家賃3万円で一人暮らしはやばい?3.5万円のアパートに4年住んでみた

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家賃3万円は全国の賃貸物件の中でも格安の家賃帯です。

収入が不安定な人や毎月の固定費を極限まで抑えたい人にとっては理想的な家賃ですが、家賃3万円のアパートを選ぶのはどんなリスクがあるのか気になるところ。

今回は家賃3万円で一人暮らしするのはやばいのか、実際に学生時代4年間3.5万円の家賃で一人暮らしした経験を踏まえて紹介していきます。

家賃3万円で一人暮らしはやばい?

結論から言えば家賃3万円で一人暮らしすることは可能なものの、好立地な東京都心周辺では相場よりもかなり安い価格帯であるため、やばい物件が多いことは事実です。

全国宅地建物取引業協会連合会が2018年にまとめられた「一人暮らしに関する意識調査」によれば20代(18歳~29歳)の一人暮らし男性の家賃平均は5.68万円、女性は5.67万円となっています。

家賃男性割合女性割合
2万円未満2.1%6.3%
2万円台6.4%3.9%
3万円台17.6%9.2%
4万円台17.6%18.8%
5万円台16.6%19.8%
6万円台17.1%20.8%
7万円台9.6%10.6%
8万円台5.3%4.8%
9万円台2.1%1.9%
10万円台5.3%3.9%

男性は家賃3万円~6万円、女性は4万円~7万円台がボリュームゾーンとなっています。

男性の場合はセキュリティなどこだわらない傾向があるため『住めれば良い』という条件のもと探せば3万円台でも問題なく住むことが可能です。

ただし、家賃帯は住む地域によっても大きく異なります。

都内から少し離れた場所であれば家賃3万円台のアパートも見つけることができますが、都内だと探すのも一苦労です。

ただし、東京都内に絞ったデータでは平均家賃は約8.1万円となっています。

関東地方家賃平均
東京81,001円
千葉57,421円
埼玉59,358円
神奈川68,100円
群馬42,601円
栃木44,953円
茨城45,231円
山梨42,592円
参考:総務省統計局

僕の場合は東京から約1時間ほど離れた埼玉県の物件に約4年間ほど住んでいました。

それを踏まえた上で家賃3万円台のデメリットについて紹介していきます。

壁が薄い物件がほとんど

家賃3万円は全国的に見ても最低額の価格帯です。

基本的には木造や軽量鉄骨造のアパートに住むことになるため、壁が薄いのが難点として挙げられます。

基本的にアパートと呼ばれる部類の建物は壁が薄く、基本的な生活音はほとんどすべて聞こえてしまいます。

4年間木造アパートに住んでいましたが、洗濯機の回す音や上階のトイレを流す音、隣人のテレビの音も小さく聞こえてきていました。

木造や軽量鉄骨造でも静かで快適に過ごせる物件はありますが、それは隣人が静かにしているおかげです。

建設コストの安さを重視しているアパートは防音対策にも限度があるため、住んでから後悔するリスクも高くなってしまいます。

住民の民度が低い傾向がある

家賃が低くなればなるほど入居審査に通過できる幅も増えるため、相対的に建物全体の民度が低くなる傾向があります。

家賃3万円台の物件は『大学生』『フリーター』『外国人』『夜職』『生活保護』など一般的に審査に通りにくい人でも受け入れてくれることが多いです。

つまり、危ない人や常識がなく、夜中でも騒いでしまうようなタイプの人が隣人となってしまうリスクがあるわけです。

僕が家賃3.5万円の物件に住んでいた時は、生活音に対して何度も壁ドンをしてくる隣人となってしまい、かなりストレスを感じました。

また、僕自身も学生で常識に欠けていたこともあり、夜中に騒いでしまったこともあります。

このように家賃が安いと隣人トラブルに巻き込まれる可能性も高くなる傾向があるわけです。

外観や内装が古い物件が多い

家賃の安い物件は資産価値が下がっている築年数の古い物件となっている傾向があります。

外観や内装が古くなっているだけならまだしも、設備も交換されていなかったり、コストのかかる設備自体がついていないことも珍しくありません。

『エアコンなし』『浴室なし』『和室』など部屋の内装も妥協する必要が出てきます。

虫やゴキブリが出やすい

築年数の古い物件は虫やゴキブリが出やすい傾向があるため、虫嫌いの人にとってはストレスを感じることが多くなります。

オウチーノが568名に対して行った「住居内の「虫トラブル」実態調査」がこちら。

築年数ゴキブリクモ
1年~5年1.43回7.36回4.25回
6年~10年1.87回9.43回6.45回
11年~20年3.23回12.96回5.46回
21年以上13.91回13.91回8.48回
参考:住居内の「虫トラブル」実態調査

築年数が古くなるほど虫出現率が高くなることは調査でも証明されています。

家賃3.5万円の物件では4年間で2回ほどゴキブリを見かけました。これでも少ないほうだと思います。

また、築48年の物件に住んだ時はクモの出現率が高く、その他名前もわからないような虫が週に1度は発生してしまいました。

部屋自体がかなり狭い

都内の物件は家賃3.5万円以下だと10㎡~15㎡の物件がメインとなっているため、限られたスペースしか使うことができません。

東京23区内の物件物件数
家賃3.5万円以下277件
10㎡以上232件
15㎡以上103件
20㎡以上28件
25㎡以上4軒
参考:HOME`S(2023年12月のデータ)

