賃貸の防音と聞くと「壁の厚さ」のイメージが強いですが、防音性はそれだけではありません。
例えば足音がやたら響くのは床に問題があるため。
僕も築年数のやたら古い鉄筋コンクリートに引っ越したら壁はともかく足音がやたらと響く物件に住んでしまって調べに調べてマットを購入することにしました。
今回は賃貸アパートでの床の防音対策や実際にコルクマットを敷いて1年生活してみた感想についてまとめてみました!
目次
足音を防ぐ床の防音対策方法6選
うるさいと感じるかどうかは人によって違いますが、基準値というのは平成10年に公布された環境省の告示によって定められています。
昼間(6:00~22:00) | 夜間(22:00~6:00) | |
---|---|---|
音の大きさ | 55デシベル~ | 45デシベル~ |
昼間と夜で「うるさい」と感じる基準値が違いますが、簡単に言えば上記の音量以下なのに苦情を言われた場合は反論が可能ということです。
実際に足音を含む生活音がこちら。
音の大きさ | |
---|---|
足音 | 45dB |
子供の走る音 | 65dB |
掃除機 | 70dB |
洗濯機の音 | 70dB |
椅子を引きずる音 | 50dB |
ドアの開閉 | 75dB |
話し声 | 60dB |
普通の足音で夜間に聞こえたとしてもほとんど気にならない程度の音量ですが、子供が走る音というのは「ドタドタ」と騒がしく、昼間の基準値も超えた音量となります。
大人であれば意識して歩けば問題ないものの、子供は言っても聞かないことが多いので床への対策が必要になります。
コルクマット
コルクマットというのはワイン等で使われるコルクを使用しているマットのことで、パズルのような形をしていて広さに合わせて自由に大きさを調節できるマットのことです。
正直言って1つだけではほとんど意味を成しませんが、複数のコルクマットを組み合わせることで部屋全体に敷き詰めることも可能なので自分の足音が気になる人や生活音を気にする場合に優れています。
防音相談室によればコルクマット(ジョイントマット)の軽減率は9.4dbほど。
通常の足音 | 子供の走る音 | |
---|---|---|
通常時 | 45.0db | 65.0db |
コルクマット使用時 | 35.6db | 55.6db |
つまりコルクマットを敷くことによって通常の足音は夜でも気にならないレベルで、子供の走る音は昼間なら騒音にならないレベルまで軽減させることが可能というわけです。
売られているコルクマットは表面上だけコルクで下部にはジョイントマットと同じクッション性の高いEVA素材が使われている複合型がほとんどです。
- 肌ざわりがサラサラしている
- 防音効果だけでなく断熱効果もある
- 表面に埃が付きにくい
コルクマットはサラサラした肌ざわりをしていて夏場に裸足で踏んでもコルク層がある程度の汗を吸ってくれるので吸着性はあまりありません。
しかも意外と滑りにくいという特性もあるので小さい子供やお年寄りにとって使いやすいです。
- 価格が高め
- 種類が少なくて好きな色を選びにくい
- 端の部分が反りやすい
コルクマットは基本的に茶色で種類も少ないので部屋をオシャレにしたい場合には不向きです。
コルクが主な素材となるので価格も若干高いという面があり「安く防音対策したい」という人にとってはあまりおすすめできません。
ジョイントマット
ジョイントマットというのはコルクマットと同じパズルのような正方形の形をしたスポンジ素材やEVA素材のマットのことで、パズル型になっているのでつなぎ合わせて床に敷き詰めることができます。
足音の軽減率はコルクマットもジョイントマットもほとんど同程度ですが1層になっている分やや劣るという意見もあります。
コルクマットとの違いはEVA素材がメインで使われているかどうかという部分しか差はありません。
EVAというのは「エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂」の略で弾力性があり耐久性が高いのが特徴です。まさに床に敷くのにふさわしい素材です。
- コルクマットよりも安価
- 種類や色が豊富なので部屋に合わせたものを選びやすい
- 水拭きが可能なので汚れにくい
- 軽くて反発力がある
コルクマットよりもジョイントマットのほうが種類が豊富なので一人暮らしで部屋をオシャレにしつつ防音対策をしたい場合はこちらのほうが選ばれやすいです。
- 吸着性が高く埃がつきやすい
- 蒸れやすい
- 「きゅきゅっ」とした音が鳴りやすい
ジョイントマットは静電気が発生しやすいため埃がつきやすい性質があります。
