分譲と聞くと賃貸ではなく物件売買のイメージが強いですが「分譲賃貸」という一人暮らしやカップル用の物件も存在します。
かくいう僕も分譲賃貸を借りてからあまりの居心地の良さに4年以上住み続けています。
ただ中には「分譲賃貸はやめたほうがいい」という声もあるので今回は分譲賃貸はどういうものなのか、借りるメリットとデメリットも合わせて紹介していきます!
目次
分譲賃貸マンションと通常物件の違い
分譲賃貸マンションは、簡単に言えば分譲マンションとして購入したオーナーが何らかの事情により自分が住むのではなく、賃貸として貸し出している物件のことです。
そもそも分譲というのは土地の一部分を分け与える、つまり販売するということです。
例えば、マンションを例にすると101号室、102号室、103号室・・・とあってその1部屋ごとに分割して販売しています。
これが分譲マンションというやつです。
分譲マンションは家賃の支払いではなく「購入する」ことで住むことができるため、同時に人に貸し与えたり、売却することも可能です。
賃貸分譲マンションというのはこれの賃貸版です。
普通の賃貸マンションとの違いはもともとの目的が販売することにあったのか、賃貸(貸与える)ことにあったのかによって違うというわけです。
ちなみに分譲マンションを購入後、賃貸として人に貸し与えてるパターンも「分譲賃貸」となります。
分譲賃貸の特徴
分譲賃貸はずっと住むことを前提として建設されているためコスト重視で建設された賃貸物件よりもグレードが高いと言われています。
- 賃貸物件よりも壁が厚い
- 良い床材を使用している
- 設備が整っている
- 窓が通常よりも厚い
通常の賃貸物件なら2年ごと等わりと短期的に入れ替えが発生しますし、何より利益重視となるのでどうしても建設コストを抑えようとしてしまいます。
一方、分譲賃貸の場合は一生住むことを前提としているので家賃の利益よりも長く快適に住み続けられるように建設されます。
結果的に使用される素材が良かったり、壁が厚かったり設備が充実していたりと様々な点で一般的な賃貸物件よりも優れているというわけです。
分譲賃貸に実際に住んでみて感じたトラブルや問題点
たまたま内見した物件が分譲賃貸で4年間住んでみた感想についてまとめてみました。
まずは僕が住んだ分譲賃貸のスペックから。
- 家賃:70,000円
- 共益費:10,000円
- 敷金:1か月
- 礼金:0円
- 築年数:2年
- 建物の構造:鉄筋コンクリート
- 場所:大通りが目の前
- 階数:10階
家賃の高さについて
相場から見ると若干高いぐらいですが、築浅な部分も関係しているので「分譲賃貸だから」かどうかは微妙なところ。それよりも共益費が高いように感じました。
共益費というのは本来共益部分(廊下とか設備)に対して使用されるお金のことです。
僕が住んだマンションの場合は管理人は常駐ではありませんでしたが、毎朝掃除する人がいるので24時間ゴミ出しが可能でした。
ずぼらな性格なのでいつでもゴミを出せるというのは生活していてかなり良かった点ですね。
防音性について
さすが分譲賃貸の鉄筋コンクリート造というだけあって大通りでも窓を閉めれば車の音はほぼ聞こえません。
分譲賃貸の場合、普通の窓よりも厚く作られているため防音性が格段に高いです。また、中部屋にもかかわらず住人の声や洗濯機やトイレ、テレビ等の生活音も全く聞こえてきませんでした。
ただ、唯一の誤算は救急車やパトカーなどの緊急車両の音。
大通りは緊急車両が頻繁に通るので昼夜関係なくサイレンの音が聞こえてきます。たとえ分譲賃貸でも高い音は防ぎきれず、ほぼストレートで部屋内部まで伝わります。
寝れなくなるほどではありませんでしたが、まさか緊急車両がこんな頻繁に、しかも深夜も平気で音を鳴らして走っているとは想定していませんでした。
もし大通りに住もうとしている方は「分譲賃貸だから大丈夫か」と安易に考えない方がいいですね。窓開ければ普通にうるさいですし、窓を開けて寝るとかはできません。
路地裏だったら換気をしつつテレビを観たりしていましたが大通りだと窓を開けてしまえば通常の賃貸と一緒でうるさいです。
それと分譲賃貸だからと言って壁に物をぶつけたり、思い切り飛び跳ねたりすれば音は漏れます。
生活しているとたまにこういった衝撃音は聞こえてくるので防音性が高いと言っても防音室とまではいかないようです。
規約やルールについて
僕が住んだ物件の場合、規約とかはあまりうるさくなく、通常の賃貸物件とほとんど変わりませんでした。
この辺は物件次第みたいです。
特約について特別な記載等もなかったですし、住んでいる上で不安に感じたことはありません。
