賃貸物件は何年住むと得?平均居住期間から引っ越しタイミングを分析

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賃貸物件の場合、賃貸借契約では2年が一般的となっていて2年ごとに住み替える人もいれば更新をしてまで長期的に住むような人もいます。

賃貸物件に住んでいる限り、得をするということはありませんが、短期的に引っ越しを繰り返すよりも長期的に住んだほうが得であることは間違いありません。

今回は何年ぐらい住むのがベストなのか世間的な平均居住期間や長期的に住むメリットについてまとめてみました!

平均居住期間は2年~4年が最も多い

公共財団法人日本賃貸住宅管理協会のデータによれば、2021年度での全国の平均住居期間は単身者で3年3ヶ月となっています。

居住期間平均全国首都圏関西圏
単身3年3ヶ月3年6ヶ月3年
ファミリー5年1ヶ月5年6ヶ月5年1ヶ月
全体4年1ヶ月4年5ヶ月4年

単身者よりもファミリーのほうが長い期間同じ物件に住む傾向があります。

単身者の3年3ヶ月は半端な数字ですが、これは更新時期である『2年』と『4年』に退去する人が多いため。

前年度である2020年のデータを見てみると学生・社会人ともに2年~4年が最も多くなっています。

学生は『1年~2年』と回答した人が全体の1割程度で『2年~4年』と回答している人は全体の9割前後となっています。

専門学校に行っている人は2年、大学生の場合は4年間一人暮らしとして滞在するために2年~4年の居住期間が最も多くなっています。

単身社会人の場合でも『1年~2年』と回答した人は全体の1割程度にとどまっており、約7割は『2年~4年』と回答しています。

社会人は長期的にその職場で働く人とすぐに辞めてしまったり、給与があがることで引っ越す人も一定数いるので長く住む人と短い期間で引っ越す人がわずかに増えています。

つまり、年齢層が高くなればなるほど居住期間も長くなる傾向が推測されます。

2年や4年での引っ越しが多い理由

2年・4年といった偶数年での引っ越しが最も多くなる理由として賃貸の平均契約期間と更新日が関係しています。

賃貸契約は大きく分けて「普通借家契約」と「定期借家契約」の2つがあります。

普通借家契約定期借家契約
契約期間原則2年大家が自由に設定
契約更新できる原則できない
更新料賃料1ヶ月分+保険料賃料1ヶ月分~初期費用分
中途解約料原則無料残存期間の賃料
解約通知(大家)原則できない1年~6カ月前
解約通知(借主)退去1ヶ月前原則できない

定期借家契約はマンスリープランが多く、全体的な数としては普通借家契約のほうが圧倒的に多いです。

普通借家契約は最も馴染みのある契約形態で、契約期間は2年程度を設けて契約が行われます。

例え契約更新の手続きをしなくても法律によって合法的に自動的に契約を更新する(法定更新)ことが可能です。

ただし2年に1度契約を更新するための更新料が発生するので、更新料+通常の家賃で2カ月分の賃料相当をし払わなければなりません。

更新料が嫌で引っ越しをするという人はかなり多いです。

株式会社タスが調査した賃貸住宅市場レポートによれば月別の更新確率平均は繁忙期の引っ越し時期であっても約43%~44%となっています。

更新によって引っ越しているかどうかまではわかりませんが、更新時期に引っ越す人の割合は約56%~57%。

更新料と契約期間により中央値だと平均居住期間は更新が関係する2年程度が最も多いということになります。

『更新料が嫌』であれば更新時期の2年、もしくは4年のタイミングで引っ越すのが良いでしょう。

何年以上住むと得になる?

賃貸物件に住んでいる限り毎月家賃を支払わなければならないため正確に言えば得することはありませんが、定期的に引っ越すよりは長く住んでいたほうが確実にお得です。

「今住んでいる物件より家賃を下げたら何年住めば得になるのか」については計算することが可能です。

引っ越しにかかるのは現在住んでいる物件の退去費用+新居の初期費用+引っ越し業者依頼費用です。

初期費用の相場は家賃の4か月分~5か月分と言われています。

【家賃を下げて得するまでにかかる期間】

下げる家賃額家賃5万家賃6万家賃7万家賃8万
1,000円25年~28年4カ月~31年8カ月~35年~
5,000円5年~5年7カ月~6年4カ月~7年~
10,000円2年6カ月~2年10カ月~3年2カ月~3年6カ月~
15,000円1年7カ月~1年11カ月2年2カ月~2年4カ月~
20,000円1年3カ月~1年5カ月1年7カ月~1年9カ月~
25,000円1年~1年2カ月1年4カ月~1年5カ月~
30,000円10カ月~1年~1年1か月~1年2カ月~

