一人暮らしをする時にホームズやスーモ等の大手不動産サイトを使って探すのが一般的ですが、物件の設備や家賃しか見ておらず契約形態まで確認していない人のほうが多いと思います。
部屋探しをしていると相場に比べて家賃の安い物件の中には定期借家契約という通常の契約とは違った物件も存在するので、今回は定期借家の物件はやめたほうがいいのかメリットとデメリット、評判についてわかりやすくまとめてみました!
目次
定期借家契約とは?
まず、賃貸契約においては通常の普通借家契約と定期借家契約の大きく分けて2つのパターンが存在します。
普通借家 | 定期借家 | |
---|---|---|
契約期間 | 2年程度 | 大家が自由に設定 |
契約更新 | できる | 原則できない |
更新料 | 賃料1ヶ月分程度 | 初期費用分(再契約) |
中途解約料 | 無料 | 残存期間の賃料 |
普通借家契約と言えば最も馴染みのある契約形態で、契約期間は2年程度を設けて契約が行われて、例え契約更新の手続きをしなくても法律によって合法的に自動的に契約を更新する(法定更新)ことが可能です。
基本的には借主が希望する年数ならずっと住み続けることができるため貸主よりも借主のほうが何かと法律的に守られている契約形態と言えます。
一方、定期借家契約というのは1年や2年等の年数が決められていて貸主の都合によって契約期間が終了したら再契約することができないようにできてしまう貸主に有利な契約方法です。
例えば住んでいて「この物件住み心地最高だからずっと住み続けたい」と思っていても大家が契約更新を拒否すれば退去する必要が出てきます。
もちろん大家と借り手に合意があれば契約を更新して延長することは可能ですが、基本的には期間限定で住むための物件です。
わかりやすい例で言えばウィークリーマンションやマンスリーマンション等の短期的に貸し出している物件というのは定期借家契約となっています。
「3か月だけ」といったような限定的な貸し出し期間を設けて短期的に回しているわけです。
契約期間中に大家から追い出されることはある?
貸主側に有利な契約形態ですが、定期借家契約だからといって大家が勝手に契約期間途中で借主を追い出すことは原則できません。
これが可能なのであればいつ追い出されるかわからない状態になってしまいますし、契約そのものが意味を成しませんからね。
定期借家契約では、貸主からの中途解約はできないことになっている。一方で、借主からは中途解約の特約がなければ、借主からも中途解約はできなのが原則だ。
出典:Homes press
急に追い出されたりすることはないので安心してください。
ただし、大家側にやむを得ない事情がある場合は立ち退きを要求されることがあります。やむを得ない事情とは「急にその物件を売らなければならなくなった」等の切羽詰まった状態なのでほぼありません。
立ち退きを依頼された場合は立ち退き料として賃料数か月分の金銭が支払われます。金額次第では要求に応じるのもありかと思います。
定期借家物件がやめたほうがいいと言われるデメリット
まずは「定期借家はやめたほうがいい」と言われるデメリットの部分についてまとめてみました。
ずっと住み続けることができない
定期借家は期間が決められている賃貸物件なので、自分の都合で長期的に住むということができません。
引っ越した当初は「半年で勤務先が変わるから問題ない」と定期借家を借りたとしても、住んでいる間に自分の状況が変わったり思っている以上に住み心地が良くて引っ越す気がなくなったとしても契約期間が満了すれば引っ越さなければなりません。
引っ越し代って退去費用はもちろん、荷物の引っ越す代だったり新しく借りる部屋の初期費用も合わせてかかってしまうのでいくら家賃が安くてもトータルで考えると高くなってしまうこともあります。
賃貸に出している持ち家の定期借家期間が来年で終わる。
管理会社経由で、よろしければ再契約しないかと打診して、年末に返事がもらえることに。
再契約なると良いな☺️
(普通借家にしておけば良かったな…。当時は売る選択肢が欲しくて定期借家にしたんだけども。)— かわうそ君 (@lgbtmansion) October 7, 2020
もっとも契約を終了させるかどうかは貸主都合によって決めることができるので、引き続き住んでも問題ない場合は例外的に再契約できる可能性は少なからずあるようです。
契約期間の途中で解約することができない
定期借家契約の落とし穴の1つとして良く挙げられるのは原則として途中で契約を解約することができないという点です。
例えば1年間の契約で住んだはいいけど3か月ぐらいでその物件がどうしても嫌になったとしましょう。
通常ならここでそのまま引っ越すこともできますが、定期借家契約の場合は契約期間途中で引っ越してしまうと原則残りの家賃分相当を支払う羽目になることがあります。
もし中途解約するとなると、賃貸借の残存期間の賃料相当額を賃貸人に支払って退去するか、賃貸人との合意で解約するしかない。合意の場合でも賃借人は一定額の違約金的性格の解約金を賃貸人に支払うことが多い。
参照:不動産流通推進センター
これは契約内容によって変わるので一概に途中解約がNGとはなりませんが、賃料2か月分だったり違約金が思っている以上に高かったりするので借りる際に一番確認すべきポイントでもあります。
