ALC造とRC造の違いを徹底比較!鉄筋コンクリートより防音性は低い?

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RC造と非常によく似た見た目をしているALC造という物件も存在します。

どちらも同じコンクリートを使っているわけですが、防音性はもちろん性能や特性、家賃帯は全く異なります。

今回はALC造とRC造の違いについて項目ごとに比較してみたいので「ALC造ってどうなのかな?」と不安に感じている人や「家賃が安いからALCでもいいのでは?」と思っている方は参考にしてみてください!

ALC造とRC造の違いとは?

AL造とRC造は同じコンクリートですが、細かい性能は大きく違います。

違いALCRC
構造軽量・重量鉄骨造鉄筋コンクリート造
家賃安い~普通高い
重さ0.45~0.552.30~2.45
遮音性低い高い
耐震性やや低い高い
耐火性かなり高いかなり高い
熱伝導率0.171.6
耐用年数19年~34年47年

RC造は鉄筋コンクリート造のことで、分類としてはマンションになります。

【RC造(PC板)】

鉄筋コンクリートにはその場でコンクリートを造るものから、工場で型を製造し、現場まで持っていくPC板(プレキャストコンクリート板)などがあります。

RC造は鉄筋によって補強されたコンクリートです。

鉄筋は引っ張りに強い性質がありますが、その反面錆びやすかったり、高温で変形しやすいという欠点があります。

コンクリートは逆に引っ張りに弱いですが耐火性には強いため組み合わせることにより、互いの弱点をカバーし合っています。

賃貸物件で使用される構造の中ではかなり優れています。

一方、ALCは正確には構造ではなく使用される素材のことで、主に使われる構造は鉄骨造(S造)のアパートです。

【ALC素材】

PC板(プレキャストコンクリート)と同じように工場で生産されているものをALCパネルと呼びます。

コンクリートの中に気泡が多く含まれているため非常に軽いのが特徴です。

賃貸サイトでも「ALC造」と記載をよく見かけますが、ALCパネルが使用されている鉄骨造の物件のことを指しているので注意してください。

ALCパネルは「JIS A 5416軽量気泡コンクリートパネル」という基準があり、日本ではALC協会に入っている企業しか使用されていません。

ALCを使用している企業
  • 旭化成建材株式会社(へーベル)
  • クリオン株式会社
  • 住友金属鉱山シポレックス株式会社

日本での使用が許可されているのが現時点では3社のみ。

最も有名なハウスメーカーは旭化成ホームズの『へーベルメゾン』となっています。

床の防音性能の違い

床の防音性能はL値によって推定値が定められており、高ければ高いほど音が聞こえやすくなります。

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これは日本建築学会が調査した建物の遮音性と等級の関係性です。

遮音等級建物構造音の聞こえ方
L-35 日常生活で気になるような音はほぼ聞こえない
L-40鉄筋鉄骨コンクリート造防音性が高く外からの音も軽減される
L-45 子供の泣き声や走り回る音は多少聞こえる
L-50鉄筋コンクリート造子供の泣き声や走り回る音は聞こえる
L-55 洗濯機や掃除機は少し聞こえるが気にならない
L-60重量鉄骨造
ALC造
足音やドアの開閉音など振動を伴う音が聞こえる
L-65軽量鉄骨造
ALC造
多少音量は軽減されるが生活音はほぼ聞こえる
L-70 生活音はほとんど筒抜け
L-75木造生活音は筒抜けで小さな音まで聞こえる