あくまで相場ですが例えば家賃9万円→家賃8万円の物件に引っ越したとしても、得するには3年6カ月かかります。

今住んでいるところよりも家賃を15,000円程度安くしないと平均居住期間の2年以内に回収(得になる)することはできません。

得するまでにかかる期間は現在の家賃→新居の家賃の差にもよりますが、1,000円~2,000円程度家賃を安くしたところで20年~25年とかなり長く住まないと元が取れないので多少家賃が高くても長く住んだほうが基本的にはお得ということです。

「金銭的にきついから引っ越したい」という理由であれば家賃を今よりかなり安くする必要があります。

初期費用が安ければ得する期間も早い

物件によっては『敷金・礼金無料』や『仲介手数料無料』によって初期費用を大幅に下げることができます。

初期費用を下げることができれば、引っ越しによるコスト削減となるため家賃を下げて得するまでの期間も短くなります。

下げる家賃額費用10万円費用20万円費用30万円
1,000円約8年4か月約16年8カ月約25年
5,000円約1年8ヶ月約3年4カ月約5年
10,000円約10ヶ月約1年8ヶ月約2年6カ月
15,000円約7ヶ月約1年2ヶ月約1年7ヶ月
20,000円約5ヶ月約10ヶ月約1年3ヶ月
25,000円約4ヶ月約8ヶ月約1年
30,000円約3ヶ月約7ヶ月約10ヶ月

初期費用10万円以内はあまり現実的ではありませんが、20万円で抑えることは十分可能です。

初期費用を20万円以内に抑えて家賃を1万円ほど下げることができれば約1年8ヶ月でペイできるため、今すぐ引っ越したほうがお得になります。

長く住むことによるメリット

改めて長く同じ物件に住み続けるメリットについてまとめてみました。

引っ越し費用がかからない

引っ越す場合はかなりの引っ越し費用がかかります。

家賃6万円でも新居の初期費用だけで平均24万円~30万円。それにプラスして引っ越し業者の費用だったり退去費用もかかるので最大40万円近くが一気になくなります。

家賃初期費用引っ越し費用退去費用費用合計額
5万円約20~25万円約5万円約5万円約30~35万円
6万円約24~30万円約5万円約5万円約34~40万円
7万円約28~35万円約5万円約5万円約38~45万円
8万円約32~40万円約5万円約5万円約42~50万円
9万円約36~45万円約5万円約5万円約46~55万円
10万円約40~50万円約5万円約5万円約50~60万円

引っ越さないということは無駄な費用をゼロにすることができるため、住んでいるだけで相対的にはお得になるというわけです。

更新時期に引っ越す人は多いようですが、比較するなら圧倒的に引っ越すよりもそのまま住み続けたほうが金額は安く済みます。

引っ越しの手間が一切かからない

引っ越すのは金銭的負担も大きいですが、手間がかなりかかるのもデメリットです。

現在住んでいる物件の退去連絡や光熱費の解約をしなければなりませんし、引っ越しするために荷造りをしたり引っ越し業者に依頼したり役所に届けを出して住民票を移す必要があります。

学生ならまだしも時間にそれほど余裕のない社会人の場合は大事な休日をすべて引っ越し作業に費やすことになりますし、土日に営業していない役所は有給をわざわざ使う羽目になります。

住み続ければこういった作業が一切不要になるので相対的にメリットが多いです。

周辺環境への理解が深まる

最初は周辺環境に詳しくなくても長く住み続けているとどこに何があるのか把握できるようになりますし、近道や良いお店への理解が深まります。

また、安いスーパーを見つけることで食費を抑えることができたりと地域に詳しくなることができるのが最大のメリットです。

定期的に引っ越しているとこういった情報は積極的に動かないと手に入れることができませんし、精神的にも知らない土地で暮らすよりも住み慣れた土地で暮らしていたほうが安定します。

安くなる退去費用の項目がある

長く住めば住むほど部屋は汚れてしまいますが、部屋の設備には耐用年数というものがあり、国土交通省のガイドラインによれば住み続けていると入居者の負担割合は少なくなります。