また、水を吸わないため蒸れやすく歩いた時にきゅきゅっとした嫌な音が鳴ることがあるのがデメリット。
カーペット
コルクマットやジョイントマットほどの防音性能はありませんが、カーペットを敷くことでも立派な防音対策になります。
カーペットの足音軽減率は数db程度となっていますが、軽量衝撃音は防ぐことができるので子供がおもちゃで遊んでいるときに床に落としてしまった音は防ぐことができます。
音というのは空気中から壁や床に伝わるものも多いですが、カーペットをするだけで空気中の振動を吸収してくれるので部屋の防音対策ができるというわけです。
カーペットも種類が豊富でインテリアとしても使えますし、防音対策メインであれば部屋全体に敷き詰めるタイプを購入するとより効果が発揮しやすいです。
また、防音カーペットというものもあるので、足音をどうしてもなんとかしたいならおすすめです。
足音のような衝撃音は遮音等級で示されているので、防音カーペットを選ぶときは遮音等級値を目安に選ぶようにしましょう。
遮音等級 | 歩行時の足音 | 生活者プライバシーの確保 |
---|---|---|
L-35 | ほとんど聞こえない | 上階の気配を感じることがあるが多少跳ねても聞こえにくい |
L-40 | 遠くから聞こえてくる感じ | 物音がかすかに聞こえる程度で気兼ねなく生活できる |
L-45 | 聞こえるが気にならない | 上階の生活音が多少気になる |
L-50 | 少し気になる | 上階の生活状況がわかるが注意すれば問題ない |
防音カーペットと呼ばれるものはL-40~L-35のものが多くなっていて、遮音等級が高くなればなるほど値段も高くなるので金額と相談しながら選びましょう。
フロアマット
フローリングマット、フロアマットと呼ばれる塩化ビニル製のマットも防音性があります。
通常のフロアマットは薄手で大した防音効果が得られませんが、防音専門ピアリビングが提供しているフロアマットの場合は厚さが10㎝もあり、発生音の大きさを約20%ほどカットしてくれる効果があります。
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これをもとに計算すると通常の足音なら約36db、子供の足音なら52dbまで軽減させることが可能です。
もちろんフロアマットも他のマットと同様で厚さによって防音性能が大きく異なるので選ぶ際は注意してください。
本来、フロアマットは汚れや傷を防止するためや、和室を洋室風にアレンジするために使われるものですが、弾力性があり、薄いながらも足音対策になるので防音性能も自然と備わっています。
部屋の雰囲気をあまり変えたくない場合やカーペットを敷くのが嫌な人はフロアマットを部屋に敷き詰めるのがおすすめ。
カーペットとは違い、水をしっかりとはじいてくれるので飲み物をこぼしてしまってもすぐに拭き取れるなどのメリットがあります。
1畳区切りでも購入可能なので、部屋全面に敷き詰めるかカーペットと同じ程度の幅にするかは自由に選ぶことができます。
チェアマット
チェアマットとはその名の通り、椅子の下に敷く専用のマットのことです。
足音というよりも椅子が動くことにより振動音や床への傷を防ぐために使用されるのが主な目的となります。
キャスターのゴロゴロ音って意外とうるさくてこの音が原因で下の階の住人から苦情がくることもあるのでしっかりと防音対策する必要があります。
最近ではコロナの影響でテレワークも増え、自宅で仕事をしている人も多いのでデスクがあるならチェアマットがおすすめです。
普通のカーペットとは違い、チェアマットは滑り止めがついていてなおかつスムーズに椅子が動かせるような素材となっています。
スリッパ
一番手軽に防音対策できるグッズとしてはスリッパが有効です。
通常の足音というのは床につく衝撃音+体重による振動音が伝わってしまいますがクッション性の高いスリッパの場合はある程度の衝撃を吸収してくれるので足音が軽減されます。
もちろん全てのスリッパに効果があるわけではなく、足裏が硬いタイプのスリッパはむしろ衝撃を助長させてしまってかえってうるさい音になりかねません。
スリッパを購入するなら足裏部分もやわらかいクッション素材のものを選ぶように注意しましょう。
「スリッパを用意するのが面倒」と感じるようなら靴下を履くことでも多少なりとも防音効果があります。
コスパを考えるならコルクマットやジョイントマットがおすすめ
上記で紹介した足音を防ぐ床材の遮音率と料金相場を表にしてみました。
種類 | 遮音率 | 料金相場 |
---|---|---|
コルクマット | 約9.4db~ | 約8,000円~(6畳) |
