鉄筋コンクリートと聞くと壁が厚くて防音性が高いイメージですが、全ての物件がそうとは限りません、
マンションによっては構造上隣の生活音がよく聞こえることもあります。
今回は防音性が高いと言われている鉄筋コンクリート造でも壁が薄いことはあるのか、角部屋と中部屋に住むのはどっちのほうがいいのかについてまとめてみました!
目次
鉄筋コンクリート造でも壁は薄いことはある?
最初に言っておきますが、鉄筋コンクリートマンションは木造や鉄骨造に比べてはるかに防音性が高いことは間違いありません。
また、構造上角部屋は中部屋よりも壁が薄いということはほぼありません。
構造 | 防音性 |
---|---|
木造アパート | ★☆☆☆☆ |
軽量鉄骨アパート | ★★☆☆☆ |
重量鉄骨マンション | ★★★☆☆ |
鉄筋コンクリートマンション | ★★★★☆ |
鉄筋コンクリートマンションの壁はもちろん鉄筋コンクリートなのですが、壁によって工法が異なります。
例えば叩いてみて「ぺチぺチ」と音が反響しない壁は鉄筋コンクリートの上にクロスを貼っています。
クロスを貼っていなければ「打ちっぱなし物件」と言われてるコンクリートむき出し状態になるやつです。
コンクリートの上にそのままクロス(壁紙)を貼り付けるためにはコンクリートの表面の凹凸を綺麗にする工程が必要になるため、コストがかかります。
内壁に関しては採用している物件も多いですが、角部屋など外壁に関しても全てやってしまうと建設コストが高くなってしまうので凹凸はそのままに他の手法が採用されています。
「角部屋だけ壁が薄い」というのは間違いですが、鉄筋コンクリート造でも壁が薄いように感じる理由は3つほどあります。
内壁はGL工法が多いので音が反響しやすい
鉄筋コンクリート造でも叩くと「コンコン」と空洞があるような反響音が聞こえる壁もあります。これは木造アパートなんかでよくきく音ですが、実際にアパートとは構造が異なります。
【鉄筋コンクリートの場合】
いわゆるGL工法という壁の仕上げ方で、結露対策になるため外壁は基本的にこのGL工法になっています。
正確には石膏ボードを叩いているので一見木造アパートのような壁の薄さを想像してしまいますが、コンクリートはちゃんと入っています。
GL工法で張られた場合はふかし壁部分が太鼓現象を招いて隣室の生活音が伝わりやすくなります
参照元:yahoo不動産
GL工法はコンクリートむき出し物件やコンクリートの上にクロスを貼る壁よりも音が伝わりやすいので、壁が薄く感じる傾向があります。
もちろん内壁なので角部屋だから壁が薄いというよりもその物件自体の壁が薄いという言い方のほうが正確ですね。
中部屋の場合は両方に挟まれる形になるのでもっと壁が薄いです。
角部屋だと窓が多いので騒音が伝わりやすい
角部屋の場合は他の部屋より窓が多いから防音性が低くなりやすいため外からの騒音が聞こえやすくなってしまっています。
窓は閉まっていても密閉されているわけではないので外からの音がかなり伝わりやすいです。
2重サッシにするとかなり防音になると言われているのも、いかに通常窓の遮音性が低いかがわかるでしょう。
鉄筋コンクリート造の外壁は遮音性に優れていますが、窓を取り付けることによってせっかくの遮音性の高さを台無しにしてしまっているようなものです。
もちろん防音性を気にして角部屋を選択するのは決して間違っている判断ではありません。
角部屋は他の部屋との接地面積も少ないので被害は少ないですし、実際角部屋のほうがトラブルもなく生活できる人のほうが多いでしょう。
ただし、外からの騒音は聞こえやすいので車通りや線路沿いだとうるさいと感じるので立地次第で選ばないほうが良い場合もあります。
内壁にコンクリートが使用されていない
鉄筋コンクリート物件と聞くと外壁だけじゃなく、すべての壁にコンクリートが使われているように感じてしまいますが、内壁にはコンクリートは使われていないという物件も賃貸では一定数存在します。
建築構造が鉄筋コンクリート造(RC造)であっても、戸境壁が石膏ボードとグラスウールなどの、吸音材を組み合わせた材料で造られている場合は、防音性が低くなる傾向にあることを覚えておいたほうが良いでしょう。
参照:UR賃貸住宅
鉄筋コンクリート造の物件はその重みに耐えられるだけの壁を用意する必要があるため、木造アパートに比べてはるかに壁は厚いですが、素材が原因で音が思ったよりも筒抜けになってしまうことも。
てかやばいのがこの騒音、鉄筋コンクリートの分厚い壁側なのにガンガン聞こえてくるという事実。薄い壁側のお隣さんはこれよりも騒音聴こえてると思うと気が狂いそうだぜ……..。
— てるのしん(修行中)⚙️ (@Terunoshin_) May 12, 2021
隣部屋の音が聞こえるのやだ…
鉄筋コンクリートでもこんな壁薄いのですか
こんな考えてる時点で前よりも経済的に安定してる
欲とはこわいもので— n (@2e9flx4bO9ISC85) July 31, 2021
「鉄筋コンクリートなのに隣人の音が聞こえてくる」という問題の多くは内壁に遮音性の高い素材が使われていないことが原因。
建築関係の仕事をしている人なら壁を叩いただけでもある程度把握することは可能ですが、素人は肌感でしかわからないので設計図を見せてもらうか内見時に営業マンに壁の素材について聞いた方が手っ取り早いです。
角部屋は寒い?
