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賃貸物件には『楽器不可』『楽器相談可』『楽器不可』など楽器に関する規約が必ず設けられています。
遮音性の低い物件の場合はたいてい楽器不可と記載がありますが、演奏がダメなのか持ち込み自体もダメなのか、楽器の括りについての詳細は明記されていません。
今回は楽器不可のアパートやマンションってどこまでがダメなのか、内緒で弾いていてバレてしまうとどうなるのかについてまとめてみました!
目次
楽器不可物件は騒音トラブルを防ぐためのもの
アパートならまだしも鉄骨造のマンションや防音性が高いと言われている鉄筋コンクリートマンションでも楽器不可となっている物件は珍しくありません。
楽器不可と表記しているのは大家側が騒音トラブルで隣人ともめごとになってしまうのをあらかじめ防ぐためのものです。
近隣トラブルで一番多いのが音に関する問題です。
うるさいと感じるかどうかは人によって違いますが、ある程度の基準値というのは平成10年に公布された環境省の告示によって定められています。
昼間 (6:00~22:00) | 夜間 (22:00~6:00) | |
---|---|---|
音の大きさ | 55デシベル~ | 45デシベル~ |
昼間の場合は車の音や通行人の喋り声等が含まれていたり、生活的基準により55dBまでそこまで気にならないと言われています。
逆に夜間の場合は環境音もほとんどなく静かな状態となっているため45dB以上の音が出ているとうるさいと感じるようです。
夜中なのに騒いでいるとか楽器の音がうるさくて日常生活に支障をきたしているなどの苦情はどうしても多くなってしまいます。
楽器不可ってのは、もちろん近隣との騒音トラブルを防止するためです。 近隣トラブルでもっとも多くて厄介なのは騒音です。
参照:https://realestate.yahoo.co.jp/knowledge/chiebukuro/detail/12151941272/
だからこそ楽器不可とすることで少しでも騒音トラブルの種を防ごうとしているわけです。
防音性が高いと言われている鉄筋コンクリートマンションでも楽器不可となっているのはもしもトラブルになったら嫌だから。もしくは過去にトラブルになったので楽器不可としている物件も多いです。
アパートやマンションの持ち込みだけならOK
楽器不可物件は楽器を演奏することが許可されていない物件ですが、持ち込みだけなら可能。
例えば「隣人が楽器を担いでいるところを見た」というタレコミを管理会社に伝えたとしてもそれで退去命令があったり注意されることはありません。
楽器不可は演奏するのが隣人トラブルに繋がるからダメなのであって部屋への持ち込みまで制限できるほどの効力はありません。
楽器不可ってどこまでダメなの?
楽器不可と一概に言っても何がダメで何が大丈夫なのか具体的な楽器名が書かれているわけではないので非常に曖昧な部分です。
楽器不可として含まれるものについてまとめてみました。
- ギター
- ベース
- ドラム
- アコースティックギター
- ウクレレ
- 三味線
- ピアノ
- 電子ピアノ
- エレクトーン
- 木琴
- 鉄琴
- カスタネット
- タンバリン
- バイオリン
- サックス
例として挙げてみましたが、要は「音が出る楽器」を弾く行為が原則全て不可ということになります。
「ヘッドフォンをすれば大丈夫なんじゃないの?」と疑問も多いですが、ヘッドフォンを使っていても叩く音、生音が出てしまうためNGとされることが多いようです。
ただこれはあくまで「契約上」の話です。
弾いているから即トラブルになったりすることは実際の生活においてはほとんどありません。
迷惑にならない演奏時間ならお咎めなしということも少なくありません。
持ち込みされやすい「ギター」「ベース」「キーボード」がどの程度の騒音になるのか、なぜダメなのかを調べてみました。
エレキギターやアコギ
エレキギターはアンプに繋がなければそれほど大きな音が出ることはありませんが、生音でも木造アパートであれば隣人に聞こえる可能性があります。
楽器に関するコラム記事を掲載しているカナデルームが実際に計測したギターの音量はこちら。
楽器 | 平均音量 (dB) | 最大音量 (dB) |
---|---|---|
アコースティック・ギター | 77.5 | 93.2 |
エレキ・ギター(生音) | 68.8 | 72.4 |
エレキ・ギター(アンプあり) | 85 | 91.2 |
アンプを使わないエレキギターでも70dB前後の音が出ているので木造アパートなら壁による透過率を考えても騒音に値する大きさとなります。
木造アパートの壁なら隣室へは約30dBほどとなります。