ただ、分譲賃貸だからかわかりませんが初期費用として自治会費というのが3,000円ほどかかりました。
2年に1度のものなのでそこまで気になりませんでしたが、こういう特別な費用も分譲賃貸ならではなのかもしれません。
トラブルについて
防音性が高いためか通常の物件でよくあるような騒音トラブルに悩まされたことは一度もありませんでした。
トラブルで思いつくのがエアコン設備に少し問題があったことぐらいです。
僕が住んでいた部屋はエアコンが外から少し距離がある位置に設置されていたのでケーブルが少し長めでした。
そのせいか夏場になるとケーブル周辺が温度差によって結露するのでその水滴が漏れ出てきてしまうことが多々ありました。
一応管理会社に言ったところすぐに業者を派遣してもらいましたが、結局設備的な不良なので直せないとのこと。
業者利用に関してお金は一切かかりませんでしたが、デスクとかパソコンの位置、布団の位置とかちゃんと考慮しないといけなったのがちょっと面倒に感じましたね。
普通の鉄筋コンクリート物件と比較してみて
分譲賃貸はやはり設備のグレードが高いです。一番顕著なのは窓の厚みですね。
鉄筋コンクリートマンションはよくある窓という感じですが、分譲賃貸の窓はかなり重みがあり、遮音性、遮熱性が圧倒的に高いように感じました。
防音性に関しては横というより上下が顕著です。鉄筋コンクリート物件でも上下の音は聞こえてしまいますが、分譲賃貸の場合は全くといっていいほど聞こえません。
営業マンによると床の素材も普通の賃貸よりも優れているそうです。
鉄筋コンクリート物件は確かに防音性が高いですが、分譲賃貸よりも劣る部分は多いです。
これに関しては僕の住んでみた感想なので、あくまで参考程度にとどめておいてください。
分譲賃貸はやめた方がいいの?どんなトラブルがある?
賃貸の中で言えば分譲賃貸は非常にトラブルが少ないほうの部類だと思いますが、そんな中でも分譲賃貸ならではの問題もあります。
ネットで分譲賃貸に住んだ人を集めて実際にあったトラブルや問題点についてまとめてみました。
部屋ごとに管理会社が違う場合がある
管理会社に電話したら、
自分たちは共有部分のみだから、
共有部分に張り紙しか出来ないと言われた分譲の賃貸だから部屋ごとに管理会社が違うと
そうかなと思ってたけど、管理組合みたいなのって一つだと思ってた
めんどくさい、、、
電話でお金かかった挙げ句にまた電話しないといけないのか
— シエル (@Etvz5EAb7aMArgq) October 23, 2020
マンション丸ごと借り上げて分譲賃貸として貸し出している場合は管理会社も一括していますが、1部屋ごとに売買しているマンションは当然部屋ごとにオーナーが違います。
そうなると共用部分と部屋の管理は別会社になりますし、トラブルが起こった時に対処までに一括されていない分時間がかかることも多いようです。
管理会社→個人オーナーへの連絡→連絡がつかないってことも。
マンションの規約と部屋の規約が違うことがある
分譲賃貸の場合、マンションの規約で禁止されてるのに持ち主が勝手にペットOKにすることもあるらしく、入念に確認しないとトラブルに巻き込まれかねない…。
— ルルレラ (@rururera) May 30, 2019
管理会社が統一されていない場合、マンション全体で設けている規約と部屋ごとの規約が異なるのでトラブルに発展してしまうというケースもあるようです。
例えばマンションの規約ではペット禁止だけど個人オーナーの設けている規約でペット可にしたり楽器等に関しても同じことが言えます。
統一化されていないことで分かりにくくなっているというわけです。
快適すぎて生活の質を落とせなくなる
今のとこ分譲賃貸の割に安いから何かを犠牲にしないと引っ越せない
— てぃーち (@teech_m) March 21, 2017
分譲賃貸はある意味賃貸の中では最高級グレードのマンションです。
一度でも住んでしまうと防音性だったり、設備の良さだったり綺麗な内装のせいで仮に次引っ越すとすれば今と同等、もしくはそれ以上を求めてしまって生活の質を落とせなくなってしまいます。
家賃が安くて完璧ならまだしも、分譲賃貸はそれなりの家賃だったりするので引っ越したくても引っ越せないジレンマに陥りがちです。
分譲賃貸に住んで感じたデメリット
分譲賃貸のデメリットについて改めてまとめてみました。
- マンション全体としての規約がある
- 家賃や管理費が割高
- 物件数が少ない
- 理不尽なトラブルに巻き込まれる可能性がある
- 定期借家物件になっていることも
1.マンション全体としての規約がある
