賃貸アパートの仮押さえはどのぐらいの期間できる?キャンセル可能?

部屋探しをしていると仲介業者から「この物件仮押さえしておきますか?」と言われることがあります。

確かに仮押さえは物件を押さえる手段として有効ですが、そこまで住みたくないのに仮押さえをしてしまうとキャンセルするのも面倒になってしまいます。

今回は賃貸物件における仮押さえとはどんなものなのか、どのぐらいの期間できるものなのか、キャンセルするとどうなのるのか詳しく解説していきます!

賃貸物件の仮押さえは申し込みと同義

賃貸物件における仮押さえというのは不動産業界用語です。

仮押さえ=申し込みと同じことなので入居者の募集を一時的にストップさせてその間他の人に取られてしまうのを防ぐことができます。

例えば退去予定で需要の高そうな人気物件の場合は内見する前に成約してしまう可能性があるので仮押さえをしてもらうことで他の人に取られずに審査だけ済ませて後でゆっくり内見することも可能です。

仮押さえすべき例
  • 建設途中の新築物件
  • 条件が良くて人気がありそうな物件
  • 空室状態が1部屋しかない物件
  • 引っ越すまでまだ少し時間がある場合

また、条件的に入居するかどうか微妙だけどとりあえずキープしておきたい場合に仮押さえをしておけば、その期間中もっと条件の良い物件を探すことができるというメリットがあります。

ちなみに仮押さえと言っても大家には「申し込みが入りました」と伝えられるので時間稼ぎの方法に過ぎません。

契約前であれば当然キャンセルすることは可能ですし、違約金等の支払いは一切ないのでリスクはほとんどありません。

ただし重要事項説明を受けて賃貸借契約書にサインをしてしまった場合はキャンセルではなく解約手続きとなるため、解約料を支払わなければならない場合があります。

賃貸借契約書の内容にもよりますし、初期費用を払ってしまったかどうかによっても変わる部分です。

仮押さえは内見前でも可能

仮押さえというと内見後にどうしようか迷っていてとりあえず申し込み=仮押さえといった流れになることが多いですが、先ほども言ったように申し込みと仮押さえは同じ意味なので内見前でも可能です。

例えば退去したばかりでまだ内見できない物件や、内見しないで契約してくれる人優先の物件も仮押さえすることができるというわけです。

人気物件だと内見予約を入れても当日にはすでに取られていることもあるので、内見前に申し込みを済ませて後でゆっくりと内見するという手法も取れます。

仮押さえできる期間は1週間~2週間前後

仮押さえできる期間は入居申し込みをして審査を通過し契約書にサインするまでの時間分しかできません。

審査がだいたい1週間程度で頑張って猶予を作ったとしてもせいぜい2週間程度。

入居までの工程 かかる日数
仮押さえ 物件の申し込み 1日
仮押さえ 審査期間 3日~7日
初期費用の入金・確認 1日
書類作成・契約 1日
鍵の引き渡し・入居 1日
合計日数 7日~11日

審査が終わると自然と契約の流れになってしまい、これ以上の期間は大家や管理会社側から「まだ契約してくれないの?」とせかされることになるため仲介業者としても期間を延ばすことは難しくなります。

ただし退去予定の物件であればハウスクリーニング等を済ませてからでないと物件の引き渡しは行えないので最大で1か月程度仮押さえ状態にすることも可能です。

入居予定があまりにも先だと仮押さえ自体を断れる可能性が高いので長くても1ヶ月程度にとどめておきましょう。

キャンセルすると預り金は全額返金される

仮押さえ時には預り金というものを求められることがあります。

預り金が求められるのは「申し込みだけでしてそのあと急に音信不通になられると多方に迷惑がかかって困るから」というものや「ほかの不動産で契約してほしくないから」という理由があります。

預り金自体は契約としても認められています。

寄託契約とは、当事者の一方(受寄者)が相手方(寄託者)のために物を保管する契約をいいますから、賃貸人が建物の損害等を担保する目的で預かる保証金、敷金(賃貸借契約終了時に賃借人に返還されるもの)の預りは第14号文書ではなく、第17号の2文書(売上代金以外の金銭の受取書)に該当することになります(基通別表第一第14号文書の3)。

参照:国税庁

預り金を払ってでも入居したいとう意思を見せることができるというのは利用者側にとってもメリットの1つです。

当然名前の通り預り金なので物件のキャンセルや実際に入居した際にこのお金は全額返金されます。

ちなみに預り金の相場は約3,000円程度となっていますが、家賃の高さや不動産によって異なるので稀に「賃料1か月分」相当を求められることもあるようです。

預り金を支払った際に預り金証明書というものが発行されるので無くさないように気を付けてください。

なお、キャンセルした後に不動産に行って証明書と引き換えに返金される仕組みですが、連絡を取らないとそのまま返金されないのでご注意ください。

必ず預かり証は発行してもらおう

基本的には預り金を支払った際に必ず証明書も発行してもらえますが、悪徳業者だったり不動産側が忘れていて発行してもらえないケースもゼロではありません。

預かり証明書を発行してもらえないとキャンセルしたときに返金されなくなってしまうので無駄にお金を払う羽目になります。

預り金は入居する際でも返金してもらえるお金なので預かり証は紛失しないようにしましょう。

仮押さえできるのは1件まで

良さそうな物件が複数あった場合、いくつもの物件を仮押さえしようとする人がいますが仮押さえできるのは原則として1件までです。

先ほど言ったように仮押さえは申し込み状態と同じになるため複数の物件を契約する意思がない場合、住む意思がない物件は手放す必要があります。

法律として定められているわけではないのでやろうと思えば複数の不動産を利用して各不動産で仮押さえをしてもらうというやり方もありますが、契約しないのに押さえるのは迷惑がかかるのでやめましょう。

