建物には大きく分けてアパートとマンションがあります。
これは物件の構造による違いで分類されますが、初めて部屋探しをする人にとってはいまいち違いがわからない方も多いと思います。
あまり差はないように思えて住み心地は全然違っているので今回はこの2つの見分け方や僕の経験を元に住み心地の違いについてご紹介したいと思います。
目次
アパートとマンションって何が違うの?
アパートやマンションは部屋探しの際によく見かける言葉ですが、結論から言ってしまえばこの2つには定義がなく、明確に「○○が違うからアパート」という規定はありません。
極端な話をすれば不動産業者がマンションと言えばマンションですし、アパートと言えばアパートになってしまいます。
もちろん不動産側ではある程度のルールが設けられていて、アパートとマンションの違いを表記する際に構造で分けられることが一般的です。
- 木造:アパート
- 鉄骨造(軽量鉄骨):アパート
- 鉄骨造(重量鉄骨):マンション
- 鉄筋コンクリート:マンション
- 鉄筋鉄骨コンクリート:マンション
ざっくり言うとアパートの方が防音性が低く、マンションの方が防音性が高いという違いがあります。
木造や軽量鉄骨で組み立てられているものはアパート、重量鉄骨や鉄筋コンクリートで作られているものはマンションとなります。
アパートとマンションの見た目の違い
構造別で見分けられることはわかりましたが、外観で見分けるにはどうすれば良いのか。
さらに詳しく分類していきます。
- オートロック付き
- エレベーターがある
- 3階以上の建物が多い
- エントランスがある
- 見た目が頑丈そう
- ロフトがある
- すぐに侵入できる
- ベランダが簡易的な仕切りしかない
- 2階建て
かなりニュアンス的な部分が多く申し訳ないですが、実際見た目等で判断するにはこういった違いがあります。
上記に挙げている特徴というのは絶対条件ではありません。
例えばオートロックが付いていたら100%マンションですし、高層階なら確実にマンション。オートロックが付いていないマンションも当然あるので他の部分も見る必要があります。
ロフト付きは99%アパートですね。アパートは2階建ての物件が多いような気がします。
見た目の違いは画像で見てもらった方が早いかもしれません。
典型的なアパート
典型的なアパートというのは階段がむき出しになっています。
赤枠で囲っているように階段を支える支柱がむき出しになっているので非常にわかりやすいです。
また、上記でも説明した通りこういった2階建てはほぼ100%アパートです。
典型的なマンション
こちらは一般的なマンションの写真ですが、先ほどと比べると頑丈そうな感じが伝わるでしょうか。
最大の違いはやはり階段にあります。赤枠で囲っている階段は簡易的な作りにはなっていません。
つまりアパートとマンションを一発で見分けるには物件の階段を見れば良いわけです。
アパートとマンションの防音性の違いとは?
遮音性というのはL値で示されており、値が高ければ高いほど音が聞こえやすくなります。
これは日本建築学会が調査した建物の遮音性と等級の関係性です。
遮音等級 | 建物構造 | 音の聞こえ方 |
---|---|---|
L-35 | 日常生活で気になるような音はほぼ聞こえない | |
L-40 | 鉄筋鉄骨コンクリート造(マンション) | 防音性が高く外からの音も軽減される |
L-45 | 子供の泣き声や走り回る音は多少聞こえる | |
L-50 | 鉄筋コンクリート造(マンション) | 子供の泣き声や走り回る音は聞こえる |
L-55 | 洗濯機や掃除機は少し聞こえるが気にならない | |
L-60 | 重量鉄骨造(マンション) | 足音やドアの開閉音など振動を伴う音が聞こえる |
L-65 | 軽量鉄骨造(アパート) | 多少音量は軽減されるが生活音はほぼ聞こえる |
L-70 | 生活音はほとんど筒抜け | |
L-75 | 木造(アパート) | 生活音は筒抜けで小さな音まで聞こえる |
アパートである木造とマンションである鉄筋鉄骨コンクリート造を比べると遮音性は雲泥の差となりますが、軽量鉄骨アパートと重量鉄骨マンションではほとんど差がありません。
さらに具体的に音の響き方についてまとめてみました。
アパートの防音性
音の種類 | 木造 | 軽量鉄骨 |
---|---|---|
遮音等級 | L-75 | L-65 |
足音 | 聞こえる | 少し聞こえる |
ドアの開閉音 | 聞こえる | 聞こえる |
テレビの音 | わずかに聞こえる | わずかに聞こえる |
洗濯機や掃除機の音 | 聞こえる | 聞こえる |
会話 | 少し聞こえる | 少し聞こえる |
いびき | 聞こえる | 聞こえる |
小さな音 | わずかに聞こえる | ほぼ聞こえない |
木造アパートと軽量鉄骨アパートは基本的に日常生活で響くような音はすべて聞こえてしまう防音性の低さです。
わずかに違うのは小さな音の聞こえ方や足音の違い程度となっています。