ジョイントマット | 約9.4db | 約6,000円~(6畳) |
防音カーペット | 約10db | 約52,000円(6畳) |
(防音)フロアマット | 約20%カット | 約12,000円(6畳) |
チェアマット | 数db程度 | 約2,500円 |
スリッパ | 数db程度 | 約2,000円 |
床の防音性能を考えた時に一番おすすめなのはやはりコルクマットやジョイントマットなどのタイルマットです。
ジョイントマット自体はかなり種類も多く、色も多いので「部屋をオシャレにしたい」という人には持って来いです。
コルクマットは表面がコルク状なのでオシャレさにはかけますがコルクの防音性が高いので「防音性重視」という人はコルクを選ぶ人が多いみたいですね。
少しわかりにくいのでジョイントマットとコルクマットのそれぞれの特徴を比較してみました。
ジョイントマット | コルクマット | |
---|---|---|
価格(6畳用) | 約6,000円~ | 約8,000円~ |
素材 | EVA素材 | EVA素材の上にコルク |
色の種類 | 多い | 1種類のみ |
防音性 | 高い | 高い |
断熱効果 | 高い | 高い |
肌触り | ペタペタ | サラサラ |
柔らかさ | やわらかい | やや硬め |
比較してみるとジョイントマットよりもコルクマットの方が値段が高いことがわかります。
これはコルクマットがEVA素材+コルクの2層なのに対してジョイントマットはEVA素材のみとなっているため。
また、EVA素材自体は弾力性があるもののコルクマットの場合はその表面はコルクなので比較するとジョイントマットの方が柔らかく感じます。
どちらにもEVA素材が使われているので座り心地は良いです。
コルクマットを敷いて1年生活してみた感想まとめ
僕が以前住んでいた物件は鉄筋コンクリートで壁の防音性能はあまり気になりませんでしたが、築年数が古くて和室をフローリングにリノベーションされた部屋でした。
床材のコストをケチっていたせいか軽くジャンプすると部屋全体が揺れるような感覚があり、窓まで簡単に衝撃が響いているほどの酷さだったのでコルクマットを全体に敷き詰めました。
コルクマットの中でも防音性能が高い厚手のものを使用して1年生活してみた結果をまとめてみます。
コルクマットの防音性能
防音性能 | コルクマット |
---|---|
足音 | ◎ |
ジャンプ音 | △ |
軽い物の落下音 | ◎ |
重い物の落下音 | △ |
声などの反響音 | ◎ |
通常の足音に関してはかなり和らぎました。
普通に歩く程度なら衝撃音をほとんど吸収するので部屋全体に響き渡るようなことは全くなかったので敷いた意味はありました。
ただ、さすがに思いっきりジャンプしたりテレビとか重い物を床に落とした時の衝撃音までは半分程度しか防ぐことができなかった印象。
調べてみたところ軽量衝撃音(物を落とした時などの衝撃)はほぼ防げますが重量衝撃音はあまり防げないとのことです。
引っ越したばかりだと物が少ないので喋ると声が反響しがちですが、コルクマットを床全体に敷いた音で吸音作用があったので話し声とかも防げていたように思えます。
コルクマットを敷いて感じた意外なデメリット
防音目的で敷いていたのでそれ自体はしっかりと役目を果たしていて良かったと思いますが、もともと日当たりの悪い物件だったこともあり、コルクマットを敷き詰めたせいか余計ジメジメしたような空間になってしまいました。
実際にコルクマットのせいかどうかは定かではありませんが、コルクマット自体には撥水作用はないので湿度が高くなる原因になっていてもおかしくはありません。
1年敷きっぱなしにして剥がした時に「もしかしてフローリングにカビが生えているのでは?」と不安になりましたが、そういったことは一切ありませんでした。
まとめ
- 床の防音対策ならコルクマットやジョイントマットがおすすめ
- 部屋のオシャレさを重視するならジョイントマット
- 防音対策しても上の階からの足音を防ぐことはできない
軽度ならカーペットを敷いたり、スリッパを履くだけでも問題なくなるレベルにはなりますが、子供の足音だったり僕のように床がもともと薄い場合にはコルクマットやジョイントマットを敷き詰めてしまったほうが良いと思います。
より防音性を高めたいのであればより厚手のものを用意したり、複合的に合わせるのが効果的です。
ただし、自分の床の足音は防げても上の階からの足音を防ぐことはできないので「上の階の足音がうるさい」と思っても我慢するしかありません。
もし我慢できないレベルであれば管理会社に連絡するか、自分が最上階の物件に引っ越すしかありません。