角部屋が寒いと言われる最大の原因は窓の多さです。騒音の原因と同じですね。
通常の賃貸物件の場合、窓はベランダ部分に一つですが角部屋の場合は部屋にもう一つ、ないしは二つ窓が付いていることがあります。
冷気は窓から侵入しますのでこれが角部屋=寒いとう構図を生み出しています。
僕も現在鉄筋コンクリート造の角部屋に住んでいますが、確かにベランダ窓の他にリビングにも窓が設置されています。
冬って基本寒いので中部屋に比べて寒いかと聞かれると比較が難しいところですが、構造上は部屋の熱は外に逃げやすく、窓からの冷気は中に入りやすいので寒いんでしょうね。
もちろんこの辺はそこまでお金をかけずに対策が可能なのであまりデメリットとして考えなくて良いと思います。
角部屋は家賃が高い?
アパートの場合は角部屋だけ家賃が高かったすることも多いですが、これは角部屋が高いのではなく専有面積が広いせいで家賃が高くなっている可能性が高いです。
僕が住んでいるマンションは全部の部屋がほとんど同じ専有面積なので家賃は全室同じです。
同じ物件で家賃が高くなるのは階が違う、もしくは部屋の広さが異なっている可能性が高いです。
なのであえて家賃の高そうな角部屋を選ばないというような部屋の探し方はしない方が良いでしょう。
中部屋と角部屋どっちがいい?
結論から言えば角部屋がおすすめです。
角部屋は外からの騒音が響きやすいというのが壁が薄いと言われている大きな理由ですが、中部屋の場合はそもそも内壁自体にコンクリートが使われているとは限りません。
鉄筋コンクリート造なので当然外壁には鉄筋+コンクリートが使用されますが、部屋と部屋を遮る内壁はコストを抑えるために石膏ボードと断熱材等を入れているだけの可能性は十分に考えられます。
確かに壁の厚さは耐久性を考慮して150mm以上などの指標はあるもののコンクリートを使用しなければならないというルールはありません。
「鉄筋コンクリート造なのに普通に生活音とか聞こえてくるんだけど?」と感じるのはコンクリートが使われていない可能性が高いです。
また中部屋の場合、隣りと隣接している壁の数が多いのでそれだけ騒音トラブルになる可能性は高いです。
例えば2階の中部屋なら合計4部屋と隣接しているのでリスクもそれだけ高くなります。
苦情が来るのが怖いという人は1階の角部屋が最強。
他の人の騒音が嫌という人は最上階の角部屋が最強です。
鉄筋コンクリート造の角部屋に実際に住んでみた感想
ここからはあくまで僕の感想なので参考程度に。
僕が住んでいたマンションは鉄筋コンクリート造で3階建ての大通りから一本入った路地裏です。
まず外の音ですが、基本的には全く聞こえてきません。
外に出ると割と近くが大通りなので車の音とか普通に聞こえてきますが、部屋に入れば全く聞こえません。
一度大通りの鉄筋コンクリートマンションを内見した時は部屋にいてもバンバン車の音が聞こえてきて騒音がひどかったのでこちらにして正解でした。
隣人の声は今まで一度も聞こえたことがないですが、下の階の引き戸を開閉する音は若干聞こえます。
寒さ暑さに関してはあまり分からないというのが正直な感想です。エアコンをつければ普通に部屋を暖められますし問題ありません。
まぁエアコンを消すと窓が多く保温効果的なものがないためすぐに寒くなってしまう気はしています。
なんだかんだであまり不便なところは感じておらず、割と快適に過ごせているのが現状です。
より防音性の高い物件を選ぶ方法
鉄筋コンクリートマンションは確かに防音性が高いですが、物件によっては意外と生活音が漏れてしまうことがあったりして「思っていたよりも壁が薄い」と感じることも稀にあります。
鉄筋コンクリート物件を選ぶこと自体は間違いではないので、さらに物件情報を確かめることによって防音性の高さは確認できます。
ラーメン構造より壁式構造を選ぶ
建物には色んな構造がありますが、ラーメン構造よりも壁式構造のほうが防音性は高いと言われています。
ラーメン構造というのは食べ物のラーメンとは無関係です。この構造は柱と梁のみで建物の骨格を作り、その上で壁が貼られています。
一方、壁式構造とは柱ら梁を使わずに床や壁といった平面的な構造体のことです。
学校の椅子の脚部分はラーメン構造って感じですね。壁式はティッシュ箱というイメージだと思ってください。
鉄骨造や鉄筋コンクリート造はこの2つのどちらかの構造となっているのが一般的です。
鉄筋コンクリート造のマンションに住んでいる人がもし防音性が低いと言っているなら、おそらくそれはラーメン構造です。