厚生労働省が定める「住生活基本計画における居住面積水準」によると、一人暮らし(単身者)の最低限必要とされる部屋の面積は25㎡。

家賃3万円では基準値よりも10㎡以上狭いことになります。

キッチンはもちろん、部屋自体も4畳半程度しかないため、帰って寝るだけ生活以外だとかなりストレスが溜まりそうです。

立地が悪い

相場よりも家賃が格段に安い場合は、周辺環境が悪く、住み心地が悪いことも多いので注意が必要です。

  • 駅からかなり遠い
  • ローカル線
  • 周辺に便利な施設が何もない
  • 坂が多い
  • 墓地が近い
  • 暴力団事務所が近い

大学生であれば学校までの距離さえ近ければそれほど問題になりませんが、社会人で駅から遠いと通勤に苦労します。

物件によっては『バス○○分』と記載されていることもあるため、徒歩で駅まで行くのが困難となっている場合もあります。

事故物件のリスクがある

事故物件は通常家賃の半額程度まで金額が下がるため、相場よりも極端に低い家賃の物件には注意が必要です。

2021年5月に国土交通省が「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取り扱いについて」というガイドラインを発表したことで「3年未満は借主に伝える義務がある」と定義されました。

家賃6万円の物件でも事故物件となれば家賃3万円で借りることができるため、『告知事項あり』の記述を見落とさないように注意しましょう。

おとり物件のリスクも高い

家賃3万円という安さなのに部屋がキレイだったり、好条件となっている物件はおとり物件のリスクがあります。

おとり物件とは、存在しない好条件の物件やすでに成約済みの物件を掲載し続け、店舗に招いてほかの自社物件を勧める手法です。

公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会の調査では掲載物件の約12.2%がおとり広告と認められ、43店舗中15店舗でおとり広告が使用されていることがわかっています。

家賃3万円という安さは魅力的ですが、その分おとり物件に騙されるリスクも高くなるというわけです。

家賃3万円だとどんな部屋に住める?

東京23区内の家賃3.5万円以内で調べたところ、『礼金なし』『徒歩10分圏内』という物件はそこまで少なくありませんでした。

一方、『セキュリティ』『バストイレ別』の件数はほとんどないため、期待しないほうが良さそうです。

東京23区内の物件物件数割合
家賃3.5万円以下277件100%
礼金なし157件56.7%
敷金なし82件29.6%
2階以上200件75.8%
徒歩10分圏内210件75.8%
室内洗濯機置き場24件8.7%
築浅物件1件0.4%
バス・トイレ別13件4.3%
エアコンあり116件41.9%
オートロック6件2.2%
参考:HOME`S(2023年12月のデータ)

家賃3万円以内で探すなら基本的にはユニットバス、もしくはシャワーなしで築年数が古めのアパートになります。

洗濯機置き場は基本的に外となり、エアコンなし物件も多いので暑さ・寒さ対策が必要になります。

利便性の高い駅だと『風呂なしアパート』『和室』となるため、妥協できないと住み続けるのはきつそうです。

セキュリティにも期待することができませんが、2階以上でも家賃3万円で見つけることはできます。

女性で家賃3万円の一人暮らしだとリスクがある

防犯性を少しでも意識するなら女性の一人暮らしで家賃3万円はおすすめできません。

家賃3万円以下の物件には『オートロック』『防犯カメラ』『管理人常駐』といったセキュリティの高い設備は一切ありません。

セキュリティなしでも気にならない人も多いものの、いざ何か遭ってからでは遅いので住む上では一定のリスクがあります。

アパートは特に狙われやすく、侵入しやすい構造となっているので住むなら戸締りは確実に行いましょう。

種類1位2位3位
共同住宅(3階建以下)無締り
(51.5%)
ガラス破り
(18.0%)
合鍵
(11.8%)
共同住宅(4階以上)無締り
(40.6%)
合鍵
(23.5%)
ガラス破り
(11.3%)
警視庁:令和4年(侵入窃盗の侵入手口)

侵入経路の第1位は無締りが原因です。

木造アパートに住んでいた際に鍵穴に接着剤を仕込まれて、鍵が使い物にならなくなったことがあります。

道路からすぐに入ってこれるアパートでは小学生などがいたずらでこういったことやピンポンダッシュをすることもあるので敷地に入ってすぐのお部屋は特に注意が必要です。

また、洗濯機が外にあるタイプに住んだ時は彼女の下着が盗まれたこともありました。

放置してしまうとこのような被害に遭うこともあるため、通常の物件より用心が必要になります。

家賃3万円の理想手取りは15.7万円以上

務省統計局の『令和4年 単身者の家計調査』によれば、1ヶ月あたりに社会人がかかる家賃を除いた生活費は約12.7万円ほど。

家賃3万円を含めると1ヶ月あたり15.7万円が世間的な平均値となります。

家賃30,000円
光熱費13,098円
食費39,069円
日用品費5,487円
衣類・履物購入費5,047円
医療費7,384円
スマホ・ネット代7,008円
交通費3,823円
娯楽サービス費17,993円
交際費13,831円
諸雑費14,236円
合計156,976円

