生に対して一切対策を講じなければ、入居者がその補修費用を負担するという取り決めとなっています。

もちろんすべてが入居者負担というわけではなく、項目によっては大家負担のものも多々存在します。

具体的な例を見ていきます。

項目大家負担
床(畳やフローリング)・畳の裏返し・表替え
・家具設置による床の凹み・設置跡
・日光や結露による変色・色落ち
・ワックスがけ
壁や天井のクロス等・テレビ・冷蔵庫等の背面の黒ずみ
・ポスターや絵画の跡
・画鋲・ピン等の穴
・エアコン
・クロス(壁紙)の変色
建具や柱・網戸の張替え
・地震で破損したガラス
・熱割れなどによるガラスの傷や破裂
設備等・全体のハウスクリーニング
・エアコンの内部洗浄
・消毒(台所・トイレ)
・浴槽・風呂釜等の取り換え
・鍵の取り換え
・機器の故障等

住んでいて絶対に傷ついてしまうもの、劣化してしまうものは大家側の負担となるのでその心配をする必要はありません。

例えば建物の構造上絶対にカビが生えるような状態だったり、断熱材が不十分によってカビが生えてしまうのは大家負担ということです。

項目入居者負担
床(畳やフローリング)・飲み物等をこぼしたことによるシミやカビ
・冷蔵庫下のサビ跡
・引っ越し作業や模様替え時に生じた傷
・借主の不注意でできた床の色落ち(雨が吹き込む等)
壁や天井のクロス等・日常の清掃を怠ったことによる台所の油汚れ
・結露放置により拡大したカビやシミ
・クーラーからの水漏れを放置したことによる壁の腐食
・タバコ等のヤニ・臭い
・くぎ穴・ネジ穴
・天井に直接つけた照明器具の跡
・落書き等の故意によるもの
建具や柱・飼育ペットによる柱等のキズや臭い
・落書き等の故意によるもの
設備等・ガスコンロ置き場や換気扇等の油汚れ・すす
・風呂・トイレ・洗面台の水垢やカビ
・不適切な手入れや用法違反による設備の故障
・鍵の紛失または破損による取り換え
・庭に生い茂った雑草

カビが生えるのはある程度仕方ないことですが、それをそのまま放置してしまった場合は入居者の負担となるため、管理会社に連絡したり、または自分で掃除をする必要性があるということです。

賃借人にはもともと善管注意義務というものがあり、これは借りた部屋に対して細心の注意を払って使用する義務があるということです。

特別の清掃をしなければ除去できないカビ等の汚損を生じさせた場合も、賃借人は善管注意義務に違反して損害を発生させたことになると考えられるため、カビの発生=原則入居者が負担しなければならないというのが基本のルールというわけです。

カビが争点になった裁判記録

実際に部屋を借りていてカビが争点となった裁判記録について紹介していきます。

事例事案入居者負担
事例1手入れにも問題があったとしてカビの汚れについて、賃借人にも 2 割程度の負担をすべきとした事例カーペット、壁・天井のカビの汚れによる修繕費(2 割程度)
事例2賃借人は見えるところの結露は拭いており、カビの発生に賃借人の過失はないとされた事例なし
事例3カビの発生は賃借人の手入れに問題があった結果であるが、経過年数を考慮するとクロスの貼替えに賃借人が負担すべき費用はない、との判断を示した事例天井の張替え、クロス下地の取替え、窓枠・サッシビートの取替え、玄関扉のサビによる交換(各 20%を負担)

裁判所の判例によれば、カビを争点にした裁判ではいずれも2割程度の負担にとどまっています。

カビが発生しないように定期的に換気をしたり、結露を拭いたような証拠があれば通常の使い方をしていると判断されるため、それでもカビが発生するようなら一切責任を取る必要はなさそうです。