昼間なら苦情を入れられる可能性は低いものの、夜中に弾いていれば音は聞こえるため苦情を入れられてしまう可能性があります。
アコギの場合はギター内部の空洞によって音を反響させているのでより大きな音が出るため、実際に弾くことを考えれば絶対にNGな楽器ですね。
ベース
騒音計測器を用いて実際のベースの生音を測定してみました。
楽器 | 平均音量 (dB) | 最大音量 (dB) |
---|---|---|
ベース(指弾き) | 約50.0 | 約55.0 |
ベース(スラップ) | 約70.0 | 約82.0 |
ベースはアンプを通すと約120dBほどの大きな音がでますが、生音の場合はそこまで音が大きくなることはありません。
生音で指弾きの場合だと50~55dB前後を推移しているので、壁の防音性を考えると夜中でもうるさいと感じるほど隣人には聞こえません。
木造アパートでも隣室に聞こえる音の大きさは10~15dBほど。
周辺環境の音や部屋内部の空調、換気扇の音にかき消されるレベルの小ささとなります。
ただし、スラップなどの打撃音は衝撃音で80db以上の大きな音になってしまうため、隣室にも大きく聞こえてしまいます。
僕もベースをやっていましたが、生音でスラップをしないのであれば隣人に伝わることはほとんどないので楽器不可でもバレることはありません。
ただしベースは約40Hz~400Hzと重低音となるため音が外に漏れやすい性質があります。
アンプを繋いだりすれば確実に騒音トラブルの原因になるので注意。
電子ピアノ(キーボード)
東京環境局が調査したピアノの騒音がこちら。
楽器 | 平均音量 (dB) | 最大音量 (dB) |
---|---|---|
ピアノ | 80.0 | 90.0 |
エレクトーン(電子) | 77.0 | 86.0 |
電子ピアノは約80dbほどの騒音となっているので普通に弾いた場合はほぼ確実に隣りの部屋まで音は響いてしまいます。
ヘッドフォンをして対策できそうですが、鍵盤をたたく微妙な音やペダルを踏む時の音で下の階だったり木造アパートなら普通にその音は漏れてしまいます。
鉄筋コンクリートマンションなら防音性が高いので鍵盤をたたく音は聞こえませんが、上下の音は意外と聞こえやすいのでペダル音は聞こえてしまうでしょう。
実際にヘッドフォンで電子ピアノを弾いていたら隣人から苦情はこなかったものの、下の階から「うるさい」と言われたことがある人もいます。
防音マットやコルクマットなど対策をしないトラブルになる確率は高いでしょう。
楽器不可物件で楽器を弾いてるのがバレたらどうなる?
楽器不可物件で隠れて弾いていた場合、契約違反ということになるので追い出される可能性は少なからずあります。
といっても、実際に大家が現在住んでいる人を無理やり追い出すことは実質不可能です。
これは家賃を滞納した場合の例を見てみるとわかりやすいと思いますが、例え1ヶ月家賃を滞納しようとも追い出されることはありません。
日本では貸主よりも借主のほうが法律的に守られているので住んでいる人を追い出すためには膨大な労力がかかってしまいます。
強制退去に持ち込むためには裁判をしなければならず、労力やコストがかかるので最終手段のレベルです。
楽器を弾いているのがばれてしまった場合に最も多いのが管理会社からの厳重注意です。
「楽器不可なので今後はやめてくださいね」と言われる程度で、最初から「出ていってください」と言われることはまずありません。
ただ、その後何度も繰り返して他の住人に迷惑をかけていた場合は最終的に追い出される可能性はあるので注意が必要です。
木造アパートで楽器を弾いてしまった話
初めての一人暮らしで学生時代は軽音部に所属していたこともあって僕もギターやベースを弾いてしまっていました。
初めてだったこともあり、そもそも楽器不可かすらどうかすら調べていませんでしたが、学生が多かったので同じ部の人も住んでいて普通に部屋で練習していました。
上の階にはアコースティックギターを昼間に弾いているお姉さんもいたので割と緩い感じでしたがもちろんトラブルはありました。
アンプを繋いだら壁ドンされた
ライブをするにあたって部屋で練習をしていたら何度か壁ドンされたことがあります。
もともとベースはアンプを繋がないと音がほとんど聞こえないので問題はなかったんですけど、アンプを繋いで練習したせいで壁ドンされたという印象。
考えてみればアンプを使用すれば音量を絞っても100db近くは平気で出てしまいます。
それに加えて衝撃の波が大きい低音のベースとなるので確実に隣人には聞こえてしまうというわけです。
こう考えると木造アパートはもちろん、防音性の高いマンションでも楽器不可ならアンプの使用は厳禁ですね。
音はどの程度聞こえる?