木造アパートは構造上最低レベルの防音性となっているのでアパートの中で防音性を重視するなら軽量鉄骨ですがそこまで大きな差はありません。
あのさ、木造と軽量鉄骨造ならどっちの方が品質がいい?(防音性とか通気性とか)
— サーモン(フリーター) (@MZATTD035xiS6hu) November 23, 2021
隣人が少しうるさい人だったり、よく宅飲みをすればその音は普通に聞こえてしまいますし、いびきなんかも壁を挟んで普通に聞こえます。
単身者用アパート、、(二人入居不可)
隣に同棲カップル入ってきて、毎日うるさいし、隣の壁に向けて般若心経を毎晩流すことにした。
初日から、なんの音?って女が騒いでてウケる— ぺんぎん (@pen_ta0203) December 6, 2021
隣人が常識人であれば生活に支障が出ることはありませんが、そうでない場合はストレスや寝不足の原因となる場合もあります。


マンションの防音性
音の種類 | 重量鉄骨 | 鉄筋コンクリート | 鉄筋コンクリート |
---|---|---|---|
遮音等級 | L-60 | L-50 | L-40 |
足音 | 少し聞こえる | 少し聞こえる | ほぼ聞こえない |
ドアの開閉音 | わずかに聞こえる | ほぼ聞こえない | 聞こえない |
テレビの音 | わずかに聞こえる | 聞こえない | 聞こえない |
洗濯機や掃除機の音 | 聞こえる | 少し聞こえる | ほぼ聞こえない |
会話 | わずかに聞こえる | ほぼ聞こえない | 聞こえない |
いびき | 聞こえる | ほぼ聞こえない | 聞こえない |
小さな音 | 聞こえない | 聞こえない | 聞こえない |
重量鉄骨は隣人の音は多少マシになるものの上の階からの音や低音を防ぐことはできないので聞こえてしまいます。
マンションの上の階がドスドスドンドン……
うるさい!重量鉄骨マンションで響くとは
深夜になにやっとんじゃ!— 元卐拳士 (@WboHkXVk0wOPvCh) April 28, 2021
いくら重量鉄骨だからって戸境壁は乾式だよなあ、いびきうるさいぞ
— 平間賢也 (@0729Idaten) April 29, 2020
マンションだからといって重量鉄骨に防音性を期待すると後悔する羽目になるでしょう。どちらかというと重量鉄骨マンションはアパートと同レベルの防音性能です。
一方、鉄筋コンクリート造や鉄筋鉄骨コンクリート造になってくると生活音というのはほとんど聞こえてきません。
家族の多い家庭で育ってきたから鉄筋コンクリートの賃貸マンションは静かすぎる…もっと生活音聞こえてもええんやで…????
まあ自分が出す音に神経質にならないために鉄筋コンクリート選んだんだけどさぁ…慣れるまでは寂しい🥺— 白夜 (@shiro_night) November 29, 2021
鉄骨から鉄筋コンクリートの家に引っ越したら静かでびっくりしてる。隣人のひとりごともくしゃみも奇声も携帯の目覚ましも聞こえない。隣人の携帯のバイブレーションまで聞こえてたからマジで壁薄かったんだな。
— ボン子 (@ahharai) October 31, 2021
普通に会話する程度なら聞こえませんし、鉄筋鉄骨コンクリート造にいたっては掃除機をかけている音すらほとんど聞こえないほど防音性が高いです。
音に悩まされることは滅多にありません。
防音性を重視したいのであれば鉄筋コンクリート造以上のマンションを選ぶようにすれば間違いありません。
ただ、だからと言って騒ぎすぎるのも問題。
僕は友人を招いて8人ほどで宅飲みをしていましたが深夜4時ぐらいに下の階から「うるさい」と苦情が来た事があります。
隣りとの壁は問題ありませんが床の響き方は万全ではありません。
自分の身体が設置している部分は床なので隣よりも下の階の人に音は伝わりやすいです。
アパートと比較すると当然ながらこういった防音性も高いのでしょうけど、鉄筋コンクリートに住んだから何しても大丈夫ではないということを身をもって思い知りました。
アパートとマンションの住み心地の違いについて
防音性以外にもアパートとマンションでは住む上で様々な点が違います。
特に問題となる【家賃の違い】【防犯性の違い】【設備の違い】についてまとめてみました。
家賃:アパートのほうが明らかに安い
東京23区のアパートとマンションのワンルーム、1K、1DKについて家賃相場の違いをまとめてみました。
市区町村 | アパート | マンション | 差額 |
---|---|---|---|
千代田区 | 9.35万円 | 12.41万円 | 3.06万円 |
中央区 | 8.51万円 | 11.01万円 | 2.50万円 |
港区 | 9.12万円 | 13.09万円 | 3.97万円 |
新宿区 | 7.86万円 | 10.60万円 | 2.74万円 |
文京区 | 8.57万円 | 10.05万円 | 1.48万円 |
大東区 | 9.54万円 | 10.25万円 | 0.71万円 |