賃貸アパートで特にカビが生えやすい場所

カビの種類というのはとても豊富で、現時点では8万種類が全世界に生息していると言われています。

ただし、室内に生えるカビの種類はある程度限られています。

カビの種類事案主な生息場所
赤カビ水のみで繁殖可能シンク・浴槽・洗面所
黒カビホコリ等の汚れ・皮脂や石鹸カスが餌風呂場の隅・窓・洗面所・壁紙
青カビ空気中に多く浮遊している柑橘類やパンなどの食べ物やクローゼット
白カビ軽くて毒を持つこともある押入れ・クローゼット・観葉植物
緑カビ木材の劣化や腐敗を引き起こす畳や木材
黄カビ比較的乾燥に強いカビ糖分や塩分の高い食品・カメラのフィルム等

これらのカビはすべて温度や湿度に影響を受けることで繁殖しています。

カビの増殖速度を研究した論文(各種の湿度環境下における真菌類の増殖速度測定と増殖挙動モデル)によれば、湿度が90%の場合はカビの繁殖が確認され、0%~45%の条件では全くカビの成長は見られていません。

つまり、湿度が高くなりやすい物件は自然とカビも生えやすくなるというわけです。

浴室付近

お風呂場は「赤カビ(ピンクカビ)」や「黒カビ」が生えやすい場所として有名です。水回りで繁殖しやすく、垢や皮脂を養分とするカビ。

一人暮らしなら一度は経験したことがあるぐらい繁殖しやすく、赤カビは黒カビのエサになるので厄介になる前に駆除しましょう。

シャワーを浴びた後でも石鹸残りや皮脂が残っているので熱めのお湯で全体を流します。

あとは換気をよくすることも重要。

脱衣所やその付近

ビレッジハウス風呂場

湿度が高いので脱衣所の角近辺やマットレスの下、洗面台の下に生えやすいです。

手入れのしにくい部分なのがまた厄介なところ。

基本的には換気扇をつけていれば対策することは可能ですが、カビの生えやすい立地だと脱衣所が地獄になるので注意してください。

四隅や空気が循環しにくい場所は特に注意が必要です。

クローゼット

僕も実際に経験してしまいました。

クローゼットは空気が停滞しやすく、もともとタンスをクローゼットに工事したような造りだとその部分は木なので水分を吸ってしまい、カビが生えやすくなります。

僕の場合はクローゼット内部においておいたアタッシュケースにカビが生えてしまいました。

早めに気付いたので被害はそれほど広がりませんでしたが、気づかないうちに悲惨な状態になっている可能性もあるので、一度確かめてみましょう。

日当たり悪い部屋なんかだとカビが生える確率も高くなるのでクローゼットはできる限り開けっ放しにしておくべきです。

窓の近く

窓は結露しやすいので水分が多く、外気の影響を受けることによって湿度が高い場所と言われています。

当然窓近くにあるカーテンとかフローリングは水分が多く含まれやすいため風通しが良い場所でもカビが発生しやすいです。

窓枠ってよくカビが発生しますが、水分が拭き取られずにそのままの状態になっていたら当然カビは生えてしまいます。

窓近くのカビはどの物件でも言えることなのでこまめに拭き取ったりカーテンを開けておく等で対応するしかありません。

エアコン内部

エアコン内部は主に黒カビが発生しやすい場所です。

夏場にエアコンを使っていると内部と外部の気温差により結露が発生するため、その水滴が溜まってしまうとカビが発生・繁殖してしまいます。

他の場所とは違い、自分で清掃するのが難しいため基本的には業者に依頼するほかありません。

エアコンのカビを生えないようにするには、運転後に送風や高い温度で一定時間動かすことで内部を乾燥させることができます。

エアコンのカビは酸っぱい臭いになる原因にもなるので、自動清掃機能がついていない場合は送風を駆使しましょう。

エアコンが急に酸っぱい臭いになる原因!臭い匂いの取り除き方とは?

