部屋探しをしていて良い条件の物件を見つけたのに問い合わせていざ店舗に行ってみたら「ちょうど埋まってしまいました」と言われたことはありませんか?
いわゆるおとり物件や釣り物件というもので、見抜けなかったせいで無駄に時間や労力を費やすことも珍しくありません。
ということで今回はおとり物件に引っかからないための見分け方について細かくまとめてみたので参考にしてみてください。
おとり物件は2種類ある
一言でおとり物件と言っても悪意のあるものとそうでないものがあります。結局どっちも利用者側からすればおとり物件であることは間違いないんですけど、これを知っておくと部屋探しの仕方が変わるかも。
1:物件自体が存在しない好条件の物件
最近では少なくなりましたが、以前はこのやり方が横行していました。
もともと物件自体が存在していなかったり、すでに入居者がいるにもかかわらずネットに掲載しています。
最初から釣ることを目的にしていて「現在空き室です」といって店舗に呼ばせておいて、いざ行ってみると「その物件ちょうど成約してしまいましたー」といって他の物件を紹介させるのが手口です。
相場に比べてかなり賃料が安かったり、住所がちゃんと明記していない物件はこのパターンに該当します。
2:本当に空き室だったけど情報伝達の遅さで成約済みになっている物件
ネットの情報というのはリアルタイムで更新されるわけではなく、更新日が決まっていてその日までに成約済みになった物件でも掲載されています。
例えば問い合わせ段階では本当に空き室で内見できる状態だったとしても、予約をした2日後や3日後にはすでに埋まっているという状態も部屋探しではよく発生します。
これだけなら店舗に行くまでに「すいません。内見予約の物件なんですが、ちょうど成約してしまいました」と電話やメールで伝えてくれれば問題ないんですが、実際はその連絡をせずに店舗まで来させてから成約済みを伝える不動産が非常に多いのが問題。
僕もこれで地域密着型不動産含めて何度かやられました。
こちらでは本当に直前に成約済みになったのか、それともわざと連絡しなかったのか見分けがつかないのでおとり物件かどうか判断ができないところが厄介な点。
おとり物件の見分け方とは?
本当に存在する物件だったとしても存在しない物件だったとしても希望の物件で契約できなければ意味がありません。
具体的にどうやっておとり物件を見分けるのかその特徴をまとめてみました。
家賃が極端に安い
おとり物件はいわゆる客引きの餌です。
条件が悪ければだれも問い合わせてくれないので相場よりも家賃が安くて好条件の物件となっていることがほとんどです。
家賃が安くなっている以外にも「敷金・礼金ゼロ!」となっていたり、駅から近くて立地が良いなどの人気物件となる要素が詰め合わさっていることが多いです。
極端に家賃が安いと感じるようであれば問い合わせの段階で家賃が安い理由についても聞いてみましょう。
他サイトに掲載されている物件情報と異なる
物件情報というのは不動産共有ネットワークのレインズやATBBなどから仲介業者に広告として掲載しているため同じ物件を紹介していることはよくあります。
ただし、同じ物件なのに物件情報が異なる場合は要注意です。
例えばほかの不動産サイトでは家賃8万円となっているにも関わらず、家賃7.5万円となっていたり駅からの距離が1分早くなっていたりすれば明らかに矛盾が生じているのでおとり物件の可能性が高くなります。
ただの記載ミスで家賃を安く表示してしまったり、物件情報を間違って記載している場合もあるので故意であるかどうか見極められないこともよく使われる手法の要因となっています。
更新日が古くていつまでも掲載されている
おとり物件は客寄せ用物件なので長期にわたって掲載されていることが多いです。
誰も契約できないので好条件にもかかわらずいつまでたっても掲載されているようであればおとり物件の可能性が高くなります。
スーモやホームズ等の大手サイトでは更新日という項目があるので更新日を最新のものにして探すように心がけましょう。
3か月以上前に掲載された物件で条件が良いのに残っていることも稀にあるので注意。
こういった物件は「存在していて契約済みだけど掲載を削除するのを忘れていた」という言い訳ができてしまうため一定数存在します。
住所が細かく記載されていない
本当は存在しない物件の場合は住所を細かく記載することができないため市や番地までの記載はあってもマンション名や細かい情報は記載されていません。
明らかな架空物件というのは最近ではあまり見かけない手法ですが、一応検索してみてその物件がまずは存在しているかどうか物件情報をよく見てみましょう。
明らかにおかしな点があるならおとり物件の可能性が高いです。
期日のないキャンペーン物件
僕が以前騙されたおとり物件っぽい手法の1つです。
その不動産は期間限定でキャンペーン物件を掲載していて当時は「初期費用10万円以下」といううたい文句で掲載していました。
初期費用の安さと条件の良さに惹かれてネットで「内見したい」と問い合わせて内見の予約をしました。
当日、店舗に行ってその物件について確認すると「キャンペーン終わってしまったんですよ」と言われて正規の初期費用額になってしまっていました。
物件自体は存在するもののキャンペーン自体がなくなってしまったので結局やめました。
このキャンペーンはいつからいつまでという記載が一切なかったので騙されてしまったわけですが、こういったキャンペーンを餌にして紹介しているケースもあるので注意してください。
現地集合不可
おとり物件は店舗に来させて他の物件を紹介させる手法です。
そのため現地集合となると他の物件を紹介することができないので基本的に一度店舗に行き車等での希望の物件まで送ってもらうという形になっています。
逆に言えば現地集合可物件はそのまま内見できる可能性が高いですし、おとり物件をつかまされる確率はかなり低くなっています。
「一度店舗にお越しいただいて・・・」としつこく言ってくるような不動産の場合は注意してください。会社の方針として店舗に来させようとしているだけにしてもおとり物件だとしてもこっちにしてみれば時間の無駄です。
店舗に行くことで無駄に足止めをされるので5分で終わる内見が1時間以上時間を無駄にする羽目になります。
定期借家契約
定期借家契約というのは1年や2年等の年数が決められていて貸主の都合によって契約期間が終了したら再契約することができないようにできてしまう貸主に有利な契約方法です。
普通借家 | 定期借家 | |
---|---|---|
契約期間 | 2年程度 | 自由に設定 |
契約更新 | できる | 原則できない |
更新料 | 賃料1ヶ月分程度 | 初期費用分(再契約) |
中途解約料 | 無料 | 残存期間の賃料 |
定期借家は契約期間が2年とは限らなかったり貸主都合で契約の解除ができてしまいます。
定期借家物件は通常の賃貸物件よりも家賃が安く設備もそれなりに充実しているので餌として都合が良く、実際に店舗に来させたあとで定期借家のデメリットを伝えて他の物件を紹介するという手口がよくつかわれています。
これ自体はおとり物件ではありませんが、他にも定期借家を呼び込み口として「大家の都合でちょうど契約できなくなった」という言い訳を作ることができるのでおとり物件まがいなことをされます。

