UR賃貸住宅の退去費用は平均いくら?0円で済ませることも可能?

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UR賃貸住宅は通常の賃貸不動産と違い、民間ではなく都市再生機構という独立行政法人が管理している賃貸住宅です。

民間と違い、ぼったくり被害などはなく適正価格で計算されるのが大きな特徴です。

今回は『UR退去費用の平均はどのぐらいなのか』についてアンケート調査を行い、平均値を算出してみました。

UR賃貸住宅の退去費用は平均いくら?

当サイトで『UR賃貸住宅に住んだことのある人』76人にアンケート調査を行った結果、URの退去費用の平均は約4.6万円となりました。

結論から言えばUR賃貸住宅の退去費用は相場よりも安い金額です。

『UR賃貸の退去費用は高いと思うか』という質問に対して、「安い」は27.7%、「普通」は48.7%、「高い」と感じた人は最も低い23.7%となっています。

  • 調査対象:『UR賃貸住宅に住んだことのある人』
  • 調査期間:2023年3月17日~2023年3月31日
  • 調査年齢:20代~60代
  • 調査性別:男性43人/女性33人
  • 調査機関:クラウドワークス
  • 有効回答数:76人
退去費用割合
0円3.9%
1円~1万円未満5.3%
1万円以上~2万円未満7.9%
2万円以上~3万円未満14.5%
3万円以上~4万円未満18.4%
4万円以上~5万円未満6.6%
5万円以上~6万円未満10.5%
6万円以上~7万円未満10.5%
7万円以上~8万円未満6.6%
8万円以上~9万円未満3.9%
9万円以上~10万円未満1.3%
10万円以上10.5%
退去費用平均額4.6万円
※UR賃貸住宅の家賃別退去費用割合 ※少数第2位を四捨五入

基本的には間取りが広くなればなるほど汚れや傷の箇所も増えるため清掃費用も高くなる傾向があります。

UR賃貸住宅の間取りは2DKや3LDKなど広いお部屋が多くなっていますが、退去費用のボリュームゾーンは2万円~4万円未満となっています。

こちらは無人契約機検索サイト「アトムくん」が行った男女200名による”民間賃貸”の退去費用に関するアンケート調査結果です。

間取り退去費用の平均額
ワンルーム/1K/1DK/1LDK49,980円
2K/2DK/2LDK79,924円
3DK/3LDK/4K~4LDK90,139円

単身者でも平均約5万円ほどかかり、UR賃貸住宅のメイン間取りである広さとなると8万円近くかかります。

比較してみると明らかにUR賃貸住宅の退去費用のほうが安いことがわかります。

住居期間ごとの退去費用平均

住居年数退去費用平均
1年未満2.7万円
約2年4.4万円
約3年4.8万円
約4年3.9万円
約5年4.2万円
6年以上7.1万円
※少数第2位を四捨五入

ペットを飼っていた人のデータも含まれているため多少ばらつきはあるものの、基本的には住居年数に比例して退去費用も高くなる傾向があります。

長く住み続けるとフローリング等に傷をつけてしまう可能性も増え、汚れも目立つようになってきます。

基本的なハウスクリーニングだけでは落ちないような汚れは入居者負担となってしまうため、高くなってしまうというわけです。

ただし、物件の設備には耐用年数というものが決められており、それぞれ一定期間使い続けると価値が下がるようになっています。

設備耐用年数
フローリング考慮されない
壁紙(クロス)6年で1円
畳表考慮されない
畳床6年で1円
カーペットやクッションフロア6年で1円
障子やふすま考慮されない
流し台5年
エアコン6年
インターホン6年
タンスや戸棚8年
便器や洗面台等15年

例えばクロスを破ってしまったり、汚れを付けてしまっても耐用年数は6年なので、6年以上住み続けていれば壁紙単体の費用を払う必要はなくなります。

UR賃貸はガイドラインを遵守しているため、しっかりと計算されるため長期的な住居で高額になるといったことはありません。

間取りごとの退去費用平均

間取りが広くなればなるほど清掃部分も多くなるため、退去費用も高くなる傾向があります。

間取り退去費用平均
1R/1K/1DK4.0万円
1LDK4.2万円
2DK/2LDK4.9万円
3DK以上5.0万円
※少数第2位を四捨五入

ただし、間取りによる退去費用相場も通常の賃貸住宅よりかなり安い金額となっています。

広めな3DKでも5万円前後というのは相場の2分の1程度です。

UR賃貸住宅の退去費用はなぜ安い?