ちなみに壁式構造は5階建て以下の低層マンションにしかほとんど使われないそうです。
RCも二つあり
壁式構造とラーメン構造がある
壁式のRCが一番防音が高い
ラーメン構造は
梁が部室天井にあるのがそれ— ねこねこねこ(また中ショック中) (@TQBuFftGSJzrpfZ) March 22, 2021
ラーメン構造は柱があるので間取りを見たときに一発でわかります。柱の部分が四角く黒く塗りつぶされていたら=ラーメン構造です。
ちょっとわかりにくいので実際の画像を見てみましょう。
出典:https://www.token.co.jp/apartment/structure/rc/
出典:http://www.r-lounge.jp/blogs/16
この黒く塗りつぶされている部分があればラーメン構造となります。壁式の場合はこういった部分は部屋のどこにも見当たりません。
実際に検索して部屋の間取りを見てみましょう。
直接部屋を見に行かなくてもどっちの構造なのかを見分けることが出来ます。
ただ賃貸物件は壁式よりもラーメン構造の方が多いです。なのでこれに関しては必ずそうしなければならないというわけではないので参考程度にとどめておいてください。
ラーメン構造でも防音性がしっかりしている物件もあります。
ちなみに僕が現在住んでいるマンションはラーメン構造ですが隣りの部屋の生活音等は一切聞こえません。
低層の鉄筋コンクリートマンションを選ぶ
内壁に使われている素材が鉄筋コンクリートではないのは建物の構造上です。
施工費をケチっているよりはコンクリートを流し込んでしまうと荷重が増えて建物がその重さに耐えきれなくなってしまうので高層マンションでは採用されていません。
逆に言えば3階建てぐらいの鉄筋コンクリートマンションであれば壁に使われている素材もコンクリートの可能性が高くなるので、必然的に防音性の高い物件に住める確率は高くなります。
分譲賃貸マンションを選ぶ
鉄筋コンクリート造の中でもさらに防音性が高いと言われているのが分譲賃貸マンションです。
分譲賃貸というのは一生住むことを前提に造られている物件のことで、売買されてから賃貸部屋として貸し出されています。
一般的な賃貸物件は数年住めれば良いという前提で建設されているので建設コストもなるべく安くするように造られていますが分譲賃貸はお金をかけて造られているので防音性が段違いに違います。
分譲賃貸マンションは壁の厚さだけではなく、フローリングや窓部分、設備に至るまでグレードが高いので家賃も高いですが防音性もかなり高くておすすめです。
実際に住んでみましたが、話し声すら聞こえたことがないレベルで防音性が高かったので壁の厚みはかなりのものです。

まとめ
- 鉄筋コンクリート物件でも角部屋だと窓のせいで外からの音が聞こえやすい
- 構造上角部屋よりも中部屋のほうが壁が薄い可能性は高い
- 鉄筋コンクリート造でも内壁にコンクリートが使用されていないこともある
- 大通りで角部屋に住むと騒音が気になる可能性がある
- 低層マンションのほうが内壁にコンクリートが採用されている可能性が高い
- より防音性の高さを求めるなら分譲賃貸物件がおすすめ
鉄筋コンクリートは基本的には防音性が高い部類となるので、そこまで神経質になる必要はありませんが大通りや外からの騒音が気になる場所に位置しているマンションの場合は角部屋はやめておいたほうが良いかもしれません。
角部屋はその分、隣人とのトラブルに遭う可能性が低くなるので需要が高いことは間違いありません。
壁が薄いと感じるようなら分譲賃貸物件を選ぶようにしましょう。
参考になれば幸いです。


防音性の高いマンションを効率的に探すコツ
分譲賃貸マンションを選ぶのであれば防音性は必然的に高いものになるので問題ありませんが、通常の鉄筋コンクリ―造だけでは物件次第で当たり外れがあります。
効率的に防音性の高いマンションを探したいのであれば、スーモやホームズで絞り込み検索をするよりもイエプラのような細かい条件を設定可能なアプリがおすすめです。
イエプラというのはチャットを通して部屋を探してもらえるアプリなので「内壁にコンクリートが使用されている物件がいい」といった細かい条件も伝えることができます。
良さそうな物件を見つけた場合はイエプラを通して「このマンションの内壁はコンクリートが使われているか」と聞くと管理会社に問い合わせて確認してもらうことも可能。
こういった使い勝手の良いアプリを使うと効率的に部屋探しができて便利です。