RC造はL-50相当であるのに対して、ALC造は軽量鉄骨造~重量鉄骨造の間となるためL-65~60ほどです。

ALC造の遮音等級をL-60としたときにRC造と足音の聞こえ方の違いを見ていきます。

音には足音等の重量衝撃音とスプーン等軽いものを落とした時の軽量衝撃音があります。

足音である重量衝撃音は31.5Hz~125Hzの周波数に分布しています。

L値に関わらず足音のような低音ほど音は吸収しきれずに下の階まで響きやすく、逆に高音ほど衝撃を吸収しやすい性質があります。

音の種類音の大きさRC造
(L-50)
ALC造
(L-60)
大人の足音45dBかすかに聞こえる聞こえる
子供の走る音65dB聞こえる大きく聞こえる

RC造では大人の足音ならわずかに聞こえる程度で済みますが、ALC造の場合は衝撃が吸収しきれないため上階の人が今歩いているかどうかがわかってしまいます。

子供の足音はALC造ではうるさく感じる可能性が高いです。

界壁(隣室との壁)の防音性能の違い

基本的には鉄筋コンクリート造であるRC造のほうがALC造よりも防音性能は高いです。

構造壁の厚さD値
ALC
(軽量気泡コンクリート)
75mm~150mm40~45程度
鉄筋コンクリート造120mm~180mm45~60

RC造はもともと壁の厚さも最低120mm以上という規定がありますが、近年では150mm以上が一般的なので厚くなりやすい上に密度が高いので防音性は高くなります。

RC壁はコンクリートの厚さによって単純な遮音性能を図ることができます。

遮音性能コンクリートの厚さ
D-55180mm
D-50150mm
D-45120mm
D-40100mm

最近の住宅では内壁に少なくともD-50以上はあるということです。

ALCは構造が【軽量鉄骨造】と【重量鉄骨造】の2種類があり、それによって厚さの目安も異なりますが、軽量鉄骨造のほうが多いです。

防音性は質量則というものが大きく影響していて、材料の面密度(1㎡当たりの質量)が大きいほど、 音響透過損失(遮音性能)が大きくなるという法則があります。

簡単に言えば重いものほど防音性は高いという法則です。

構造質量比重
1.0
鉄筋コンクリート2.3~2.45
ALC(気泡コン)0.45~0.55

水を基準とするとコンクリート(鉄筋コンクリート)は密度が2倍以上あるもに対してALCは2分の1しかありません。

具体的な数値として示されているD値というのは遮音してくれるdb(デシベル数)のことで、例えばD-40の壁に50dbの音がぶつかると、隣に聞こえる音は50-40=10dbとなります。

軽量鉄骨ALC壁をD-40、RC造をD-50としたときの日常的な音の聞こえ方を数値として比較してみます。

音の種類ALC造RC造
ドアの開閉音35dB25dB
子供の走る音25dB15dB
掃除機30dB20dB
洗濯機の音30dB20dB
テレビ(中)20dB10dB
いびき(大)40dB30dB
大人の足音5dB0dB
話し声20dB10dB
笑い声40dB30dB

一般的には20デシベル以下であればほとんど聞こえないレベルとなります。

RC造だと生活音はほとんど聞こえませんが、ALC造の場合はある程度の音は聞こえてしまいます。

同じコンクリート素材でもこのように大きな差が出るので2つの素材が似て非なるものということです。

内壁に使われる素材の違い

ALC造にもRC造にも言えることですが、コンクリートが外壁に使われているからと言って必ずしも内壁にも同様に使われるとは限りません。

使われる素材や構造によって違います。

構造界壁の種類D値
ALC①ALC壁45程度
ALC②鉄骨系施工40~45
RC造①打ちっぱなし50
RC造②乾式壁45~50
RC造③GL工法45~50

ALCはもともと鉄骨造に対して使用される施工方法となるので主な内壁は2種類です。

【ALC造①:軽量気泡コンクリートを使った壁】

ALC造の界壁

内壁に気泡コンを使ったもので、石膏ボードがない場合は75mm程度の厚さになってしまいますが、これでは防音性がかなり低いため一般的には石膏ボードも合わせて使用します。

石膏ボードの厚さ12.5×2と接着剤分の厚さを加味すると120mm~150mm程度となり、防音性能も40~45dB前後になることが多いです。

ALC部分の厚さによって遮音性能が大きく異なるのであくまで目安となります。

【ALC造②:鉄骨系施工】

こちらは軽量鉄骨でよく使われる内壁となります。

内側の鉄骨を覆うように石膏ボードが組み合わさっており、グラスウールには吸音性や断熱性があります。

こちらも同様に40~45dB前後カットされることが多いですが、厚さや施工方法によっては木造と同じ40dB以下になってしまうことも。

【乾式壁】

こちらは内壁にコンクリートを使わない施工方法となります。

コンクリートを使っていないからといって必ずしも防音性が低くなるとは限りませんが、施工コストを下げることでコンクリートなのに薄い内壁が出来上がる可能性もあります。

【GL工法】

GL工法はGLボンドと呼ばれる接着剤を用いた工法で、コンクリートが使用されているため基本遮音性は高いものの、太鼓現象と呼ばれる振動が周りに伝わっていく現象が起こってしまうのが難点。