UR賃貸住宅の退去費用は全体的に民間が運営している賃貸よりも安くなる傾向が見られます。

安くなる理由は主に2つあります。

基本クリーニング費用が無料

退去時にかかる基本クリーニング代は本来、区分としては大家が負担するものです。

ただし、よくある賃貸借契約では特約として『ハウスクリーニング代○○円は借主負担とする』といった記述がなされており、入居した側が払うケースが一般的となっています。

UR賃貸住宅ではこういった特約は一切設けておらず、基本ハウスクリーニング費用もかかりません。

傷や汚れをつけていなければ退去費用0円ということも現実的には考えられる数字となっています。

当サイトのアンケート調査でも少数ながら退去費用0円という回答もあることから、基本クリーニング費用がかからないことが証明されています。

利益を追求していないため

物件を所有しているのは大家ではなく独立行政法人であるUR賃貸です。

独立行政法人は国から独立して事業を行う法人なので「単純な利益追求を目的としてない」ことが民間企業との大きな差です。

独立行政法人制度とは、各府省の行政活動から政策の実施部門のうち一定の事務・事業を分離し、これを担当する機関に独立の法人格を与えて、業務の質の向上や活性化、効率性の向上、自律的な運営、透明性の向上を図ることを目的とする制度です。

引用元:総務省

大家や民間企業が絡んでいる物件では少しでも利益を取ろうとして、かかる費用以上の料金を請求する場合があります。

独立行政法人は利益が出ても運営費として充てられ、余った分は赤字の損失補填、もしくは積立金にしなければなりません。

目的の違いにより、民間企業よりも退去費用がより適正値になるため『安く感じる』というのが理由です。

ガイドライン遵守でぼったくられることがない

退去費用は国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によって明確に区分されています。

項目大家負担
床(畳やフローリング)・畳の裏返し・表替え
・家具設置による床の凹み・設置跡
・日光や結露による変色・色落ち
・ワックスがけ
壁や天井のクロス等・テレビ・冷蔵庫等の背面の黒ずみ
・ポスターや絵画の跡
・画鋲・ピン等の穴
・エアコン
・クロス(壁紙)の変色
建具や柱・網戸の張替え
・地震で破損したガラス
・熱割れなどによるガラスの傷や破裂
設備等・全体のハウスクリーニング
・エアコンの内部洗浄
・消毒(台所・トイレ)
・浴槽・風呂釜等の取り換え
・鍵の取り換え
・機器の故障等

汚れや傷をつけてしまったとしても”日常生活上仕方ないもの”に関しては基本的に大家(オーナー)負担となっています。

通常の賃貸借契約もガイドラインに沿って退去費用の計算が行われますが、特約の記述やぼったくりによって高くなってしまうことのほうが多いのです。

UR賃貸住宅では行政というだけあって過剰な請求がされないため安く感じるというわけです。

入居者負担となる項目もしっかりと明記されていて、線引きも明確です。

項目入居者負担
床(畳やフローリング)・飲み物等をこぼしたことによるシミやカビ
・冷蔵庫下のサビ跡
・引っ越し作業や模様替え時に生じた傷
・借主の不注意でできた床の色落ち(雨が吹き込む等)
壁や天井のクロス等・日常の清掃を怠ったことによる台所の油汚れ
・結露放置により拡大したカビやシミ
・クーラーからの水漏れを放置したことによる壁の腐食
・タバコ等のヤニ・臭い
・くぎ穴・ネジ穴
・天井に直接つけた照明器具の跡
・落書き等の故意によるもの
建具や柱・飼育ペットによる柱等のキズや臭い
・落書き等の故意によるもの
設備等・ガスコンロ置き場や換気扇等の油汚れ・すす
・風呂・トイレ・洗面台の水垢やカビ
・不適切な手入れや用法違反による設備の故障
・鍵の紛失または破損による取り換え
・庭に生い茂った雑草

上記のような項目は退去費用増額の原因となりますが、普通に生活していれば数十万も取られるようなことはまずありません。

UR賃貸住宅は具体的な負担区分について『修理細目のしおり』で公開しているのでチェックしておきましょう。

UR賃貸住宅で退去費用を高額請求されることもある?