おとり物件をつかまされないための方法
おとり物件かどうか見分けるだけでも大変ですが、実際におとり物件をつかまされにくくなる方法は存在します。
いくつか紹介していきます。
内見の現地集合可能か聞いてみる
おとり物件への一番の対策は”現地集合が可能かどうか”を聞くことです。
現地集合可能ならその物件は本当に存在していて、なおかつ内見することができるのでおとり物件ではありません。
おとり物件の場合はすでに成約済みや架空の物件となるため必ず一度店舗へ来るように言われます。
店舗に訪問させて何かと理由をつけて自社の利益率の高い物件を紹介するという流れになるので現地集合可能かどうかで簡単に判断することができます。
仮におとり物件じゃなかったとしても現地集合は利用者にメリットが大きいので損はありません。

更新日が最新になっているか確認する
おとり物件かどうか気になったら更新日が最新のものになっているか、掲載日が最近かどうかをチェックしてみましょう。
好条件の物件は掲載されると同時に埋まってしまうぐらい需要が高いのでいつまでも売れ残っていることはまずありません。
2週間以上前から掲載されていたり、いつ見ても残っているような物件はおとり物件や成約済み物件と考えましょう。
実店舗を持たない不動産を利用する
現地集合するのと同じ理論で実店舗をほとんど持たないような不動産を利用するのもおすすめです。
エイブルやアパマンショップ、ミニミニなど大手不動産は必ず実店舗を持っているので会社都合で現地集合ではなく店舗待ち合わせにすることができますが、実店舗を持たない不動産の場合は必ず現地集合となります。
つまり実店舗を持たない不動産=おとり物件が存在しないようなもの。
最近ではネットで契約まで完結できるようなサービスを提供している不動産は増えているのでそういった業者を利用するほうが効率的です。
実店舗を持たない不動産としておすすめなのはイエプラです。
項目 | イエプラ |
---|---|
おとり物件 | 0件 |
対応 | 関東・関西 |
仲介手数料 | 基本賃料1か月 |
内見 | 現地集合可 |
利用料 | 無料 |
物件数 | 約500万件 |
魅力 | 業者専用サイトが見れる |
ちょっと前にFacebookで有名になった部屋探しサイト。
普通のサイトとは異なり、条件を設定しておくと新着物件を半自動的に紹介してくれるサービスを提供していて、おとり物件はほぼ存在しません。
チャット機能がついていて、細かい条件を伝えることができたり、ホームズやスーモで探して気になる物件を見つけたときにURLを送るだけで簡単に空室確認ができたりと非常に使い勝手が良くておすすめです。
おとり物件なのかURLを送ってチェックするという使い方もできます。
取り扱い物件数も約500万件とスーモやホームズに匹敵する数字なので自分の条件に合った物件を見つけやすいというのも魅力。
ちなみに自分で部屋探しがしたい場合はチャット上で「ATBBが見たい」と伝えると通常業者しか見れない不動産サイトを無料で閲覧して探すことができてしまうという裏技もあります。