墨田区 | 7.01万円 | 9.49万円 | 2.48万円 |
江東区 | 7.33万円 | 9.76万円 | 2.43万円 |
品川区 | 8.03万円 | 9.88万円 | 1.85万円 |
目黒区 | 8.84万円 | 11.37万円 | 2.53万円 |
大田区 | 7.43万円 | 8.78万円 | 1.35万円 |
世田谷区 | 7.86万円 | 9.52万円 | 1.66万円 |
渋谷区 | 8.69万円 | 11.99万円 | 3.30万円 |
中野区 | 6.92万円 | 9.56万円 | 2.64万円 |
杉並区 | 7.18万円 | 8.68万円 | 1.50万円 |
豊島区 | 7.24万円 | 9.46万円 | 2.22万円 |
北区 | 6.97万円 | 8.66万円 | 1.69万円 |
荒川区 | 6.89万円 | 8.47万円 | 1.58万円 |
板橋区 | 6.68万円 | 8.41万円 | 1.73万円 |
練馬区 | 6.56万円 | 7.49万円 | 0.93万円 |
足立区 | 6.25万円 | 7.49万円 | 1.24万円 |
葛飾区 | 6.43万円 | 7.37万円 | 0.94万円 |
江戸川区 | 6.44万円 | 7.13万円 | 0.69万円 |
物件の設備の違いなども大きく関係しているので中央値ではありませんが、アパートとマンションではこれだけ家賃の高さに違いがあります。
当たり前ですがアパートのほうがマンションに比べて家賃が安いです。
これは物件を建設する時にかかるコストの高さが影響しています。
家賃の安さを重視するならアパート一択で、マンションだと築年数が古くない限り狭い部屋でもある程度の家賃の高さになってしまいます。
防犯性:マンションのほうが明らかに高い
◆アパートの場合
アパートは1階の場合ベランダ自体がなかったり、あったとしても簡易的な構造で通行人が通れてしまうので防犯性は正直ないです。
僕がアパートに住んでいた時は鍵穴に悪戯されたことがあります。
出かけようと思ったら鍵穴をボンドで埋められて鍵を閉められない状況に。
これもアパートが誰でも簡単に侵入できる作り、防犯性がない証拠です。
僕の例は稀だと思いますが防犯性を気にする方はやめておいた方がいいのかも。
アパートの場合は誰でも簡単に敷地内に侵入できる造りになっていることが多く、簡易的な門ですらなくドアやベランダにたどり着けてしまう状態になっています。
ベランダも簡易的な造りで鉄柵で簡単に入れてしまう構造になっていたり、1階の場合は仕切りのみという物件もあります。
僕が以前住んでいたアパートは道路からそのままベランダに入ってこれるような造りになっていました。

◆マンションの場合
マンションの種類にもよりますが、一般的には例え1階でも塀が設けられていることが多いです。ベランダも簡易的な柵ではなくコンクリートで覆われていることが多いですね。
そのためアパートに比べて不審者が侵入しにくく、ベランダに洗濯物を干しても見えにくい構造になっています。
また、マンションにはオートロックや防犯カメラなどのセキュリティに特化している物件も珍しくありませんし、管理人が常駐しているようなマンションなら不審者もそう簡単に親友することはありません。
僕がアパートに住んでいていたずらされたような問題もマンションではまず起こらないでしょう。
もちろんマンションと言っても構造だけでアパートのように誰でも簡単に侵入できてしまう構造になっていることもあるので”マンションだから”という理由で安心はできません。
僕が以前住んだ築年数48年の物件はアパートのように道路からすぐに入れる構造になっていました。

機能性:マンションのほうが充実している
◆アパートの場合
アパートの多くは木造や軽量鉄骨造で建設されているため、気密性が低いです。
外気の影響を受けやすいので夏場はエアコンを切ってしまうとすぐに暑くなりますし、冬場は暖房をつけていても部屋が暖まりづらいという特徴があります。
一見するとデメリットにしか聞こえませんが、気密性が低いことにより結露が発生しにくかったり、木材が湿気をある程度吸収するのでカビが生えにくいというメリットもあります。
◆マンションの場合
鉄筋コンクリート造のマンションは気密性が高く防音性にも優れているという特徴があり、外気の影響を受けにくいです。
外は暑いのに日が当たっていないと涼しく感じることもよくありますし、冬場はコンクリートのせいで寒いですがエアコンをつけると暖かさが一定時間維持されるので暖房を切ってすぐに寒くなるということはありません。
デメリットとしては気密性の高さ故に結露しやすくカビが生えやすいこと。
例えば日当たりの悪いマンションなんかだとすぐに脱衣所やクローゼットにカビが生えるので定期的な換気などの手間や対策をする必要があります。
実際に住んでみると夏場は思っている以上に涼しく感じます。ベランダの窓を開けて「え、今日めちゃくちゃ暑い」と感じるぐらいには気温差があります。
アパートが優れている部分ってあるの?