アンケート調査では安い退去費用が目立っていましたが、中には『10万円』『15万円』といった比較的高額な退去費用を請求された人もいるようです。

UR賃貸でも退去費用が高額になってしまうケースとして以下の可能性が考えらえます。

ペットを飼っている

UR賃貸住宅には『ペット共生住宅』というペット可物件もありますが、ペットを飼っていることにより退去費用は高くなってしまう傾向があります。

  • クロスの引っかき傷
  • ペットの臭いが付着する
  • ふすまや障子の傷跡
  • フローリングのひっかき傷

臭の除去、汚れの清掃はもちろん、柱に対してのひっかき傷などは修繕費用も高くついてしまいます。

また、フローリングも全体的に傷をつけてしまうとその分高額な費用が請求されてしまうため注意が必要です。

『カーペットを敷く』『柱に傷がつかないよう布で覆う』など対策をしておかないと退去費用が数十万円になることも珍しくありません。

カビの放置

UR賃貸の物件は気密性の高い鉄筋コンクリート造となっている物件が多いですが、木造に比べると湿度を逃がすことができないためカビが生えやすいといった特徴があります。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」には結露を放置したことで拡大したカビ、シミ(賃貸人に通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合等はすべて賃借人(入居者)の負担としているようです。

部屋全体がカビだらけで通常の清掃では賄えない状態だとさらに専門的な清掃が必要になります。

清掃カ所ごとの相場費用をまとめてみました。

場所費用相場
浴室のカビ・水垢5,000円~20,000円
シンクのカビ・油汚れ10,000円~20,000円
トイレのカビ・水垢5,000円~10,000円
窓サッシのカビ・汚れ10,000円~20,000円
壁紙のカビ・汚れ900~1,200円/㎡
エアコンのカビ・汚れ10,000円~13,000円
合計40,000円~83,000円+a

カビがひどい場合の退去費用相場は基本クリーニング費用とは別に4.0万円~8.3万円+aほどかかります。

壁紙は経年劣化によって6年住めば価値が1円にまで落ちるため、住んでいる期間によって費用が異なるため+aと表記しています。

カビを長年放置し続けてしまうと、10万円以上の退去費用がかかってしまうというわけです。

カビ対策はしっかりと行っておく必要があります。

タバコ喫煙によるヤニ汚れ

タバコを部屋で吸っているとクロスがヤニによって黄ばんでしまいます。

タバコによる修繕箇所というのは大きく分けて3つ。

ヤニで壁紙や黄ばむクロスの張替え費用
換気扇にヤニが付着する換気扇の清掃費用
タバコの臭いが付着する基本的なハウスクリーニング費用

クロスは住居期間が長ければ長いほど価値も下がりますが、少しして退去程度では高額請求される可能性があります。

6畳(40㎡)約48,000円
7畳(43㎡)約51,600円
8畳(48㎡)約57,600円
9畳(51㎡)約61,200円
10畳(54㎡)約64,800円
11畳(57㎡)約68,400円
※算出方法:1㎡=1,200円で計算

部屋でずっとタバコを吸っていて壁紙全体を替えなければならないとすればワンルームでも48,000円ほどかかってしまうわけです。

UR賃貸住宅の退去費用を0円で済ませる方法

UR賃貸住宅の退去費用は人によっては0円~数千円程度で済ませられることも多くなります。

大きな破損や掃除を怠りさえしなければ誰でも現実的に安く抑えることができるので、より安くするためのポイントについて解説していきます。

適度な換気を行う

UR賃貸住宅は気密性の高い構造ゆえにカビが生えやすくなってしまっています。

実際、アンケート調査ではカビに対して不満を抱いている意見もありました。

40代/女性

お風呂では換気扇を終日やらないとカビが発生した。

30代/女性

結露がひどすぎてカビもひどい。

カビ対策として簡単かつ誰でも行える方法は『換気』です。

1日に数回、数分だけでも窓を開けておくようにするだけで外からの風が入るためカビの繁殖を抑えることができます。

文部科学省におけるカビ対策マニュアルによれば室内の湿度を60%以下に抑えることが重要だと記載されています。

必ずその環境に適した微生物が生育してくることは避けられないため、最終的にはあらゆる微生物が発生しにくい環境に空間を制御するのが最善である。すなわち相対湿度は60パーセントを超えないように、また空間や資料周りを清浄に保つことが重要である。