【コンクリート壁】

コンクリートがむき出しになっている内壁で、素人目でもある程度の防音性能を一目で確認できるわかりやすい工法です。

コンクリート打ちっぱなし物件の場合は石膏ボードを使わず表面をざらざらを均一に慣らす工程が入ります。

コンクリートのみで厚さ120mm以上が確保されているので下手な小細工ができず、平均して高い防音性を誇ります。

外壁の防音性能の違い

RC造とALC造は外壁の厚さにも違いがあります。

構造外壁の厚さD値
ALC
(軽量気泡コンクリート)
100mm~150mm40~45
鉄筋コンクリート造120mm~180mm50前後

外壁の遮音性能という論文によるデータによれば、RC造の外壁(120mm)でも遮音性能はD-50程度、ALC外壁の遮音性能はD-40~45程度となっています。

RC造は打ち込みコンクリートに対して、ALCは 「外装材+断熱材+内装材」からなるパネル化された中空二重壁 が使用されるのが一般的です。

高い値であるALC造D-45とRC造D-50でそれぞれどの程度騒音を遮音できるのか比較してみます。

音の種類ALC造RC造
普通車の走行音15dB10dB
クラクション65dB60dB
トラックの走行音35dB30dB
バイクの音35dB30dB
救急車のサイレン45~75dB40~70dB
電車の音45dB50dB
踏切の音25dB20dB

外壁も同様にRC造のほうが遮音性能は上ですが、実際には外壁の遮音性能が高くてもあまり意味はありません。

外からくる騒音が内部まで聞こえる原因のほとんどは窓にあります。

いくら外壁の遮音性能が高くても窓が薄くて騒音が聞こえてきてしまっては意味がないため、RC造もALC造もそれほど外壁を気にする必要はないということです。

窓の素材や厚さが直接的に騒音に影響するので、大通りや線路沿いに住むなら窓の厚さを確認するようにしましょう。

家賃相場の違い

防音性の高さ等を考えるとALCを使った物件よりもRC造のほうが家賃も高くなる傾向があります。

実際にホームズを使って山手線内にある同じような条件の物件でそれぞれ家賃を比較してみました。

種類家賃専有面積立地築年数
ALC(鉄骨造)13.6万円29.2㎡恵比寿5分新築
RC造17.0万円29.2㎡恵比寿2分7年
ALC(鉄骨造)10.2万円25.3㎡駒込6分新築
RC造13.5万円25.5㎡駒込3分2年
ALC(鉄骨造)12.8万円26.9㎡代々木3分3年
RC造13.1万円22.3㎡代々木6分新築
ALC(鉄骨造)9.3万円29.4㎡高田馬場4分5年
RC造11.5万円26.7㎡高田馬場4分5年