こうしてみるとアパートの良さって家賃の安さぐらいでそれ以外にマンションより優れている部分はないように感じますが、住んでみると「アパートで良かった」と思えることもあります。
- 出入りがしやすいので忘れ物を取りに帰りやすい
- ちょっとした用事(コンビニ等)で出かけやすい
- 好立地の物件が多い
- 家賃を抑えられるので好条件を物件に住みやすい
住んでいて一番感じたのは出入りのしやすさです。
マンションの場合は敷地内に余裕をもって建設されていることが多いですし、オートロックなどの設備が備わっているとちょっとした用事でもいちいちエレベーターに乗ったり、鍵を持ったりなど面倒なんですよね。
それに比べてアパートは敷地ギリギリで建設されることが多いためかすぐに出かけられますし忘れ物をした時なんかは取りに帰るのもラクです。
また、アパートはマンションに比べて建設規模が小さいので好条件の場所に建設しやすいというメリットがあります。
マンションの規模だと建設できない場所でもアパートなら問題なく建てられるので自然と好立地になることが多いです。
当然マンションのほうが住み心地に関して言えば上ですが、アパートにもアパートの良さがありますよ。
まとめ
何を重視するかによってアパートが良いか、マンションが良いのかは変わってきます。
特徴別にどっちに向いているのかまとめてみました。
アパートが向いている人
【アパートに住むべき人】
- 家賃の安さが第一条件
- 学生や新社会人(所得が低いため)
- 男性(セキュリティが低くても問題ないため)
- 家にいる時間が短い人
- 自宅に友人を呼ぶことが滅多にない人
アパートとマンションを比較するとやはり家賃が結構変わってきますので家賃重視で考えるとアパートの方が良いです。
実際に一人暮らしをしてみると家賃って思っている以上に精神的ストレスの原因です。
毎月数万円が貯金から一気になくなるわけですから金銭的に余裕のない人からすれば「趣味に使うお金我慢しよう」とか「支払いどうしよう」となることも多いです。
また学生ならアパートに住む人が圧倒的です。親に家賃の支払いをしてもらう場合でも安いほうが両親の負担は少なくて済みますし、自分で払う予定ならなおさら安くないと金銭的余裕がなくなります。
アパートは確かに防音性が低いですが自分がしょっちゅう友達を呼んだりしなければ苦情が来ることはありませんし、帰って寝るだけの社会人ならわざわざ高い家賃を払ってまでマンションに住むメリットはありません。
マンションが向いている人
【マンションに住むべき人】
- 比較的お金に余裕のある人
- 防音性の高さが第一条件
- 女性(セキュリティの高さが重要なため)
- 家に友人や恋人を呼ぶ予定の人
- 家で友人とオンラインゲーム等をする人(喋る人)
- 在宅ワークなど家にいる時間が比較的長い人
住み心地は話にならないぐらいマンションの方が良いというのは火を見るよりも明らかでしょう。
実際、賃貸のトラブルの第一位が音に関することなので当然と言えば当然です。
ただし注意点としてはマンションと言っても鉄骨造だとアパートとそこまで防音性は変わらないので音を気にするのであれば鉄筋コンクリート造に住まないと後悔します。
社会人になって少しお金に余裕が出てきた人にとっては住み心地を重視するのでマンションを選ぶ人が多くなります。
経済的余裕があれば家賃の負担も気になりませんし、家にいる時間が長い人にとっては環境第一なのである程度の機能性は必要になってきます。
恋人がいたり家で友達とオンラインゲームをしたりして過ごす人は防音性の観点からもアパートは避けるべきです。