住んでみないとどんな感じなのかわからないのに一定期間は住まないといけないというのは多大なリスクですからね。
一応入居者からの解約が解約が認められるものとして「やむを得ない事情」というものがあります。
床面積が200㎡未満の居住用建物の定期借家契約において、賃借人にその建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったやむを得ない事情があるときは、賃借人の契約解除申し入れの日から1ヶ月後に、定期借家契約を終了できる。
— 宅建覚え書き (@1925_1096) October 20, 2021
非常に曖昧な定義なので例を挙げてみます。
【解約が認められる例】
【例1】:急な転勤が決まり、遠くに引っ越さなければならない
【例2】:病気を患ってしまい、住み続けることができない
【例3】:親の介護が必要となるため実家に帰らなければならない
やむを得ない事情というのは簡単に言えば「住んでいて予測できない事態」に陥った場合です。
単純に家賃が払えなくなった程度だと認められませんが、会社が倒産したとかの問題であれば合意解約になるケースが多いようです。
再契約する場合新たに初期費用が必要になることも
大家との合意があれば定期借家でも契約期間が終わっても住み続けることはできますが、その場合契約の更新ではなく新たな契約を結ぶ”再契約”となります。
通常、契約更新であれば賃料1か月分程度の更新料で済みますが、再契約となると契約時にかかる礼金や仲介手数料等のお金がかかる可能性があります。
定期借家契約を更新していくというのは、言い換えればその都度新規契約を結ぶということですので、厳密には前回の契約時に支払った初期費用がそのままそっくりかかります。
参照:暮らしファイ
退去するわけではないので敷金を上乗せ支払いする可能性は低いでしょうし、大家によっては「更新料と同じ金額で良い」と仲介手数料等はなくしてもらえる可能性もありますが、更新料よりも高くなる可能性があるというということです。
また、再契約の場合は契約内容の変更をされることも多々あります。定期借家で多いのが家賃の変更ですね。
家賃を5,000円ほど上乗せした状態で新たに再契約なんてことになることも。
入居途中で家賃交渉などが行えない
知らない人も多いと思いますが、通常の賃貸契約は入居途中であっても賃料の交渉をしたり、設備を新しくてもらうための交渉をすることができます。
これは契約上借主が強い立場にあり、特約がない場合はいつでも退去することができるため大家としても住み続けてもらうために交渉を受ける必要性があるためです。
一方定期借家契約の場合は貸主の権利が強いため、家賃交渉や設備交渉などは原則として行えません。
仮に「家賃を下げてくれないなら退去する」と言っても、契約期間内の家賃は払わなければならないため交渉に応じる必要がないためです。
定期借家物件を借りるメリット
相場よりも家賃が安い
定期借家物件の一番良いところは相場よりも家賃が格段に安くなっていることにあります。
間取りや設備にもよりますが、一人暮らし用物件で同じ設備でも5,000円~1万円ほど差があるほどです。
1年では6万円~12万円ほどの差になるので安く部屋を借りたい人にとっては狙い目の物件とも言えます。
もちろんマンスリーマンション等は定期借家でも短期プランなので家賃自体はかなり高いですが、通常の定期借家はかなり安くなっているのでおすすめ。
設備がある程度整っていることが多い
定期借家物件はもともと大家が持ち家として購入した物件だったり、長期的な不在によって貸し出しているケースがあるため生活する上で快適な設備だったり通常の賃貸では使われていないような床の素材だったり、壁が少し厚くて防音性が高かったと設備的に優れている傾向があります。
安くて良い物件はたいてい定期借家と言われるぐらいなので期間限定でも快適に過ごすことができます。
内装がある程度綺麗なことが多い
定期借家は通常の賃貸よりも入居者の入れ替わりが激しくなります。
退去すればハウスクリーニングが入ったり壊れている箇所や劣化している部分を修繕することが多く、スパンが短く定期的に修繕やクリーニングを行っている定期借家は比較的綺麗であることが多いです。
通常の賃貸物件であっても綺麗にするのは当たり前ですが、入居者がいる間は修繕作業ができなかったり期間が立ち過ぎて修繕不可能になってしまうこともあるので意外と汚かったりします。
定期借家の評判
相場よりちょっと安い物件情報を見ると
定期借家が多いのよねぇ。たった2年で引越が必要になるって、
そのたびに引越代がかかるしかなり急だと思うのだけど
結構需要があるのだろうか。— 弥生ことゆき (@KotoyukiYayoi) July 26, 2021
定期借家の制度自体は悪くないし2年ぴったりくらいで住み替える人にとっては良い物件を安く借りられるからお得なんだけど、定期借家3ヶ月とか害悪でしかないし、そういう物件を扱っている不動産屋は基本的に信用しなくてよい。
— ウワッフィ- (@uwafii) November 1, 2013
定期借家契約って途中で引越しできないのか!!!!!!