マンションごとではなく部屋ごとにオーナーが異なるので、規約が少々面倒だったりします。
先ほども紹介したようにマンション全体の規約では「ペット可」でもその部屋のオーナーが規約として「ペット不可」としている場合もあります。
マンション全体としての規約があり、その中に部屋単体としても規約があるのはまさに規約縛りです。
トラブルが起きたときなんかも部屋単体で済めばいいですが、隣人とのもめごとなんかはかなり面倒になることも。オーナーが部屋ごとに違うといざというときに困ることが多いです。
2.家賃や管理費が割高
部屋を借りる側として嫌なのは家賃が高いこと。
これは防音性や防犯面などがしっかりしているだけに、普通のマンションよりも家賃として高く設定しているため。
同じ広さの一般的な賃貸マンションよりも10,000円以上高い気がします。
分譲賃貸いーよ……管理費エグいけど。
— ORIE🐶🐱🐕🐈❤ (@orie_tanu) May 14, 2021
グレードが高い分家賃も上がるのは仕方のないことですが、とにかく安い物件に住みたいという人は不向きな物件です。
3.物件数が少ない
探してみるとわかりますが分譲賃貸として取り扱っている物件数は本当に少ないです。
取扱物件数が1000万件以上ある@nifty不動産で僕が住んでいる周辺を調べてみましたが、2件しかヒットしませんでした。
選択肢が減るという意味ではこれもデメリットです。
ワイも分譲賃貸に住みたいけどそうそう都合良く空いてない
— ポル (@911P_) May 13, 2021
分譲賃貸は人気が高く、掲載されてもすぐに契約に繋がってしまうため検索しても見つけにくいとのことです。
4.理不尽なトラブルに巻き込まれる可能性がある
もともとその部屋を購入した人が、実際に住んでみたら最悪だったため賃貸として人に貸し出している可能性もあります。
持ち主が、騒音等の住民トラブルが原因で住めなくなったため、賃貸にしてる可能性があります。
参照元:知恵袋
稀な例ですが、十分ありえることです。
ただ、1Kなど一人暮らし用の分譲の場合は最初から貸し出す目的で購入している可能性が高いので、あまり不安に考えなくていいかも。
定期借家物件になっていることも
企業が買い取って貸し出しているのであれば初めから賃貸として運用している予定なので問題ありませんが、個人が購入して分譲賃貸として貸し出している場合は注意が必要です。
ちょうど貸主が出張や転勤等で数年間住むことができないので仕方なく貸し出すわけですが、当然出張や転勤期間が終わればまたいずれ自分で住むということになります。
こういう物件のことをリロケーション物件と呼び、通常の賃貸契約ではなく定期借家契約となります。
定期借家というのは契約期間が定められていて途中解約ができなかったり、貸主の都合によって更新できないようになっていることもあります。
どちらかというと貸主に対して優位な契約となるので注意が必要。
分譲賃貸で定期借家契約条件の物件を見かけると、こんな築浅の綺麗なマイホーム、本当は人に貸したくないだろうなーって、転勤族目線で考えてしまう😂
さらに本音を言うとマイホーム持ってるだけで十分羨ましい😇#転勤族の妻#転妻— MIKA🌈 (@MIKA09222435) May 13, 2021
ただ、定期借家は通常の物件よりも賃料がかなり安いので住む期間が決まっているなら個人的にはありだと思います。
たまに分譲賃貸なのに家賃が安いことがありますが、定期借家となっている可能性が高いので契約部分を必ずチェックしましょう。

分譲賃貸マンションに住むメリット
個人的にはデメリットよりもメリットのほうが多いように感じられました。
- 構造がしっかりしていて防音性が高い
- 管理人がいることが多い
- 防犯性や耐震性が優れている
- 設備が整っている
- 常識ある住民が多い
構造がしっかりしていて防音性が高い
分譲賃貸の最大の特徴(メリット)は建物のグレードが普通の物件よりも圧倒的に高いことにあります。
どういった部分でグレードが高いのか例を挙げてみます。
- 防音性が高い
- 良いフローリング素材を使っている
- 窓が厚く、遮音性、遮熱性に優れている
- 湯沸し器、インターホンなどの設備が整っている
もともとが販売目的だっただけに、マンションとしての耐震性が非常に優れており、加えて防犯面や防音性も高いことが多いです。
構造で防音性が高い順に
分譲賃貸
鉄筋鉄骨コンクリート(RC)
鉄筋コンクリート
鉄骨
ハイツ系
木造分譲賃貸なんかはその部屋を買うこと前提で作られるてるので防音性が1番高く間取り図でも壁が厚く書かれています
— 雪華 (@nishikyu_022) February 7, 2021