手取り月収が15.7万円以上なら赤字になることはありません。

15.7万円以下だったとしてもある程度節約すれば毎月の費用は抑えることが可能です。

例えば食費の平均は3.9万円となっていますが、自炊中心の生活なら月1.5万円程度まで抑えることができます。(実体験済)

あくまで目安となりますが、15.7万円未満なら少し節約する必要があることを意識しておきましょう。

入居審査は年収108万円以上なら通る

入居審査の基準は家賃×36ヶ月分が目安と言われています。

家賃3万円の場合は108万円以上あれば『家賃支払い能力あり』と判断されるため、基本的には審査を通過することができます。

年収が基準値未満だからといって絶対に審査に落ちるわけではありません。

全体を見れば『家賃5万円未満』は全体より審査通過率は低くなっていますが、これはフリーターやフリーランスなど収入が安定していない人も審査対象としているためです。

家賃入居審査通過率
5万円未満77.7%
5~6万円83.9%
7~8万円84.7%
9~10万円82.5%
11~12万円80.8%
13万円以上77.4%
参照:民間賃貸住宅市場における入居審査と家賃滞納

基準値付近の年収であれば約8割は通るので問題ありません。

家賃3万円台で理想的な部屋を見つける方法

家賃3万円ぐらいの物件に住みたいなら部屋探しも工夫をする必要があります。

シェアハウスで探す

『東京都内に住みたい』『家賃は安くしたい』のであればシェアハウスがおすすめです。

ドミトリーと個室の違い

シェアハウスは都内でも3万円~5万円ほどの家賃で住むことができ、部屋タイプによっては各住人の個室が完備されているので意外とプライバシー面も考慮されています。

また、住人が複数人いるため不審者から狙われにくく、犯罪被害に遭いにくいので女性の一人暮らしにもおすすめできます。

『女性専用シェアハウス』『小規模シェアハウス』などピンポイントで探すことができるので、帰って寝るだけでも良いならシェアハウスがおすすめです。

定期借家物件を中心に探す

定期借家物件は家賃や初期費用が安い代わりに一定期間しか住むことのできない、比較的貸主に有利な契約方法です。

家賃3万円という安さで探すなら定期借家物件も選択肢の1つです。

通常の賃貸物件よりはるかにキレイで好条件なお部屋が多いため、一時的に住む場所が欲しい人や長く住み続ける予定でないならおすすめ。

普通借家契約定期借家契約
契約期間原則2年大家が自由に設定
契約更新できる原則できない
更新料賃料1ヶ月分+保険料賃料1ヶ月分~初期費用分
中途解約料原則無料残存期間の賃料
解約通知(大家)原則できない1年~6カ月前
解約通知(借主)退去1ヶ月前原則できない

当サイトで定期借家に住んだ人にアンケート調査を行ったところ、おすすめできると回答したのは全体の約7割となっています。

大学近くの物件を探す

大学や専門学校近くは学生向けの物件が多くなるため、比較的家賃の安い物件も多く選びやすい傾向があります。

実際僕が最初に一人暮らしした物件も大学近くの家賃3.5万円のアパートでした。

学生が初めて一人暮らしするため、家賃の安いワンルームに需要があるため、物件の選択肢も多くなります。

ただ、隣人が学生になる可能性があり、常識がないため夜中まで騒いでいたり宅飲みをしてしまうといった騒音リスクもあります。

ロフト付き物件を視野に入れる

ロフト付き物件

ある程度の広さを求めるならロフト付き物件がおすすめです。

ロフト付き物件は限られた専有面積を最大限利用して建築されています。

もともと6畳程度の部屋でもロフトを付けることで+3畳分確保できるので単純に部屋を広くすることができます。

通常家賃の設定というのはその地域の相場と部屋の面積をかけて算出することが一般的ですが、ロフト付き物件の場合は3畳分確保できたとしても建築基準法によれば高さが満たないため【居室】として認めらず、専有面積としてカウントされません。

このおかげで同じ広さの部屋でもロフト付き物件のほうが安くなるわけです。

まとめ

  • 家賃3万円の一人暮らしの問題点は民度の悪さ
  • 都内だとアパートしか選択肢がないためセキュリティに不安がある
  • 立地の良さを選ぶと風呂なしアパートになってしまいやすい
  • 家賃3万円は『ユニットバス』『礼金なし』『木造』が多い
  • ある程度の内装を求めるならシェアハウスも選択肢の1つ

地方なら家賃3万円でも十分暮らしていけるだけの選択肢がありますが、東京都内で探すとなるとかなり妥協した部屋探しが必要となります。

古さはもちろん、設備自体も整っていないので住み心地と利便性どっちを優先するかも大切です。

ここまで安くしたいなら一定期間シェアハウスに住むといった選択肢も現実的です。