引用:文部科学省

「朝起きたら換気する」「寝る前に少し換気する」など習慣化すればそれほど面倒ではないため、生活に取り入れるだけで退去費用も同時に抑えることができます。

傷がつきそうな床はカーペットで覆う

フローリングの傷は借主負担となっており、クロスのように経年劣化には含まれないため長く住んでも退去費は安くなりません。

フローリングを傷つけてしまう主な原因は『家具を引きずってしまった』など重いものがずれたときに生じるものです。

引っ越し時は最新の注意を払うとして、普段傷つけてしまわないようにカーペットを敷いておくことで簡単に防止することが可能です。

部屋一面に敷けるようなものも存在するので、どうしても傷つけたくない場合は検討してみましょう。

換気扇等にほこりフィルターを設置しておく

UR賃貸住宅が公開している『修理細目のしおり』によれば、借主負担とされている箇所には部屋に設置されているエアーフィルターの交換が含まれています。

キッチンはもちろん、浴室、洗面所、トイレ、部屋内部など換気口はいくつも取り付けられています。

借主負担
  1. エアコンフィルターの交換
  2. 給気口のエアーフィルターの交換
  3. 換気扇吸い込み口のエアーフィルターの交換
  4. トイレの排気ファン吸い込み口のエアーフィルターの交換
  5. 浴室のエアーフィルターの交換

エアーフィルターの交換はほこりのつまり等による故障が主な原因となります。

ほこりが内部まで侵入しないように網目の細かいフィルターを設置しておくことで手間がかからず簡単にほこりを防止することができます。

商品名値段場所
東洋アルミ ほこり取り
657円(5枚入り)トイレ/脱衣所
東洋アルミ 整流板付専用
577円レンジフード(整流板付専用)
虫ブロック換気口フィルター
890円換気口/給気口/屋外ダクト

ちなみに換気口は素人でも外して洗うことができるため、もし汚れがきになるようだったら自分で掃除してしまうのも退去費を安くする方法の1つです。

鍵の紛失に注意する

入居時に受け取ったお部屋の鍵は原則として退去時に返却しなければなりません。

前入居者が使用していたものから交換された3本の鍵が入居者に預けられ、退去時に返却が必要となります。
また、賃貸契約中に鍵を紛失した場合の交換費用は、自己負担となりますので注意が必要です。

引用:UR くらしのカレッジ

UR賃貸では鍵交換費も無料となっていますが、もし鍵を無くしてしまった場合はその分を弁償しなければなりません。

鍵の紛失は鍵交換費用とは関係がなく、ガイドラインに基づいた返却品であるため費用が発生しまうというわけです。

鍵の紛失が怖い場合はマスターキーを大切に保管しておき、合鍵を作ってそれを普段使いするといった方法もあります。

紛失してしまうと1.5万円前後の金額が退去費用としてかかるので負担が大きくなってしまいます。

退去の連絡は「14日前」までに行う

通常、賃貸の退去連絡は退去したい日の1ヶ月前までに行わなければなりません。

UR賃貸住宅の場合は2週間前までに「賃貸住宅賃貸借契約解除届」を管理サービス事務所や管理連絡員に提出すれば良いため、引っ越し先を確定させてから連絡することが可能です。

URでは、最短で14日前までに契約解除届を提出すれば良く、月の途中で解約する場合は日割り家賃を支払います。

引用:UR くらしのカレッジ

退去の際に必要なもの
  • 印鑑
  • 契約書の写し
  • 退去費清算の振込口座がわかるもの
  • 身分証明書
  • 移転先住所

契約解除日から原則30日以内で退去費用等の清算が行われます。

敷金として払った金額の余剰金はこの際に返金されるので待ちましょう。

まとめ

MEMO
  • UR賃貸住宅の退去費用相場は約4.6万円
  • 『住居期間』『間取りの広さ』から見てもUR賃貸は相場よりも安い
  • 退去費用が安い理由は「基本クリーニング代」が無料であることが多い
  • 行政が運営しているためぼったくり被害に遭うことがない
  • 預け金である敷金のほとんどは返金される

UR賃貸住宅の退去費用はアンケート調査から見ても相場より安い金額となっています。

初期費用として敷金を払う物件は多いものの、そのほとんどは返金されるため実質的な負担はほとんどなくて済むのが特徴です。

URと言えど部屋を汚してしまったり傷をつけてしまった場合はガイドラインに基づいた費用が請求されるため気を付けましょう。