押さえるだけとなれば大家や管理会社にとって利益率を下げることに繋がるので迷惑行為となってしまいます。

あくまで1件のみ気に入った物件を仮押さえするようにしましょう。

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仮押さえを利用することのデメリット

仮押さえは一見良い部分ばかりのように思えますが一応デメリットもあるので紹介していきます。

僕も仮押さえをしたことは何度かありますが結果的に損をしたこともあります。

その不動産で契約することになる

仮押さえは物件を押さえているだけなのでいつでもキャンセルしたり、他の物件を選ぶことができますが結果的に利用した不動産で契約することになります。

仮押さえをしてもらっているのはその不動産なので他の物件を探してもらって契約する場合でも、仮押さえした物件で契約する場合にも原則として他の不動産が利用しにくくなります。

途中で「利用したここの不動産オプション代が高いって噂だから嫌だな」と感じたら仮押さえ自体をキャンセルしなければなりません。

申し込み情報は大家・管理会社側に伝わってしまっているので不動産を変更した場合キャンセル→再申し込みとなるので不信に思われてしまいます。

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一時的にでも預り金を支払わなければならない

結果的に返金されるお金ですが、契約前なのに預り金を支払うことに対して抵抗を感じる人は多いと思います。

僕もまさにその一人で最初は「もしかしてこれ詐欺られている?」という不安を抱いてしまいました。

また、その不動産を利用するのが途中で嫌になった場合は預り金を返金してもらうためにわざわざ店舗まで足を運ばなくてはなりません。

僕はそれが非常に面倒になったので結果的に預り金を返してもらっていません。

「ほかの不動産利用するわ」となって店舗に行くのも気まずいですし、何より利用しなくなった不動産に足を運ぶこと自体が面倒でした。

キャンセルすると嫌な顔をされる

仮押さえのキャンセルは可能ですが、仲介業者によってはキャンセルすることで明らかに嫌な顔をされる場合があります。

親切な仲介業者なら親身になって「もっと良い物件を探しましょう」と言ってくれますが、インセンティブで給料が決まるような会社の場合はそれが自分の給料に直結しているのでキャンセルはかなり痛手。

僕も以前アパマンショップで契約しかけた際にもっと良い物件を見つけたので「キャンセルします」と伝えたところ「え?なんでですか?本当に良いんですか?」とかなりしつこく止められそうになりました。

ある意味迷惑のかかる行為ではあるので仕方ありませんが、気持ちが良い方法とは言えません。



仮押さえのキャンセル方法

仮押さえのキャンセルはできますが、決めかけていた物件を断るということなので何となく言い出しにくい気持ちになるのは仕方ありません。

仮押さえをキャンセルする際に注意しておくべき部分についてまとめてみました。

直接言いにくい場合は電話やメールでも可能

仮押さえのキャンセルは何も直接伝える必要はありません。

対面だと言いにくい場合は電話やメールでキャンセルすることも可能です。

◇電話『先日○○マンションの仮押さえをしてもらった△△です。条件の良い物件を見つけたので仮押さえのキャンセルをお願いします。』

◇メール『件名「仮押さえのキャンセルについて」

お世話になっております、先日○○マンションの仮押さえをしてもらった△△です。

他のお部屋で契約させていただくことになりましたので物件のキャンセルをお願いします。』

電話でもメールでも端的にキャンセルすることを伝えるのが重要です。

『キャンセルしたいこと』『どのマンションを押さえてもらったのか』『キャンセル理由』を明確にして伝えられるとベストです。

特にキャンセルしたい理由については必ず聞かれる部分ですがストレートに伝えてしまって構いません。

例えば『家賃の高さが気になった』とか『部屋の古さが気になる』とか思ったことを伝えて構いませんが、クレームのように伝えないようにだけ注意してください。

預り金を支払ってしまっている場合は預り金証明書と引き換えに返金対応されるので、メールや電話でキャンセルをしても一度店舗に行くことになります。

「その物件うちで紹介できますよ?」と食い下がられたときの対処法

キャンセルの連絡を入れると必ずと言っていいほど理由を聞かれますし、もし「ほかの不動産で良い物件を見つけた」ということを話したら『その物件うちで紹介できますよ?』と食い下がられてしまいます。

仮押さえじゃなくても客を自社で契約させるためになんとか引き止められそうになるのはよくある話。

もし言われた場合は『すみません、もう申し込みを済ませてしまいました』とか『知り合いの不動産で紹介してもらうことになった』と言えば問題ありません。

下手に「仲介手数料が高いので」とか「オプション代を払うのが嫌なので」と言ってしまうとクレーム理由になるので嫌味を言われることもあります。

まとめ

MEMO
  • 仮押さえは通常の申し込みと同じ
  • 仮押さえできる期間は1週間~2週間程度で伸ばしても最大1か月
  • 仮押さえの際に大家や管理会社には「申し込みが入った」とだけ伝えられる
  • 仮押さえする際に預り金が必要になる場合がある
  • 契約させしていなければキャンセルできる

部屋探しをしていると仮押さえは当たり前のように勧めてきますが、大家や管理会社は申し込みが入ったとしか伝えられていません。

もちろん仮押さえしてしまえば他の人に取られることがなくなりますし、そのあともっと条件の良い物件を探せるというメリットもありますが、不動産を途中変更しにくくなるので「その不動産(仲介業者)で契約していいか?」だけはしっかりと考えましょう。

物件というのは他社でも紹介できる部屋も多いので、部屋探しする際には余計なオプション代がかからない評判の悪いない不動産なのかはしっかりと考えるべきです。

少しでも参考になれば幸いです。

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