カビは自分で除去することもできる

カビが発生してしまった場合、そのまま退去すれば清掃費用がかかる可能性があります。

ただし、カビというのは手の届かない場所以外は素人でも簡単に除去することが可能なので、清掃すれば退去費用を安くできるかもしれません。

具体的な方法を2つほど紹介します。

70%のアルコールで殺菌する

一番簡単なやり方はアルコール除菌液等でカビをふき取ることで、細胞膜が破壊され、タンパク質の溶出や変性が起こり根本からカビを滅菌してくれます。

ただし、アルコール度数にも気を付けなければなりません。

文部科学省によれば約70%の場合が最も高い殺菌力を発揮し、この濃度域より高くなっても低くなっても殺菌効果が激減すると記載されています。

アルコール度数が高すぎるとすぐに蒸発してしまうため、高い滅菌効果は得られず、逆に低くても効果自体も下がってしまうというわけです。

ちょっと厄介ですが、市販で売っているアルコール除菌シート等の度数は70%~80%程度なので問題ありません。

気になるようであれば購入する前にアルコール濃度の記載を確認しておきましょう。

有効箇所
  • 壁紙
  • 窓際のサッシ
  • 飲み物をこぼしたことによるカビ
  • トイレやシンクのカビ

カビ自体を除去しても跡が残ってしまうことがあります。

特にお風呂場の黒カビは根が深いためキレイにするのは難しいです。

そういった場合は市販で売っているカビキラーがおすすめです。

カビキラーは頑固なカビを漂白してキレイな状態にしてくれるので取れないカビに対しては有効です。

お湯をかけて死滅させる

カビは熱耐性が低く、耐熱性の強いものでも50度~82度のお湯をかけることでほとんどのカビは死滅することがわかっています。

例えば青カビの場合は60度のお湯で2分半程度、パンや餅の上に見られるコウジカビは50度で5分程度が死滅条件となっています。

アルコール除菌と比べると熱湯にさらし続けなければならない分、少し手間がかかるのが難点です。

浴槽やシンクなどお湯を一時的にためておける場所ならいいですが、壁紙等のカビに対してお湯をかけ続けることは難しいのでアルコール除菌のほうが手間がかかりません。


定期的に掃除をしていればカビだらけになることはないので、毎日じゃなくても1週間に1回とか決めて掃除するのがカビ対策としては一番です。

カビが生えたら管理会社に連絡しておこう

カビが大量に発生した場合は建物が原因(日当たりの悪さや新築、コンクリート打ちっぱなし等)となっていることもあるので、管理会社に連絡を入れておきましょう。

通知を怠って物件等に被害が生じた場合(例えば水道からの水漏れを賃貸人に知らせなかったため、階下の部屋にまで水漏れが拡大したような場合)には、損害賠償を求められる可能性もある

引用:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン

通常の手入れを怠ったことによるカビの発生は入居者が負担することになりますが、建物が原因であれば大家が負担することになります。

管理会社に連絡を入れておくことで「カビが生えてしまって困っている」ことを事前に知らせることができ、カビによる清掃費用を一切負担しなくて済む可能性があるというわけです。

早期発見であれば、カビが生えないような修繕を行ってくれるかもしれません。

管理会社に一切連絡を入れずに放置してしまった場合は、たとえ建物が原因でも修繕費用を入居者が負担する羽目になるので注意しましょう。

まとめ

MEMO
  • 少しのカビなら基本的なハウスクリーニング(32,000円程度)で済む
  • アパートがカビだらけだと5万円程度かかることも
  • 建物の構造によるカビの発生・繁殖は大家が負担する
  • 清掃を怠ったことによるカビの発生・繁殖は入居者が負担する
  • カビの発生による入居者負担は2割は平均(裁判記録より)
  • カビがあまりにも発生するようならすぐに管理会社に連絡を

少しのカビなら基本的なハウスクリーニングで済ませることができるので退去費用が高くなることはありませんが、部屋全体がカビだらけだと箇所ごとに専門的なカビ取りを行う必要が出てくるので費用もかさみます。

浴室付近は特にカビが生えやすいので、換気を行ったり、水を拭くようにして対策を講じましょう。

日当たりの悪さやカビがそもそも生えやすい物件というのは退去費用も大家負担になることがあるので、管理会社に連絡をしておきましょう。

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