壁の遮音性能では「D値」という値で示されます。
例えば50dbの音を鳴らしたとして壁の遮音性能がD-50だった場合は透過損失が50ということになるので隣の部屋に聞こえる音は0dbです。
D値が大きければ大きいほど遮音性能は高いということです。
構造 | 遮音性能 |
---|---|
木造 | D-30以下 |
軽量鉄骨造 | D-30~35程度 |
重量鉄骨造 | D-40程度 |
RC造 | D-50程度 |
壁に使われる緩衝材によって遮音性能は変化しますが、内壁にコンクリートが使われているRC造の遮音性能は高いです。
木造アパートだとエレキギターを弾いた生音は透過損失を計算しても隣人に40db程度は聞こえてしまうというわけです。
上の階のお姉さんは昼間にアコギを弾いていましたが、窓を閉めていても演奏しているのがはっきりと聞こえるレベルでした。
個人的には音色が好きだったのでそれでイライラしたりすることはありませんでしたが、どんな曲なのかわかってしまうぐらいには聞こえるということです。
楽器を部屋で弾くときの注意点
楽器不可物件では弾くことが禁止されているので、隣人の迷惑になるリスクを考えるとやはりおすすめできません。
ただし、どうしても練習したい場合や楽器可物件で隣人に迷惑かけない程度に弾きたい場合の対処法について紹介していきます。
なるべくヘッドフォンを使用する
ギターやベース、電子ピアノを弾くのであればヘッドフォンは必須です。アンプを持っているならそこにヘッドフォンの端子を刺せばアンプから出す音を聞きながら練習することができます。
逆に言えばアンプを繋いでそのまま演奏するのは苦情の可能性が高くなるのでNGです。
僕の友人はエレキギターを爆音で演奏していて隣人から直接文句を言われたそうで、それ以来隣人に目を付けられるようになってしまったのだとか。
もちろん生音で苦情がこないこと前提です。
防音マット等を使用する
音を少しでも外に漏らさないためにはある程度防音対策も必要になってきます。
先ほどもあげたようにキーボードのペダルを踏む音とかは防音マット、コルクマット等で対策できます。
下の階への防音対策をしっかりとしたいのであれば『防音マット』などが効果的です。
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8枚セット | 16,500円(税込) |
壁に関しても家具をなるべく置くようにするだけでも音が吸収されるので響きにくくなります。
アコースティックギターならホール部分にスポンジを挟んだりして響くのを少し防ぐことができます。
弾く楽器によって防音対策は異なりますが少しでも音が外に漏れないような対策はすべきです。
夜中は演奏を控える
だいたい20時以降は人が家にいる時間帯です。
この時間に演奏をすると隣人が帰ってきている可能性が高いのでそのまま苦情を入れられる可能性が高くなります。
逆に昼間の場合は出かけている可能性が高いので音が漏れていたとしてもいなければ問題はありません。
また深夜とか朝方の演奏は絶対にやめてください。人が起きている時間ならもし音が漏れてしまっていたとしても「演奏しているな」ぐらいにか感じませんが深夜や朝方は「睡眠妨害された」と感じるのでかなりイライラします。
イライラした状態なら苦情に発展しやすくなってしまうので弾く時間は考えるべき。
隣人の楽器音がうるさい場合の対処法
逆に隣人のギター音やキーボード音がうるさいと感じているなら管理会社に連絡してしまうのが一番の正攻法です。
壁ドンをしたり直接苦情を入れたとしても逆恨みされたりケンカに発展する可能性もあるのでリスクが高いです。
音で対抗するという方法もありますがこれも同じようにかえって相手を逆なでするだけなので状況が変わることはありません。
管理会社に連絡して注意してもらうのが安全かつ穏便に済ませられます。
管理会社は「○○号室から苦情が入っています」という言い方はしないので身元がバレるという心配もありません。
それでも一向に改善しないようであれば警察に連絡して注意してもらうのも手。隣人トラブルは民事不介入ですが通報されると警察は動く必要があるので注意程度ならしてもらえます。
まとめ
- 楽器不可物件で弾くのはNGだが持ち込み等はOK
- 楽器不可としているのは隣人トラブルを防ぐため
- 隠れて楽器を弾いてるのがバレても追い出されることはないが、注意はされる
- 何度もやっていると退去命令が出ることもある
- 木造アパートはちょっとした音でも隣人まで聞こえてしまっている
- 電子ピアノはペダル音で下の階から苦情がくる可能性もある
隣人トラブルにさえならなければ、常識の範囲で黙認されるのが普通です。
ただし、楽器のほとんどは小さな音で弾いたとしても隣人にまで聞こえてしまうレベルのdb数となっているので注意が必要です。
- 楽器を使うときは窓を閉める
- 深夜に弾かない
- 朝方に弾かない
- 音量は最小限にしてヘッドフォンを使う
こういった注意をしておけば、楽器が禁止されていたとしても問題ないでしょう。
基本的には規約違反行為となるので、できればスタジオやカラオケ等の迷惑にならない場所で練習するのがトラブルにならずに済みます。