RC造の平均家賃は13.8万円に対してALC造は11.5万円となるため、ALC造のほうが2.3万円ほど安いです。

全く同じとは行きませんが、実際に調べてみてもALC造のほうが圧倒的に家賃は安い傾向があります。

鉄骨造なので当たり前と言われれば当たり前ですが、RC造の場合は防音性の高さに加えてオートロックであることも大きな要因の1つとなっています。

ALC造は結局のところ鉄骨造なのでオートロックとしている物件はほとんどなく、2階建てや高くても3階建て程度となっています。

耐用年数の違い

建物ごとに耐用年数というのは異なります。

耐用年数というのは税務の計算に用いられるものでRC造は鉄筋コンクリート造となるのでわかりやすいですが、ALC壁は「鉄骨造」となるので少し複雑です。

構造耐用年数
木造22年
軽量鉄骨造
(ALC)
19年~27年
重量鉄骨造
(ALC)
34年
RC造47年

RC造は47年となりますが、ALC壁は軽量鉄骨造である19年~重量鉄骨造である34年という幅広いものになっています。

これだけみるとRC造のほうが上に感じるものの、ALC壁だけに絞ると実質的な寿命は60年と言われているためRC壁よりも上となります。

寿命が低いものほど劣化が激しく、見た目はもちろん性能も劣化していってしまいます。

定期的なメンテナンスが入っているのであればややALCが優位ですが、RC造もALCも長い寿命なので住む上ではあまり気にするレベルではありません。

熱伝導率の違い

熱伝導率は外気の影響の受けやすさに直結します。

普通のコンクリートに比べてALCの熱伝導率は約10分の1ほどとなっているため、ALC造のほうが外気の影響を受けずに快適に過ごすことができます。

構造熱伝導率
(W/m・K)
ALC(気泡コン)0.17
木造住宅・木造アパート0.12
鉄骨造55
コンクリート1.6
参考:ALC協会

コンクリート自体に断熱性能はなく、性質上暖まりにくく冷めやすい性質も関係しています。

鉄筋コンクリートマンションは冬場の寒さの影響をもろに受けるため、夏場はともかく冬場の室内はとても寒くなってしまいます。

一般的な住宅に断熱材を入れないことはないため、通常の鉄筋コンクリートなら問題ありませんが『コンクリート打ちっぱなし』物件では注意が必要です。

家賃を抑えて防音性の高い物件に住む方法

理想を言えばRC造を選ぶのが防音性が高いので住み心地も良いのは間違いありませんが、その分家賃が高くなってしまうのも事実です。

比較的家賃を抑えてなおかつ防音性の高い物件を選ぶとなると探し方にも一工夫必要になってきます。

戸数の少ない物件を探す

生活音が響くかどうかは防音性が影響しますが、そもそも隣人がいなければ木造だろうと軽量鉄骨だろうと生活音が響くことはないので快適に過ごすことができます。

通常の賃貸物件は101号室~105号室といった具合に部屋が複数存在しますが、探してみると101号室~102号室までといった部屋数の少ない物件もあります。

戸建てのような見た目で隣の部屋がないような物件も存在するので、こういった部屋数の少ない物件に着目して探してみると隣人の騒音を一切考えずに生活することができます。

角部屋を選ぶ

隣人がうるさくするかどうかは実際に住んでみないとわかりませんが、角部屋であれば騒音リスクを2分の1に軽減することができます。

中部屋だと両隣りの生活音が聞こえてしまったり、逆に自分が少しでもうるさくしていると苦情が入る可能性が高いですが、角部屋であれば隣人1人のリスクだけで済みます。

また、角部屋は隣人が引っ越し等で空き室になったときに生活音を気にせず快適に過ごすことができる点。

上からの音に関しては我慢するしかありませんが、リスクを少しでも減らしたいなら角部屋は絶対に譲れない条件です。

オートロックのないRC造を選ぶ

「どうしてもRC造に住みたい」「でも家賃は抑えたい」というのであればオートロックやエレベーターのない低層の鉄筋コンクリートマンションを選ぶようにしましょう。

鉄筋コンクリートは確かに家賃が高いですが、それは付随する「オートロック付き」「エレベーター完備」という条件が複合的に合わさっているためです。

オートロックがなくてもALCよりは家賃は高くなりますが、通常のRC造よりも家賃や管理費を抑えて防音性が高い物件に住むことができるのでおすすめです。

細かい条件でも探せる不動産サイトを使う

基本的に部屋探しでは店舗で直接探してもらうか、スーモやホームズのほうが大手ポータルサイトを利用して自分で探すかの2択です。

店舗で探してもらう場合は新鮮度の高い物件を紹介してもらえるものの物件数自体が少なく、ネットでの部屋探しはその逆で物件数が多い反面情報が古くて成約済みとなってしまっていることが多いです。

防音性が高くてなおかつ家賃も手ごろな部屋を探したいのであればイエプラがおすすめです。

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例えば「RC造がいいけどオートロックや防犯カメラ、管理人は別にいらない」と思ってもスーモやホームズでは探すことができません。

イエプラの場合はこういったピンポイントな物件を探すことに長けていて、細かい条件で家賃を抑えつつ防音性重視で探すことができます。

また、店舗と同じような新鮮度の高い物件を自動で探してもらえるので手間がかからず効率的です。

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まとめ

MEMO
  • ALCの構造は基本的に「鉄骨造」なので防音性はイマイチ
  • RC造のほうがはるかに防音性は高いが家賃もその分高い
  • RC造はオートロックや管理人、防犯カメラ等が付随していることが多い
  • 防音性を取るならRC造、家賃の手ごろさと最低限の遮音性を取るならALC造がおすすめ

ALC造はRC造に似ていますが、防音性も違えば家賃価格帯も違うものなので「コンクリートを使っているのに安いからねらい目」とは思わないように注意しましょう。

似ている見た目とは裏腹に全くの別物なので、防音性を期待してALCを選ぶと後悔することになります。

防音性を優先したいならRC造ですが、ALCも防音性は木造や軽量鉄骨造よりは高いのでバランスを取るならALCとなります。

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