分譲賃貸マンションのほとんどはRC構造以上(鉄筋コンクリート)の造りになっていて、マンションの部屋の厚さの基準値(150センチ)よりもさらに厚いことが防音性に富んでいる理由です。

例えば大通りや踏切近くの物件でも分譲マンションなら、けた違いに防音性が高いので騒音が気になりません。
正直、僕は大通りに住みたくないですが、先日内見した物件は分譲賃貸で窓の厚さや遮音性に感激しました。そのぐらい違います。
管理人がいることが多い
常駐している管理人がいたり、マンションに侵入できないような環境になっていることも普通のマンションとは違います。
賃貸マンションの場合は「オートロック付き」と書かれているのに、普通に外から入れるレベルの物件がありますからね。
僕の場合は24時間ではありませんが管理人が朝から常駐していて24時間ゴミ出しOKだったり、ライトの交換や虫の排除などを行っていました。
清掃は毎日行われていてマンション自体が清潔に保たれていました。

防犯性や耐震性が優れている
防犯面でも一般的な物件よりも分譲の方がしっかりしています。
普通の物件は最低限のコストしか使わずに建設されるので、少し耐震性に不安を感じることもありますが、分譲なら販売目的なのでしっかりお金をかけて建設されているのも住む人にとってはメリット。
設備が整っている
分譲マンションというのは一生住むことを前提として造られているので賃貸と違って長く住み続けていても居心地が良い環境作りがされています。
共用部分で言えば宅配ボックスが備わっていたり、清掃が定期的に行われていたり、防犯カメラがしっかりと備え付けられていたりするのも分譲賃貸の良さです。
室内だと独立洗面台が備え付けられていたり、給湯器等も新しいものが多いですね。
常識ある住人が多い
分譲として部屋を購入している人がいるため当然年収もそれなりの人が多く住んでいて、賃貸マンションよりも良識がある人が多いという面もあります。
分譲なのに激安な物件はないので、家賃に見合うしっかりした人が住んでいます。
分譲賃貸物件で一人暮らしはできる?
分譲賃貸はむしろ一人暮らし用物件が圧倒的に多いので、単身者にとっては選択肢の1つとして考えて良いでしょう。
物件タイプ | 間取り | 物件数(山手線) |
---|---|---|
一人暮らし | 1R・1K・1DK | 14,234件 |
ルームシェア | 1LDK・2DK・2LDK | 3,448件 |
ファミリー | 3K~ | 371件 |
こうしてみると同棲やルームシェア用の間取りの約4倍強あることがお分かりいただけると思います。
分譲マンションと聞くと広々したイメージがありますが、最近では企業が1棟まるごと買い上げて貸し出すようなこともありますし、単身者からの需要も高いので一人暮らしにちょうど良いサイズの物件が増えています。
ネックになってくるのがやはり家賃の高さなので、社会人である程度資金に余裕がないと生活がきつくなったり、そもそも審査に通らない可能性もあるので注意してください。
防音性第一なら通常のRC造物件より”分譲賃貸の”鉄筋コンクリート物件のほうが優れているのでおすすめ。
効率的に分譲賃貸を探す方法
スーモやホームズで探しても人気なため掲載された時点ですぐ成約されてしまうので分譲賃貸はなるべく早く情報を手に入れることが大事です。
効率的に探すのであればイエプラというサイトがおすすめ。
イエプラは家にいながら部屋を探せるサービスで、スーモやホームズと違い物件情報が常に最新なので条件の良い物件を見つけることができます。
また、チャット欄があるので細かい条件を指定してあとは放置で新着物件を見ることができます。
無料で使えるサービスの割にクオリティが高いのでおすすめです。

まとめ:分譲賃貸は最悪じゃない
- トラブルとして多いのは管理会社がそれぞれ異なる点
- 防音性に関しては賃貸の中ではトップクラス
- 防音性が高いと言っても壁ドンしたり飛び跳ねれば聞こえるレベル
- 家賃の高さが唯一気になる点ではあるが住んだら快適
4年間住んでみた感想としては家賃が個人的に一番の問題点で、その他は最悪というよりも引っ越しできなくなるほど最高で快適だったのでおすすめできます。
トラブルに関してもそこまで多くないですし、むしろ住民トラブルは防音性が高いので少ないです。
ちなみに今回は分譲賃貸マンションとして紹介しましたが、一戸建ての分譲賃貸物件も存在します。
調べたところ、多くはありませんが分譲賃貸アパートというのも存在します。
マンションの規約とか面倒だと感じる方はもしかしたら一戸建て(メゾネットタイプ)の方がいいかもしれません。