設備耐用年数
フローリング考慮されない
壁紙(クロス)6年で1円
畳表考慮されない
畳床6年で1円
カーペットやクッションフロア6年で1円
障子やふすま考慮されない
流し台5年
エアコン6年
インターホン6年
タンスや戸棚8年
便器や洗面台等15年

フローリングやエアコンなど経年劣化の対象にならないものもありますが、長く住み続けることで負担しなくて良い項目が増えるので全体的な負担割合は減ります。

6畳の部屋(クロス代:48,000円)を例に経過年数ごとの支払い費用を一覧にしてみました。

経過年数費用
1年約39,840円
2年約32,160円
3年約24,000円
4年約15,840円
5年約5,740円
6年1円

クロスはこのように減価償却されて価値が下がります。

※減価償却とは建物の価値が年数とともに下がること。クロスや設備の値段も長く住めば済むほど割り引かれる

退去費用を考えると6年以上住み続けたほうがお得になる可能性が高いと言えます。

長く住むことによるデメリット

長く住むこともデメリットはあります。気づかないうちに損をしている可能性すらあるので注意が必要。

自分の部屋だけいつまで経っても家賃が変わらない

長く住むということは住んでいる物件の築年数はだんだん古くなるということ。

一般的には築年数が古くなればなるほど資産価値は下がっていくので賃貸物件も例外なく家賃というのは下がってきます。

2年程度であればそこまで変わりませんが、4年や6年など長い期間住んでいると借りたときよりも家賃が安くなっているのは珍しくありません。

同じ間取りなのに長く住んでいる自分だけほかの部屋より家賃が高いという状態に陥りやすいです。

家賃が下がった場合、自分から交渉を持ち掛けないとそのままの家賃で更新され続けてしまうので気づかないうちに損をする羽目になります。

基本的に築年数が古くなるほど家賃は安くなりますが、世間的な情勢により家賃相場が住んだ時よりも高くなることもあるので絶対に損をするとは言い切れません。

設備が古くなるが改善されない

部屋に備え付けられているエアコンやガスコンロ、洗浄便座などは設備ですが、長く住み続けている限りこれらが新しいものに自然と交換されることはありません。

例えば隣の部屋は最新のインターホンを採用しているのに自分の部屋だけ昔の型の古いインターホンだったり、自分の部屋だけ温水洗浄便座がついていないといった問題が発生します。

エアコンも古くなれば燃費が悪く電気代も高くなります。

また、築年数がある程度古くなると部屋自体をリフォーム、リノベーション工事することがありますが住み続けている限りはこういった補修工事をすることができません。

隣の部屋は内装が新築のようにキレイなのに自分の部屋だけ古いままとなっていることもあり得るということです。

いつまでも無駄な家賃を払うことになる

引っ越すよりかは無駄な出費は抑えられるかもしれませんが、例えば持ち家だったり実家だったりと比較すればいつまでも家賃を払い続けるというのは損でかありません。

ずっと住み続けることにより何千万という金額を家賃に払うことになりますし、そのお金があれば一軒家を買う頭金になったり車を買うお金になったと考えるともったいないと思うのは当然です。

賃貸物件なので仕方ない部分ではありますが、家賃は無駄金なのである日急にもったいないと感じるようになるかもしれません。

長く住み続ける上ですべきこと

長く住み続ける上で問題となってくるのは主に家賃に関することです。

2つほど注意しておくべきことをまとめてみました。

定期的に他の部屋の家賃や設備をチェックする

長く住んでいるとどこかのタイミングで他の部屋の家賃が下がったり、設備が一新されるという機会があります。

他の部屋の家賃が下がっている場合は入居中であっても契約期間の途中であっても家賃交渉や設備交渉を行うことができます。

管理会社に連絡して「ほかの部屋の家賃と同じにしてほしい」と交渉を持ち掛けてみましょう。もちろん交渉がうまくいかない場合もありますが、言わなければ無駄に損をするだけです。

長期的に借りている人は大家としても重宝しているので交渉に応じてくれる可能性があります。

家賃が値上がりしそうなら交渉する

家賃はだんだん下がるものというイメージがありますが、需要が高まったり相場自体が値上がりすることによって現在住んでいる物件の家賃自体もあがることがあります。

たいていは更新時にしれっとお知らせで家賃の値上がりが通知されますが、もちろん交渉することが可能です。

僕の物件も調べてみたところ、借りたときよりも3,000円ほど家賃が全体的に高くなっていました。

家賃の値上げに関しては拒否することが可能です。

家賃を値上げするには、大家と入居者、双方の合意が必要なため、大家側の一存で値上げを決めることはできない。 ただし、拒否する場合は、最初から拒否という姿勢を見せる必要がある。 値上げを通知する書類が送られてきた際、「返送してください」と書かれた書類に署名して送り返してしまうと、「合意した」とみなされる可能性がある。