おとり物件が少ないサイト3選
おとり物件がないサイト、少ないサイトというのは存在します。
スーモやホームズもおとり物件対策をしていますがやはり掲載されてしまっているので効率的に部屋探しをするのにはあまり向きません。
UR賃貸住宅
項目 | UR賃貸住宅 |
---|---|
おとり物件 | 0件 |
対応 | 全国 |
仲介手数料 | 無料 |
内見 | 現地集合可 |
利用料 | 無料 |
物件数 | 約72万戸 |
魅力 | 無駄な費用が一切かからない |
UR賃貸住宅は通常の賃貸不動産と違い民間ではなく都市再生機構という独立行政法人が管理している賃貸住宅です。
簡単に言えば国が管理し、所有している物件のことです。
団地のような集合住宅しか取り扱っていませんが、行政運営なので無駄なオプション代や初期費用が一切かからないのが利点。
また、間取りも広いのであまり一人暮らし向けではありませんが防音性がかなり高く退去費も安いと評判。

ビレッジハウス
項目 | ビレッジハウス |
---|---|
おとり物件 | 0件 |
対応 | 全国 |
仲介手数料 | 無料 |
内見 | 現地集合可 |
利用料 | 無料 |
物件数 | 約1,000物件・10万室 |
魅力 | 家賃・初期費用が安い |
ビレッジハウスは他の不動産と異なり、雇用促進住宅を一括借り上げすることで家賃の圧倒的な安さを生み出しています。
雇用促進住宅というのは、かつて勤労者のために建設された政府が管理していた物件。だからこそ普通の物件よりも家賃が安いという特徴があります。
家賃の平均は25,000円ほどで、しかも間取りは2DK~3DKのものが多く存在します。
敷金・礼金・仲介手数料・更新料等の諸経費はすべて無料でしかも家賃も安くてリノベーション物件となっているのでかなり安い。
UR賃貸住宅と似ている点も多いですが、ビレッジハウスは民間が運営している不動産サイトとなっています。

イエッティ
項目 | イエッティ |
---|---|
おとり物件 | 0件 |
対応 | 東京/神奈川 |
仲介手数料 | 半額 |
内見 | 現地集合可 |
利用料 | 無料 |
物件数 | 約500万件 |
魅力 | 仲介手数料が安い |
イエッティは部屋を自分で探すのではなく探してもらう不動産サイトです。
システム的にもほぼ同じで、同じような使い方ができますがイエッティの場合は仲介手数料半額というのが一番の強みです。
例えばアパマンショップが扱っている物件なんかだと通常は賃料1か月分の仲介手数料がかかりますが、この物件をそのままイエッティで紹介してもられば半額にしてもらうことが可能です。
自動的に初期費用が安くなるというのは一人暮らしする人にとってはかなりの魅力ですね。ちなみに僕も1度イエッティで紹介してもらって契約したことがあります。
ただ、イエッティの場合は自分で部屋探しができず、URLの持ち込みは可能だけど基本的には待ち姿勢になるという欠点があります。
また、対応エリアが東京と神奈川しかないので利用できる人は限られています。

まとめ
- おとり物件は店舗に来させて利益率の高いほかの物件を紹介するのが目的
- 大手不動産やポータルサイトでもおとり物件は蔓延している
- おとり物件かどうかを完全に見極めるのは難しい
- おとり物件かどうかわからなかったら現地集合可かどうか聞いてみるのがおすすめ
- 実店舗を持たない不動産はおとり物件を扱うことができない
おとり物件は昔からよくある不動産屋の手口ですが、本当におとり物件なのか記載ミスをしているだけなのか情報が遅くて掲載を削除できていないのかこちらで見極めることは不可能です。
ただしおとり物件の場合は必ず店舗に来店させないといけないので現地集合できるような物件であれば問題なし。
物件を問い合わせるときは同時に現地集合できるかどうかを聞きましょう。
少しでも参考になれば幸いです。