あと1年半引っ越せないのか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!— 🟢きおきお (@kiokio_coc) April 27, 2020
定期借家契約は途中で解約は可能だけど随時転居の可能性がある人には向いてないね。逆に学生とか決まった期間確実に居住することが確定している人には向いている。また、「更新」の概念が無いので注意。期間が過ぎたら「再契約」になる。
— ぼんじん(猫おじさん介護中) (@Bonezine) March 9, 2013
調べてみる限りはあまり良い評判というのはほとんどありません。
考えてみれば普通借家契約は借主を守るためにあるような契約形態に対して定期借家契約は言うなれば大家側にとって都合の良い契約ですからね。
同じ条件ならやめておいたほうがいいのは間違いありませんが、定期借家は家賃がかなり安いのでそれを踏まえると一概に定期借家が悪いとは言い切れない部分でもあります。
まとめ
- 定期借家物件は契約期間が決められていて自分の都合で更新することができない
- 定期借家は相場よりも家賃が格段に安いのが最大の魅力
- 最大の問題点は契約途中で解約が原則できないこと(残存期間による違約金がかかる)
定期借家は貸主有利な契約形態です。
基本的に避けるべき物件の1つとなりますが、転勤がないような社会人だったり契約満了とともに引っ越しても問題ないと思える腰の軽さがあるなら問題ありません。
- 次の引っ越し時期が明確な人(絶対に引っ越す人)
- 契約期間満了まで引っ越すことがない人(転勤がある人は向かない)
- 一時的に部屋を借りたい場合
学生とか退去する時期は決まっているので良いかもしれませんね。
一方、転勤が多い社会人や転職する可能性のある人、1つの場所にずっと住み続けたい性格の人には不向きな契約形態なのでやめておいたほうがいいです。
【定期借家半年】とか【定期借家3か月】などの短い契約はいくら家賃が安くても引っ越し代や初期費用を考えると総合的に高くなってしまうのでやめておいたほうがいいです。
せめて1年以上の契約じゃないともろもろを考えたときに損をする可能性が高いです。
条件の良い物件を効率的に探す方法
定期借家契約の物件は家賃が安いので条件で絞り込んでいると「通常の物件がほとんど見つからない」ということになってしまいます。
「家賃を安くしたい」「短期的に住む予定」であれば好条件の物件なので悪くはないとは思いますが、家賃が安いとすぐに契約が決まってしまうのでスーモやホームズで探すのは効率的ではありません。
家にいながら新着物件の情報を早く掴みたいのであればイエプラというサイトがおすすめです。
イエプラはチャットで自分の条件等をスタッフに伝えることで条件に合う物件を紹介してもらうことができるアプリですが、細かい相談も対面もせずに自分の気が向いた時に使用できるアプリなので部屋探し系としては使い勝手がかなり良いです。
物件数がスーモやホームズと同等の約500万件に加えて、新着物件の情報を店舗で探してもらうときと同じスピード感で得ることができます。
他の不動産で条件に合う物件が見つからなくてもイエプラなら見つかる可能性が高いので部屋探しに難航している人に向いています。
無料で使えるものなので定期借家に限らず部屋探しの際に興味があれば使ってみてください。