参照:https://mag.re-ism.co.jp/okane/okane066/

合意がなければ家賃が値上がりすることはありません。

賃貸借契約自体は借主にとって優位に作られており、合意できずに済み続けた場合は以前と同じ条件のまま法定更新が行われます。

法定更新する場合は更新料を支払う必要がなくなりますが大家とのトラブルにつながるためあまり推奨される方法ではありません。

こちらで詳しく解説しています。

値上げ交渉に関しては「正当な事由がなければすることができない」とされているのでそのまま簡単に受け入れる必要はありません。

退去する際は見積もりに目を通す

理論上は長く住めば住むほど壁紙などの耐用年数が定められているものは資産価値が減るので入居者の負担額も減っていきますが、耐用年数に影響されない部分の修繕費はきっちり請求されるので高くなってしまうこともよくあります。

退去費用は最ももめるトラブルの1つで、管理会社が本来払わなくても良い費用まで負担させようとしてくることが多いので注意が必要です。

見積もりをみて、おかしな部分がないか退去をする際は必ず目を通すようにしてください。

不審に思う場合は連絡して指摘することで退去費用を減らせる可能性が大いにあります。

明らかに高額なようであれば消費者生活センターに電話して相談してみてください。

消費者生活センター公式ページへ

運営企業独立行政法人 国民生活センター
対応エリア全国
利用料無料
消費者ホットライン188(誰もがアクセスしやすい窓口)
平日バックアップ相談03-3446-1623(相談窓口に繋がらない場合)
相談内容商品やサービスなど消費生活全般に関する苦情や問合せ

消費者生活センターはこういった賃貸での退去費用に関するトラブルについて扱っているので親身になって退去費用が適正かどうか判断してくれます。

管理会社に連絡する時に交渉できなさそうなら「一度消費者生活センターに相談させていただきます」と言っても良いでしょう。これだけで見積もりを直して適正にしてくれる可能性も高いです。

もっと良い物件がないかチェックしてみる

長く住んでいると世間の煽りを受けて家賃相場も変化してきます。

住み始めたときは家賃6万円で希望の条件の物件がなかったとしても数年後はそういった物件が数多く空室になっていることも十分考えられます。

これはコロナの影響や少子高齢化を考えると自然な流れです。

どんな物件が他にあるのか定期的にチェックしてみることは大切です。

スーモやホームズでも探せますがおとり物件も一定数存在していたり、成約済み物件も多いのでちゃんとした情報を見たいのであればイエプラがおすすめ。

イエプラ公式

イエプラは家にいながら条件にあった物件を探してもらうサービスで、LINE上で店舗と同じレベルで空室になったばかりの情報まで教えてくれます。

チャット欄があるので相談をしたり細かい条件を伝えることができますし、一度設定しておけば後は放置で次々に物件を教えてくれるので興味本位で使う人にもかなり便利です。

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明かに良い物件が多いようなら引っ越しのきっかけにしてもいいですし、そこまで変わらないようであれば長く住み続けるという選択ができるので今後どうするか迷った場合にはおすすめ。

2024年3月から仲介手数料が無料になったことで、スーモやホームズに掲載されている物件もURLを送るだけで初期費用を大幅に削減できる使い得のサービスとなっています。

まとめ

MEMO
  • 世間的には居住期間が最も多いのは2年~4年
  • 更新日を機会に引っ越す人は全体の6割程度
  • 長く住み続けたほうがお得なのは間違いない
  • 物件に不満がないなら住み続けたほうがいい

なんとなく2年に1度引っ越すという人は多いと思いますが、金銭的な事情を考えれば無理して引っ越すよりも更新料を支払ってでも長く住み続けたほうがお得です。

長く住み続けていると家賃相場が下がり、住んでいる物件自体の家賃が下がることもあるので管理会社に問い合わせて家賃交渉を行いましょう。

今住んでいる家賃が高いという理由なら家賃を15,000円下げないとあまりお得にはならないので注意してください。